JALふるさとアンバサダー/応援隊に聞く地域愛

JAL客室乗務員が青森で伝統工芸品「津軽塗(漆器)」の研ぎ出し体験

JALふるさとアンバサダーに地域の取り組みを聞いた。回答者は青森県JALふるさとアンバサダーの三浦希実子さん

 全国各地に拠点を持つJALは、地域活性化の取り組みを継続的に実施してきており(現在は「JALふるさとプロジェクト」)、2020年8月には社内公募で選ばれた客室乗務員が現地に移住して、それぞれの地域での取り組みを推進する「JALふるさとアンバサダー」を発足しているほか、同12月には乗務しながら地域活性化に携わる「JALふるさと応援隊」を任命している。故郷や縁のある地域に対して、客室乗務員として培ってきた知見を活かした商品開発や地域課題の解決などを展開する狙いがある。

 今回お話を聞いたのは、青森県で津軽塗を体験したJALふるさとアンバサダーの三浦希実子さん。

――取り組みについて教えてください。

 津軽塗は漆器の一つで国指定の重要無形文化財として登録されております。

 津軽塗には代表的な4つの技法があり、そのどれもが40数回の工程と2か月以上の日数をかけて制作されます。そんな手間暇をかけて作られる津軽塗の工程の荒砥(あらとぎ:模様を出す工程)を体験させていただきました。

 今回、研ぎ出し体験をさせていただいたのは福士工房さん(青森県青森市千刈3-17-1)です。職人の福士さんに津軽塗の工程、研ぎ出しのコツなどを伺いながら体験しました。

 研ぎ過ぎると模様がなくなります。形に添ってやすりを動かしますが、角度や力加減によって模様の出方がかなり変わっていました。ただ動かすだけではないのがかなり難しかったです。

津軽塗研ぎ出し体験の様子

 津軽塗には4種類あるとお伝えしましたが、そのなかで一番多く制作されているのが唐塗(からぬり)といい、制作数の約9割を占めるそうです。今回研ぎ出しを体験させていただいたのもこの唐塗のスプーンです。

 次に制作されているのが七々子塗(ななこぬり)です。菜種を使った技法できれいに輪を残すのが難しいポイントとのこと。

 次に紋紗塗(もんしゃぬり)ですが、漆の上に紗(サまたはシャ:津軽弁でもみ殻の灰のこと)をまいて模様を作り出します。完成品に触れたとき、紗の凹凸を感じられます。

 最後に錦塗(にしきぬり)です。七々子塗の変化した塗りの一つで華やかな柄が特徴です。

 漆と顔料を混ぜ合わせることで色を出します。乾く速さや職人によっても色合いは変わってきます。また、研ぎを見ればどの職人が作ったのか分かるそうです。

津軽塗の4技法

――この取り組みにはどのように関わっているのでしょうか。

 青森県には津軽塗、石川県には輪島塗がありますが、青森県と石川県はお互いの地域で行なわれるイベントに青森空港・小松空港としてブースの出展を行なっております(9月RABまつり・6月MRO旅フェスタ)。遠くに思われがちな青森県と石川県ですが、飛行機を使うと最短で3時間50分で到着します。朝に出てお昼ごろにつきますのでその日から観光を楽しむことができます! 青森~羽田便は1日6往復あり、羽田乗り継ぎが大変便利です。

津軽塗の工程表

 こちらは、福士さんが作った津軽塗の工程表です。出展する販売店に工程表を飾っていた際にこちらをじっくり吟味して見たあとに「この色をください」と言われることがあるそうです。津軽塗の工程をご存じない方には色見本に見えたようで、確かに荒砥(あらとぎ)と呼ばれる段階が水玉模様に見えてかわいいデザインに見えます。

――今後の展開・展望について教えてください。

 青森市では8月2~7日にねぶた祭が開催されます。JAL青森支店は青森山田の大型ねぶた協賛しており、まつり期間中は飛行機をかたどった前ねぶたとともに市内を練り歩き跳ね回ります。

ねぶたに参加するJALメンバーの様子(写真は2023年度)

――旅行者に向けてメッセージをお願いします。

 8月2日~7日のまつり期間中はアスパムにて福士工房さんも津軽塗の商品を販売しています。すべての工程を一つ一つ手作業で行なう津軽塗。よって同じ模様は一つとしてありません。見れば見るほどその模様の繊細さに惹かれていきます。実際に手に取って自分好みの津軽塗商品を見つけてみてください! 職人の方とお話しできる数少ないこの機会に青森まで足を伸ばしてみませんか?