週末駅弁

松山駅「松山名物 醤油めし」

松山名物 醤油めし

 JR松山駅の名物駅弁として長年愛されている「醤油めし」。昭和30年台から松山駅で販売されているロングセラー駅弁ですが、製造していた鈴木弁当店の事業停止に伴い、一時姿を消していた時期もありました。しかし、岡山の駅弁メーカー、三好野本店がレシピを受けついで復活。現在も昔から変わらない味で販売されています。

 弁当の掛け紙には、愛媛県の方言、伊予弁が紹介されています。私はお隣の香川県出身ですが、知らない言葉がほとんどで、言葉の違いにちょっとびっくりしました。

 掛け紙を取ると、美味しそうな中身が現われます。醤油めしは、醤油風味の炊き込みご飯で、愛媛県で昔から親しまれている郷土料理だそうです。ただ駅弁では、その醤油めし自体がほとんど見えないぐらいに、錦糸玉子や美味しそうな具材が敷き詰められています。色合いもカラフルで、見た目にも食欲をそそります。

炊き込みご飯の醤油めしの上には、錦糸玉子やさまざまな煮物の具材がびっしり敷き詰められている。色合いもカラフルで食欲をそそる

 まずはじめに、具材をかきわけて醤油めしをいただいてみました。見た目は一般的な炊き込みご飯のようですが、その味わいは醤油の風味がかなり強く、甘みもどちらかというと少なめで、醤油めしという名称がぴったりの味わいと感じます。

 ただ、その醤油めしの上に敷き詰められている具材と一緒に食べてみると、その印象が一変します。かなり甘めの味付けとなっている錦糸玉子と一緒に食べると、濃いめの醤油の風味が抑えられるとともに、味に深みが増して、美味しさが一気に引き立ちます。

 そのほかの具材には、椎茸やたけのこ、山菜の煮物、鶏肉の煮物などが盛り付けられていますが、それらも比較的甘めの味付けとなっていて、醤油めしとよく合い、一気に箸が進みます。醤油めしの上、全体に具材が敷き詰められているのも納得です。

醤油めし自体は、醤油の風味が強く感じられ、やや甘みの少ない味わい
敷き詰められている具材を醤油めしと一緒に食べると味わいが一変、美味しさが一気に際立つ
錦糸玉子や椎茸煮は甘みが強く、醤油めしによく合い、双方の旨味をより引き立てる
山菜や筍、鶏肉の煮物も甘めの味付け。酸味の強いれんこんの酢漬けはいいアクセントとなっている

 とても素朴な駅弁ではありますが、愛媛県の郷土の味わいを楽しめる駅弁として、貴重な存在と言えます。製造企業が変わっても、昔ながらの味わいがしっかり受け継がれている点もありがたい部分で、今後も末永く売り続けてほしい駅弁と感じました。

「松山名物 醤油めし」

価格: 880円
販売駅: JR松山駅
購入場所: 松山駅構内 キヨスク松山銘品館
購入日: 2023年10月21日