週末駅弁

折尾駅「東筑軒 かしわめし」

東筑軒 かしわめし

 今回紹介する「東筑軒 かしわめし」は、本来は北九州市にある折尾駅で販売されている駅弁です。今回は博多駅で購入しました。九州に数ある駅弁の中でもトップクラスの人気を誇る駅弁ということで、以前よりぜひ食べてみたいと思いつつも、いつ行っても売り切れでなかなか買えずにいたのですが、今回お昼前に博多駅へ行くことでようやくゲットできました。

 昔ながらの経木の折り箱に掛け紙をかけ、紐で縛ったその姿は、懐かしさとともに、これぞ駅弁といった雰囲気が強く感じられます。実はこの東筑軒のかしわめしは、2021年に発売から100年を迎えたという、非常に歴史のある駅弁です。そして、昔ながらのスタイルを今も守り続けているのです。近年は、こういったスタイルの駅弁が減ってきていますが、今後も続けてほしいと思います。

 蓋を取ると、折り箱の大部分を埋め尽くすかしわめしが目に飛び込んできます。かしわめしの上には、煮込んだ鶏肉のそぼろ、錦糸玉子、刻み海苔が敷き詰められていて、なかなかカラフルな印象です。そして、かしわめしの横には甘いうぐいす豆、奈良漬け、しそ昆布、紅生姜が盛り付けられていますが、それ以外におかずは一切ありません。かしわめし一本で勝負、というその潔さに、強く惹かれます。

経木の折り箱に掛け紙をかけ、紐で縛るというスタイルを、発売から100年経過した現在でも貫いている
鶏肉のそぼろ、錦糸玉子、刻み海苔を敷き詰めたかしわめしが、ほぼ箱いっぱいに詰め込まれている
おかずはなく、箸休め的なうぐいす豆、奈良漬け、しそ昆布、紅生姜が添えられているだけ。かしわめし一本で勝負、という潔い構成だ

 そして、かしわめしの味わいですが、鶏のうま味とほんのりとした甘みは、強く主張するものではありませんが、とても懐かしい味わいです。それに対し、上に盛り付けられている鶏肉のそぼろは、醤油ベースで比較的強い甘みの、しっかりとした味付けとなっていて、やさしい味わいのかしわめしと一緒に食べると、双方の味わいが合わさることで、美味しさが2重3重にも高まります。長年根強い人気を保っているのも納得の美味しさと強く感じます。

 錦糸玉子は、関東風の甘めの味わいとは違い、玉子の味わいがダイレクトに感じられる味付け。こちらは、かしわめしの味わい邪魔することなく、逆にかしわめしのうま味をより引き立ててくれると感じます。

 そして刻み海苔と一緒に食べると、礒の風味が加わって、大きく味変する印象です。それも、鶏と魚介のダブルスープのラーメンのように、双方の風味が重なることで、違った美味しさが楽しめます。

かしわめしは、鶏のうま味とほんのりとした甘みが感じられる優しい味わい
甘みが強く煮込まれた鶏肉のそぼろは、優しい味わいのかしわめしと一緒に食べることでかしわめしの美味しさを大きく高めてくれる
甘み抑えめの錦糸玉子は、かしわめしのうま味をより引き立ててくれる
刻み海苔の磯の風味でかしわめしの味わいが大きく変わり、また違った美味しさが楽しめる

 先に紹介しているように東筑軒かしわめしは、箸休め的にうぐいす豆や奈良漬け、しそ昆布などが盛り付けられてはいますが、おかずは全くありません。しかし、おかずがなくても、かしわめし自体の美味しさに加えて、鶏肉のそぼろ、錦糸玉子、刻み海苔との組み合わせだけで、最後まで飽きずに楽しめるのは、さすがと感じました。

 本来なら、折尾駅で入手したいところではありますが、博多駅でも買えるというのは、嬉しい部分です。人気があるので比較的早く売り切れることが多いようですが、博多駅で駅弁を手に入れる時に東筑軒かしわめしを見かけたら、ぜひ手に取ってもらいたいと思います。

「東筑軒 かしわめし」

価格: 850円
販売駅: JR折尾駅、博多駅など
購入場所: 博多駅構内 駅弁当 筑紫口店
購入日: 2022年4月20日