週末駅弁
三原駅「元祖珍辨たこめし」
2022年1月28日 11:00
JR三原駅のある広島県三原市は、兵庫県の明石市に並ぶたこの産地として知られています。古くは江戸時代から蛸壺を使ったたこ漁が盛んに行なわれてきたそうで、三原市内にはたこ飯やたこ天、焼きたこといった名物グルメを提供するお店がたくさんあります。このように、たこが名物の三原市ならではの駅弁としてJR三原駅で販売されているのが「元祖珍辨たこめし」です。発売は1953年とのことですから、70年近く親しまれている、ロングセラー駅弁でもあります。
パッケージには、たこの8本足にちなんだ8角形の折り詰めが使われています。鉢巻きを巻いたたこが蛸壺にしがみつくユーモラスなイラストも、なかなかよい味を出しています。
蓋を取ると、たこ飯や、その上に盛り付けられている具材が目に飛び込んできます。見た目はとてもシンプルですが、艶やかな煮だこの姿や、ふわっと香る煮だこやたこ飯の美味しそうな香りから、これは美味しいに違いないと直感できます。
まず、煮だこをいただいてみました。たこの足の煮物は歯応えが強いという先入観がありますが、元祖珍辨たこめしの煮だこは、適度な弾力を残しつつ、とても柔らかく煮込まれていることに驚かされます。そして、噛むごとに口いっぱいにたこの旨味が広がります。甘みの強い味付けと合わせて、自然と笑顔になるほどの美味しさです。
また、具材の下に敷き詰められているたこ飯も、たこの旨味がしっかり引き立つように炊きあげられていて、こちらもびっくりするほどの美味しさです。たこ飯のなかには、煮だこよりも歯応えの強い小さなたこの身が散りばめられていて、その噛み応えもよいアクセントになっていますし、より強いたこの味わいも楽しめるようになっています。さらに、煮だこと一緒にたこ飯を口に運ぶと、双方の旨味が重なって、より美味しさが引き立つと感じます。
たこ以外の具材としては、海老や椎茸、たけのこの煮物、うずらの卵、錦糸玉子風の玉子焼き、漬け物などが盛り付けられています。どれも優しい味わいで、たこ飯とよく合うのですが、錦糸玉子ふうの玉子焼きをたこ飯と一緒に口に運ぶと、たこ飯に玉子焼きのまろやかな味わいが加わって、また違った美味しさが楽しめます。このように、煮だこをはじめとした多くの具材が盛り付けられていることで、飽きることなく食べられるのもうれしい部分です。
たこ飯の駅弁といえば、近年では蛸壺を模した陶器の容器で販売されている西明石駅の名物駅弁「ひっぱりだこ飯」が有名ですが、歴史としては発売から70年近く経過している元祖珍辨たこめしが圧倒しています。そして、それだけ長く親しまれているのも、確かな美味しさがあるからだと、実際にいただいてみて十分に実感できました。広島には、ほかにも牡蠣や穴子などの海産物が有名ですが、三原を訪れた際にはぜひ元祖珍辨たこめしを手に取って、その美味しさに触れてほしいと思います。
「元祖珍辨たこめし」
価格: 1030円
販売駅: JR三原駅、JR広島駅、JR福山駅、JR岡山駅など
購入場所: JR三原駅 おみやげ街道三原店
購入日: 2022年1月19日