週末駅弁

「品川弁当」

江戸前品川ゆかりの食材をふんだんに使ったご当地駅弁

「品川弁当」

 東京駅や新宿駅、上野駅など、東京都心のターミナル駅では、基本的にほぼ同じ種類の駅弁が販売されていると思っていました。しかし実際には、駅ごとに特色のある駅弁も存在しています。その一つが、今回紹介する「品川弁当」です。品川駅で駅弁を探していたときに目に入り、即決で購入しました。

 品川弁当の魅力は、その名のとおり品川ゆかりの食材がふんだんに使われている点です。正確には、品川に縁のある江戸前の食品を使っているのですが、掛け紙に書かれているお品書きを見ると、ああなるほどね、と納得するものばかりです。

 ご飯は、しらすがこれでもかと乗せられたしらすご飯と、煮穴子とあさりのしぐれ煮を盛り付けたご飯の2種類が盛り付けられています。しらすご飯は、見た目どおりの潮の効いたしらすの味わいだけでなく、一緒に盛り付けられている桜海老の香ばしい風味も加わって、磯の風味が口いっぱいに広がります。また、煮穴子とあさりのしぐれ煮ご飯は、これぞ江戸前の代表食材ともいえる穴子とあさりが甘く煮付けられていて、否が応でもお箸が進みます。

掛け紙には、お品書きとともに、使われている食材の由来となった話題が記されている
中は4マスに仕切られていて、ご飯が2種類と豊富なおかずが盛り付けられている
しらすご飯は、めいっぱいに盛り付けられたしらすと桜海老から、磯の風味が口いっぱいに広がる
煮穴子とあさりのしぐれ煮ご飯は、代表的な江戸前食材の穴子とあさりは甘く煮付けられて、ご飯が進む

 おかずも豊富ですが、そのなかで特に異色を放っているのが、くじらの串揚げでしょう。「くじらの串揚げがなんで江戸前に関係するの?」と思うかもしれませんが、その理由は掛け紙にしっかり書かれています。寛政10年(1798年)5月、品川沖に巨大な鯨が迷い込んで、当時の江戸では、かわら版に取り上げられるほどに話題となったそうです。その一件は、“寛政の寄せ鯨”と呼ばれて、江戸動物三大事件に数えられるほどの大きな話題として後世に語り継がれているそうです。つまり、その話題を汲み取ってのくじらの串揚げ、というわけです。比較的濃い味付けのくじらかつで、昭和の懐かしい味わいが口いっぱいに広がります。

 また、江戸前の魚として鰺の酢漬けが盛り付けられています。酢で軽く締められた鰺は、風味が一層高められていて、とても美味しくいただけます。飾り包丁の細かな仕事も合わせて、駅弁とは思えない逸品と感じました。

 このほかのおかずとしては、ちくわ海苔巻天ぷらや豚の味噌漬け焼き、高野豆腐と野菜の煮物、五目卵焼き、かまぼこなどが並んでいます。このなかで特に気に入ったのが五目卵焼きです。かなり甘みの強い味付けの卵焼きで、やっぱり江戸の卵焼きはこうでなくちゃ、と思わず感じてしまいます。

“寛政の寄せ鯨”として語り継がれている逸話をもとに選ばれた、くじらの串揚げ。昭和の懐かしい味わいに、思わず顔がほころぶ
おかずにも、江戸前品川ゆかりの食材がふんだんに使われている
こちらは鰺の酢漬け。軽く酢で締められることで鰺の風味が高められ、なんとも言えない美味しさだ
煮物やかまぼこなど、幕の内弁当らしいおかずも豊富。卵焼きは江戸らしい甘い味付けがうれしい
「品川弁当」

価格:1100円
販売駅:品川駅など
購入場所:品川駅構内 駅弁屋 品川宿
購入日:2017年4月5日