荒木麻美のパリ生活

現代アートの発信基地・ショーモン城の「2020国際庭園フェスティバル」へ。一流アーティストの作品とともにクリエイティブな庭を満喫

ショーモン城で行なわれている「2020国際庭園フェスティバル」に行ってきました

 新型コロナウイルス対策のためにとられていたフランスの外出禁止措置は5月11日から解除が始まり、6月2日からは100km以上の移動もできるようになりました。そこで前から行きたいと思っていた、ショーモン城の「2020国際庭園フェスティバル」に行ってきました!

ショーモン城の「国際庭園フェスティバル」

 ショーモン城はフランス中部のロワール=エ=シェール県にあります。ロワール川流域に点在する古城の一つで、ブロワ伯ウード1世により、10世紀に建てられました。その後、焼失と再建を経て、1550年にアンリ2世の妻であったカトリーヌ・ド・メディシスがショーモン城を購入。アンリ2世が1559年に事故により亡くなると、カトリーヌ・ド・メディシスは、アンリ2世の愛妾であったディアーヌ・ド・ポワティエをシュノンソー城から追い出してショーモン城に住まわせたのは有名な話です。

 その後も城はさまざまな人の手に渡り、改修を重ね、1938年にフランスが城と庭園を買い取ります。そして2007年からはサントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏の管轄下となっています。

ショーモン城(Domaine de Chaumont-sur-Loire)

所在地: 41150 Chaumont-sur-Loire
Webサイト: ショーモン城

ショーモン城

 現在のショーモン城の見どころは、至るとこにある現代アートと、1992年に始まった「国際庭園フェスティバル」でしょう。

 国際庭園フェスティバルは世界中の庭園専門家・愛好家から高い評価を得ており、2020年のテーマは「LES JARDINS DE LA TERRE, RETOUR A LA TERRE MERE(大地の庭園、母なる大地への回帰)」。多数の応募作品から選ばれた26作品を見ることができます。今年は日本人の作品はありませんが、どの作品も独創的! 私のイメージしていた「ヨーロッパの庭園」をよい意味で大きく裏切られました。

 製作者が新型コロナウイルスのために会場に来ることができずに未完成だったり、まだあるべき形に育っていなかったりする庭園はありましたが、印象的な庭園ばかりなので、まとめてご紹介します。

Origines(起源)
この作品は以前ご紹介したパリのLa Villetteでも見られます
Agapè(アガペー)
Le jardin mandala(曼荼羅の庭)
Régénération(再生)
Drôle de trogne(切断されたおかしな木)
Survient la terre, jaillit la vie(大地が現れ、命が噴き出す)
Retour au poulailler(ニワトリ小屋への帰還)
本物のニワトリがいます(写真右)
La source vive(生き生きとした泉)
置物かと思ったら本物のカエルが(写真右)
On récolte ce que l'on sème(種をまいたものを刈り取る)
Solstice(冬至)
Le jardin Moray(ペルーの遺跡モライの庭)
Le jardin de méditation(瞑想の庭)
Résilience et anthropismes(困難のなかでも進化する人間の能力とその地上での存在)
Souvenir du futur(未来の思い出)
Terre Marché(地球市場)
Dharitri:le jardin de la Terre Mère(ヒンドゥー教の女神Dharitri:母なる大地の庭)
Le jardin du sol(土の庭)
Jardiniers de l'invisible(見えない庭師)
La petite serre(小さな温室)
Dans les yeux de Mère Nature(母なる自然の目の中)
Paysage de feu(火事の風景)
Le jardin de Gaïa… Aïe Aïe!(ガイアの庭……イテテ!)
この作品もパリのLa Villetteでも見られます
La planète fleurie(花の惑星)
Le jardin de sous-bois(下草の庭)
フェスティバル会場。ベンチに座って持参したお昼を食べる人も
あちらこちらで猫ものんびり

 国際庭園フェスティバルを一通り見たら3時間くらいかかりました! ちょっと疲れたので園内にあるカフェで一休みです。

 城の敷地内には数軒のカフェやレストランがあります。徐々に再オープンしているようですが、私が行ったときはセルフサービスで軽食を食べられる1軒しか開いていませんでした。

ケーキを買ったら型にお城のマークが入っていました

 休憩後は常設の庭園を見に行きます。私が行ったときには入れないエリアがあったので見つけられませんでしたが、日本庭園もあるようです。

遠くに鳥居らしきものが(写真最下段右)。もしかするとあの辺りが日本庭園?

 庭園見学終了後は、ショーモン城内に。門をくぐるとまずは厩舎へ。エルメスが製作したという優美な馬具などが並ぶなか、金色に輝く巨大な球体や、礼拝堂には幻想的な作品が展示されています。

ショーモン城
ショーモン城内
クラウス・ピンター(Klaus Pinter)作の金色に輝く巨大な球体
ゲルダ・シュタイナー&ヨルク・レンツリンガーの「石と春」

 厩舎を出て、城の内部に入ります。入ってすぐの部屋はカトリーヌ・ド・メディシスのお抱え占星術師の部屋です。

 その次はカトリーヌ・ド・メディシスの部屋、小客間、食堂などが続きます。途中には絵画の展示や、書斎にはガラス製の本がずらっと並んでいて壮観。これらもすべて現代アート作品です。フラワーアーティスト東信の作品も展示されていました。

フラワーアーティスト東信の作品

 城を出ても現代アートだらけ! 敷地内には全部で130名以上のアーティストの作品が並んでいるとか。日本人アーティスト川俣正の作品もありました。

川俣正の作品

 体力的、時間的にとてもすべては見られませんでしたが、現代アートと庭園ですっかり満たされた1日でした。これからは花も緑もより美しくなる季節。ロワール地方に行くことがあればぜひショーモン城を訪ねてみてくださいね。2020年の国際庭園フェスティバルは11月1日まで開催されています。

荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/