旅レポ
江戸時代にルーツ!? BANDAI SPIRITSやタミヤを訪問して「ものづくりの街」静岡市を体感してきた!
2024年12月6日 12:00
静岡市主催のプレスツアーに参加してきました。旅のテーマは「ものづくりの街・静岡市」。
これだけでピンときた貴方はもしかして模型好き!? そうなのです、静岡市にはBANDAI SPIRITSやタミヤなど名だたる模型・プラモデルメーカーがたくさん!ものづくりの精神が息づく静岡市の魅力を感じた1泊2日の旅を振り返ります。
プラモデルの街を感じる“プラモニュメント”が市内12か所に13基
静岡市が世界に誇る地場産業「プラモデル」。なんと日本全国のプラモデル製造品出荷額の8割以上を占めているのだそう。
市では民間企業と協力して、静岡市=プラモデルをさらにPRし「模型の世界首都・静岡」の認知度を高めようと、市内各所に組み立て前のプラモデルをイメージした「プラモニュメント」を設置しています。どれも散策中に見かけると思わずカメラを向けてしまうビジュアルになっています。
世界に誇るプラモデルの生産拠点を特別訪問、バンダイホビーセンター
プラモデルは大きく分けて「スケールモデル」と「キャラクターモデル」の2つのジャンルがあるそうですが、今回はキャラクターモデルの開発・生産を行なうバンダイホビーセンターを特別に見学することができました(※現在バンダイホビーセンターでは工場見学は開催していません)。
ところで、なぜ静岡市はプラモデル・模型産業が盛んなのかご存じですか? BANDAI SPIRITSで見せてもらったムービーによると、江戸時代末期、幕府が徳川家ゆかりの神社(おそらく静岡浅間神社)を60年以上の歳月をかけて再建した際に、高い木工技術を持った職人が全国から集められたそう。
その技が伝統工芸として定着し、木型や模型の仕事が生まれ、静岡市のプラモデル産業の基礎になったのだと言われています。江戸時代まで歴史が遡るなんてびっくりですよね。
いろいろお話を聞いたなかで関心を持ったのは、BANDAI SPIRITSの教育分野の取り組み「ガンプラアカデミア」です。今の子供たちに、ものづくりの魅力をプラモデルで学んでほしいと、全国の小学5年生を対象に学校単位で体験用プラモデルキットを無償提供しています。2021年のスタート以降、約67万人の子供たちがプラモデル授業「ガンプラアカデミア」を受けているそうですよ。
2025年1月、現在のバンダイホビーセンターの隣には地上3階建ての新工場が竣工予定で、夏頃には稼働開始されることが発表されています。新工場内では見学コースが新たに設置されるとのこと。楽しみにしていましょう!
©創通・サンライズ
世界中にファンを持つ総合模型メーカー、タミヤへ
続いて、1946年創業の模型ホビーメーカー、タミヤ本社を訪問しました。一般見学(要事前予約)も開催しているタミヤ歴史館とショールーム、タミヤショップを見てきたのですが、特に歴史館の情報量と充実度はすごかった!
個人的に興味深く聞いたのは、ボックスアート(箱絵)のエピソードです。1962年発売の1/35ドイツ パンサータンクの箱絵を手がけたのは、当時少年科学雑誌などで活躍していた人気挿絵画家の小松崎茂さん。
現タミヤ会長の田宮俊作氏が小松崎先生のご自宅まで行って「ぜひうちの製品のパッケージイラストを描いてください」と拝み倒したことで実現したのだそう。そのかいあって製品は大ヒット!
以降タミヤでは、パッケージや説明図などのデザインにも強くこだわって製品開発をしているのだそう。現在タミヤのボックスアートの表現力は世界的に高く評価されていて、画集としてもたくさんの本が出版されているそうですよ。
プラモデルでRCカーで製品化されたクルマやオートバイ、レースマシンなどを展示する実車展示コーナーも見どころの1つ。プラモデルで見てから実物を見ることができるのはタミヤならでは!
ここでイベント情報を。12月7日~8日の2日間、ツインメッセ静岡で「ホビーのまち静岡 クリスマスフェスタ2024」が開催されます。
BANDAI SPIRITSのブースではガンプラをはじめさまざまなプラモデルを展示するほか、リサイクル素材を使った「エコプラ」の組み立て体験会も。
タミヤブースではデコレーション製作体験や工作ロボット体験コーナーなどタミヤ製品で楽しめるイベントが盛りだくさんの予定とのことです。
展望抜群の「テンボー(Tembooo)」でランチ
1日目のランチは、静岡新聞放送会館17階にあるビュッフェレストラン「テンボー」へ。大きな窓から静岡の街や富士山、駿河湾が一望できる見晴らしのよいレストランでした。ランチタイムにはバーカウンターの赤ワイン・白ワインが飲み放題になります。
ずっと来てみたいと思っていた芹沢銈介美術館
続いて向かったのは、登呂遺跡のある歴史公園の一角に建つ「芹沢銈介美術館」。ここは明治生まれの染色工芸家 芹沢銈介(せりざわけいすけ)の作品と、芹沢が日本のみならず世界中から集めた工芸品のコレクションを収蔵する美術館です。芹沢銈介の名前をご存じないという人でも、代表作の1つ「型染めカレンダー」を一度は目にしたことがあるのでは?
芹沢銈介の作品は文字や植物、風景などさまざまなモチーフをポップで明るく、そして品格ある模様で表現していて、見ていると心が穏やかになる親しみやすい作品ばかりです。
同館ではテーマごとに焦点を絞って年4回の展覧会を開催しています。展示内容はがらりと変わるそうで、私の友人には年4回、企画展のたびに必ず訪れる大の芹沢銈介ファンもいるほど。次の展覧会は年明け1月4日から始まる「芹沢銈介の収集 日本篇」です。
今夜のお宿はビル!? 街なか分散型ホテル「ビル泊」がユニークだった!
職業柄いろいろな宿泊施設を利用してきたつもりですが、今回泊まった「ビル泊」はとてもユニークで新鮮な体験でした。びるぱくと読む「ビル泊」は、静岡市の中心市街地に点在する7棟のビルの空き区間を客室にリノベーションした分散型の宿泊施設です。
JR静岡駅から徒歩15分圏内に散らばる客室は全部で12室。ビルによって内装やインテリア・広さが違って最大定員は3名~7名まで。なかにはキッチンが付いていたり、ルーフトップテラス付きの客室もあるようです。12室のうち5室はペット可のお部屋も。
私が泊まったのはYS静岡呉服町ビルの201で、広さは85.52m2。最大定員5名のお部屋なので一人では持て余すくらいの広々空間でした。
一般的なホテルの場合、客室から一歩出ても廊下やエレベーター、フロントロビーなどが続くので“ホテルのなかにいる感”がありますが、ビル泊の場合は部屋を出るとすぐ静岡の街(笑)。その“街との近さ”が不思議な感じでした。
まわりにはコンビニやカフェ、本屋さんや飲食店などが近くにあるので、観光で使っても不便することはありません。静岡の街がもっと好きになっちゃいそうな非日常体験のビル泊、オススメですよ。
夕食は静岡駅から徒歩5分の「魚匠 ととや」で新鮮地魚を中心としたコース料理をいただきました。うっかり写真を撮り忘れちゃいましたが、旬の桜えびのかき揚げも!
静岡といえば静岡おでん。飲み足りなければ、屋台街から発展したという「青葉おでん街」や「青葉横丁」へ足を運んでみては? 外国人観光客にも人気スポットになっているようですよ。
後編では、久能山東照宮や国内最大級の伝統工芸体験施設「駿府の工房 匠宿」などプレスツアー2日目をレポートします。