旅レポ

クルマで箱根行くなら! 観光船・ロープウェイ・ケーブルカー・登山電車/バスにスマホで乗れる「箱根のりものパス Lite」使ってみた

クルマで箱根に行く人にオススメ!「箱根のりものパス Lite」

 首都圏からのアクセスがよく1年をとおして人気の観光地・箱根。年間2000万人以上が訪れるその一大観光スポットの魅力は、火山に湖、温泉、神社に美術館、クラシックホテル……と実にさまざま。さらにそれらの人気スポットを観光船やロープウェイ、ケーブルカーなど「箱根ならではの乗り物」を使って巡ることができるのも魅力の1つではないでしょうか。

 そんな箱根の乗り物を1日でコンパクトに楽しめる小田急箱根ホールディングスの「箱根のりものパス Lite」が10月から販売されています。箱根には8つの乗り物が乗り降り自由な「箱根フリーパス」もありますが、そちらは首都圏から電車を使って行く人向け。

 この「箱根のりものパス Lite」は、マイカーやレンタカーなどクルマで箱根に行く人にオススメのチケットです。利用できるのは、箱根登山電車、箱根登山ケーブルカー、箱根ロープウェイ、箱根海賊船、箱根登山バスの5種類の乗り物です。

箱根のりものパス Lite

料金: 大人3800円、子供980円(有効期限1日)
主な発売箇所: 箱根ナビ、箱根登山電車 宮ノ下駅・強羅駅、箱根登山ケーブルカー 早雲山駅、箱根登山バス 元箱根案内所・箱根案内所・桃源台案内所

もちろん富士山の絶景も箱根の魅力の1つ。こうして姿が見えるとやっぱりテンションが上がる!
箱根のりものパス Liteの乗車区間

 箱根に到着したら駐車場にクルマを停めて、5つの乗り物を効率よく使って観光しちゃいましょう~! ということで、先日さっそくその「箱根のりものパス Lite」をデジタルチケットで体験してきましたのでレポートします。

乗り物を楽しむ旅がスタート! まずは箱根海賊船から

箱根町港に停泊中の箱根海賊船。今回私は初乗船でした

「箱根のりものパス Lite」は、利用可能範囲内ならどこからでもスタートできます。途中下車可能ですが、周るルートは時計回りと決まっていて逆回りができないことがポイント。まずは駐車場をどこにするか?ですが、今回は箱根町港にしました。なので最初の乗り物は箱根海賊船ということになります。

約200台収容の無料駐車場がある箱根町港。平日だったこともあって港のこんな近くに停めることができました。駐車場はほかにも桃源台駅や元箱根エリア、早雲山エリアなど各所乗り場付近にあります。詳しい情報は「箱根ナビ」でご確認を

 10時半過ぎに箱根町港に到着したこの日。まずは作戦タイム(?)ということで目の前の「茶屋本陣 畔屋(ほとりや)」へ。2階のレストランでは11時から食事提供が始まるとのことで、ちょっと早いけれどここでランチを食べることに。結果これが吉!

 乗り物に乗って観光がスタートしてしまうと、途中どこかでゆっくり食べようという気持ちにならなかったからです。それくらいアトラクション感覚でいろいろな乗り物を楽しめるのが「箱根のりものパス Lite」なんです。

箱根町港の目の前にある「茶屋本陣 畔屋」でまずは休憩
2階のカフェレストランからは芦ノ湖や富士山が見える
レモンスカッシュがめちゃくちゃ美味しかった!
1本前の海賊船を穏やかな気持で見送る
熱々の石焼きハンバーグご飯も美味

「箱根のりものパス Lite」は、スマホがあれば箱根ナビからいつでも購入可能で、もちろん箱根に着いてからでもOK! 利用日は1か月後の日付まで選択できて決済方法はクレジットカード。使うときはチケット画面を駅などの係員さんに見せるだけなので、スマートに旅を楽しむことができますよ。なお、デジタルチケットではなく「紙券」も箱根登山電車や箱根登山バスなどの各駅、案内所で購入できます。

11時40分発の海賊船に乗船
チケット係員にスマホの画面を提示
こちらがチケット画面。下の乗り物アイコンが時計回りにグルグルと動くアニメーション画面になっている。専用アプリ不要で、いつでもさくっと購入できるのが便利

 さて人生初の箱根海賊船。船内は海賊たちのオブジェや3Dアートなどがある凝った造りになっていてとっても楽しい! スタートがこの箱根海賊船だと、かなりテンションが上がるのではないでしょうか。箱根町港を起点としたのはやっぱり正解だったかも! 目的地の桃源台港まで約30分の船旅です。

出港して約10分で元箱根港に到着。「箱根のりものパス Lite」は途中下車可能なので一度ここで降りてもOK(ですが降りません)
右手に箱根神社の平和の鳥居が見えてきました。湖側から眺めるのもまたよし
桃源台港を出港して箱根町港へ向かう逆ルートの海賊船とすれ違います
上のデッキにも出てみました。風が気持ちいい~
今回乗船したのは「ロワイヤルII」。就航中の海賊船はほかにも「ビクトリー」と「クイーン芦ノ湖」があります
目的地の桃源台港が見えてきました
非日常感たっぷりの船旅が終了
2船並ぶと大迫力でカッコいい!

箱根ロープウェイで標高1040mの大涌谷へ

大涌谷といったら名物の黒たまご

 続いて乗車するのは箱根ロープウェイ。桃源台駅~早雲山駅を結ぶこのロープウェイは、18人乗りのゴンドラが約1分間隔で出発しています。ほとんどの人が途中駅であり乗換駅でもある大涌谷駅で降りて観光を楽しみますね。もちろん私も数年ぶりに黒たまごを食べるべく大涌谷に立ち寄りました。

海賊船を降りたら、そのまま案内看板に従ってエスカレーターへ。桃源台は箱根観光船の専用港でもあり箱根ロープウェイの駅でもあります
エスカレーターで上がった先は特務機関NERV本部! エヴァンゲリオン初号機の模型も。楽しい桃源台駅の構内ホール
箱根ロープウェイの改札口。隣にあるチケット売り場にいちいち立ち寄らなくてよいからデジタルチケットは楽チン♪
標高1044mにある大涌谷駅が見えてきました
大涌谷は活発な噴気活動が続く地帯。その異様な景観は必見です
行楽客でにぎわう大涌谷。ここにも駐車場がありますが混み合うことが多いのでご注意を
やっぱりここに来たら黒たまご。1個食べれば7年寿命が延びるとか
古くは「大地獄」と呼ばれていた大涌谷。もくもくと上がる噴煙、硫黄の臭い、木々が立ち枯れて荒涼とした風景はどこか違う星に来たかのようです

足湯が楽しめる早雲山駅、旅のお土産選びやスイーツも

大涌谷をあとにします。この辺りは約130mの谷底の景色が圧巻

 観光客でにぎわう大涌谷では、土産物店を物色したり、黒たまごを食べたり、大涌谷延命地蔵尊にお詣りしたりして小一時間ほど滞在。まだまだ乗り物の旅は続くので急ぎます。

大涌谷駅で駅係員さんにスマホ画面を見せて、再びロープウェイに
まもなく早雲山駅に到着

 到着した早雲山駅は、2020年のリニューアルで絶景展望テラスができたとのことで楽しみにしていました。その名も「cu-mo箱根(クーモハコネ)」。

 なんとここには無料の足湯があるんです。人気なので椅子が空いていたらラッキー! でも誰もが旅人なので皆さん極端に長居はしません(のはず)。箱根外輪山の紅葉を眺めながら絶景足湯を楽しんでみて。だいぶ身体が冷えていたので、足元がぽっかぽかになって気持ちよかったですわ~。

セレクトされた秀逸アイテムがずらり。オリジナルグッズもいろいろあってお土産選びが楽しい「cu-mo箱根」
早雲山駅舎内のテラスゾーンにある人気の足湯。カフェで買ったドリンクを飲みながらも可能です
箱根大文字焼が行なわれる明星ケ岳の「大」の字も見ることができます

箱根登山ケーブルカーで強羅方面に下る

続いては箱根登山ケーブルカー

 山頂にある早雲山駅から、お次はケーブルカーに乗って強羅駅へと下ります。高低差214mを6つの駅で結んでいて、所要時間は約10分。森のなかを時速11kmくらいでのんびり進むので旅情感たっぷり。そしてこの箱根登山ケーブルカー、なんと2021年12月1日で開業から100年を迎えるのだそうですよ。おめでとうございます!

画面を見せるのもこれで何回目かしら
紅葉も見頃でした。森のなかをゆっくり走ります
強羅駅に到着。ケーブルカー降車ホームから箱根登山電車が見えます
強羅駅ではいったん改札口を出てみました
スイスをイメージした山小屋風のステキな駅舎、強羅駅

箱根登山電車、強羅駅~宮ノ下駅は乗り降り自由

強羅駅に入ってくる箱根登山電車

 ところで、この「箱根のりものパス Lite」には強羅にある「箱根強羅公園」が入場無料になる特典が付いています。私は今回立ち寄れませんでしたが、時間に余裕があればぜひ。熱帯植物館や、カフェや茶室、工芸体験のできるクラフトハウスなどがあって、季節の花々とともに楽しめるそうですよ。

 強羅駅前の土産物店で温泉饅頭をお土産に買ったら、お次は箱根登山電車に乗車。「箱根のりものパス Lite」では、ここ強羅から宮ノ下までの区間を乗ることができます。途中の彫刻の森駅、小涌谷駅は乗り降り自由です。

「箱根のりものパス Lite」に関してのこんな看板が出ていた強羅駅。時計回りに指定方向のみなので、強羅スタートの人はケーブルカーではなく宮ノ下行きの登山電車になります
乗り物の一番前は楽しいですね
強羅から3つ目の駅、宮ノ下駅に到着

最後はバス! 「H」と表示のある箱根登山バスに乗りましょう

はからずも見ることができた芦ノ湖の夕暮れ@元箱根港

 最後の乗り物は箱根登山バスです。箱根登山電車の宮ノ下駅から「宮ノ下」バス停までは約200m、徒歩で2~3分の距離。坂を下って1号線に出たら右へ50mほど歩くとバス停看板があります。道路を渡った反対側にもバス停が見えますが、そちらは箱根湯本方面なのでお間違えなく。

土日祝の昼間は1時間に5本くらい、平日は4本くらいの頻度で来ます
行き先の左横に「H」と書かれたバスに乗りましょう。箱根町港行きです

(箱根の乗り物ワンデートリップ完璧ですわ~!)と心の中でほくそ笑んでいたら、最後に気が緩んだのか、乗ったバスが「箱根町港」行きではなく「元箱根港」止まりだったことが判明! ゴールまであと一歩のところで“ひとやすみ”となりました。でもちょうど芦ノ湖が夕暮れに染まるタイミングで、美しい景色をゆっくりと眺めることができたのでよし!

たま~に来る元箱根港止まりのバスに乗ってしまったので15分ほど第一鳥居の周辺をぶらぶら
ちょうど夕日が沈むころでした
最後の1.5kmほどを乗せてくれる箱根登山バスが来ました

 秋の平日に「箱根のりものパス Lite」を使って巡ってみて感じたことは、とにかくアトラクション感覚で次から次へといろいろな乗り物に乗ることができて楽しいということ。乗り物好きのお子さまはもちろん、いつもとはちょっと違った箱根旅をしたいなと思っているクルマ派さんにオススメです。

クルマを停めたスタート地点の箱根町港に到着
16時35分。今はすっかり日が落ちる時間です

 注意するとしたら、思っていた以上に時間がかかる(かけられる)ということ。途中で美術館や神社に立ち寄ったり、日帰り温泉施設を利用したいと思ったら、時間配分に注意しましょう。

 クルマを停める駐車場をどこにするかを決める際は、最後の乗り物の運行時間をチェックしておくとよいかもしれませんね。箱根周辺の距離感をある程度知っている人、単純に箱根の乗り物を楽しみたい! そんな人に特化した「箱根のりものパス Lite」でした。

すべての乗車券をその都度買うと4000円になるので200円お得な「箱根のりものパス Lite」。私はその200円以上に、いちいち乗車券を買う煩わしさがないデジタルチケットの利点を感じました。次の箱根たびはクルマを停めたら乗り物を楽しんでみて!
ゆきぴゅー

長野生まれの長野育ち。2001年に上京し、デジカメライター兼カメラマンのお弟子さんとして怒涛の日々を送るかたわら、絵日記でポンチ絵を描き始める。独立後はイラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”として、雑誌やWeb連載のほか、企業広告などのイメージキャラクター制作なども手がける。