イベントレポート

【パリ航空ショー 2019】ボーイング、777/787シリーズでワイドボディ市場の優位性をアピール。「過去5年間の受注の68%はボーイング」

2019年6月17日~23日(現地時間)開催

ボーイング コマーシャルセールス・マーケティング担当 上席副社長 イサン・ムニール氏

 フランス ル・ブルジェ空港で6月17日~23日(現地時間)、世界最大級の航空展示会「パリ航空ショー(International Paris Air Show)2019」が開催されている。

 ボーイングは会期2日目の6月18日(現地時間)、同社の777シリーズ、787シリーズなどのワイドボディ機(通路が2列以上ある大型機)に関する現状説明などを行なった。

 ボーイング コマーシャルセールス・マーケティング担当 上席副社長のイサン・ムニール氏は、「2014年からの5年間でデリバリーされたワイドボディの63%、販売契約が結ばれたワイドボディ機の68%がボーイングだった。競合に対する我々の優位は続けている」と述べ、競合となるエアバスと比較して、ワイドボディではボーイングが優位だと強調した。

世界の3分の1が長胴ワイドボディ向けの航路になっており、市場は成長している

長胴ワイドボディ向けの航路が3分の1に

 ワイドボディ機は「通路が2本以上ある飛行機」を指しており、中長距離の国際線や国内線でも需要が強い市場(日本で言えば羽田~伊丹線など)で利用される大型の機材を意味している。ボーイングで言えば777、787などで、エアバスで言えばA330、A350、A380などが該当する。

長胴ワイドボディ機の市場シェア

 ムニール氏は「ワイドボディの市場は成長しており、現在世界の路線の3分の1は長胴ワイドボディ向けのルートになっている」と述べ、500を超える新しいルートがボーイングの777と787により開設されており、市場の63%がボーイングの長胴ワイドボディ機であると強調した。そして今後さらに成長が望めそうな市場として、中国などのアジア太平洋地域、北米、欧州、中東などが今後も伸びると予想されているため、ワイドボディの市場も伸びていくという。

ボーイングのワイドボディのラインアップ

 そしてボーイングのワイドボディ機のラインアップに触れ、「例えば貨物向けのワイドボディ機について、競合は1つのラインアップしか用意していない。我々は5つのラインアップを持っている。今後は貨物機への需要は高まると考えられており、我々は98%の市場シェアを持っていると」と述べた。

 また、旅客機に対しては「787には3つのオプション、777には2つのオプションを持っている。787は(競合と)同じサイズでロングホール(長距離)の787-10を投入している。777に関しては、今後は777-300ERも引き続きオファーしながら777-9、777-8を投入する」と述べ、現在多くのエアラインで導入されている787や777のより長胴の新バージョンなどを投入して、エアラインの選択肢を広げていくのがボーイングの方針だと説明した。

787シリーズの3つのオプション
787-10のA330neoとA350との比較
787-10の潜在市場

 すでにANA(全日本空輸)などが導入している787-10に関しては、A330neoと比較すると60席多く設定が可能で、シートあたりのコストは18%低く、貨物室に4トン多く荷物を積める。A350と比較すると、21席多く設定が可能で、貨物室に8トン多くの荷物を積むことができ、1フライトあたり2000米ドルのコスト削減が可能だと説明した。その787-10は、今後777-200といったボーイングの従来のワイドボディ機やA340-300/A330-300などの競合のワイドボディ機を置き換えて、今後10年間で500機を超える需要があると予測しているという。

大韓航空が787-10を20機導入

 なお、この説明を行なった6月18日(現地時間)には、大韓航空が787-9(10機)と787-10(10機、リース10機)で、787シリーズを計30機導入することを決めたとアナウンスがあり、そのことも触れられた。

777XのA350-1000に対する優位性を強調

ロングセラーとなっている777シリーズ

 777ファミリーに関しては、来年の投入を目指している777X(トリプルセブンエックス)に関しての説明も行なった。ムニール氏は「777Xは新しい長胴市場のリーダーになる。A340、A330、777-200、777-300などの置き換えとして有望だ」と述べ、777-8や777-9などの777Xシリーズがワイドボディで長胴の旅客機の新しいトレンドになると述べた。

777X(777-8、777-9)とA350-1000の比較
コスト比較

 777XはエンジンがGEのGE9Xという新型になり、主翼の素材が新しい素材のカーボンになるなどの特徴を備えており、さらに客室も広くなる。エアバスのA350-1000と比較すると、777-9は10%低いコストで53席多く設定でき、777-8は航続距離を2400km長くしたうえ、17トン多く搭載することができる。また、777-9の1席あたりのコストは、747-400と比較して44%少なく、A380と比べて33%少なく、777-300ERと比較して13%、さらにA350-1000と比較して10%少ないと説明した。

胴部の比較
ブリティッシュ・エアウェイズが777-9を18機オーダー

 飛行機の胴部も大きくなっており、競合(エアバスのA350-1000だと思われるが、言及はなかった)と比較して、直径を大きくすることで、キャビン内に余裕ができると説明した。標準のエコノミークラスシート構成は3-4-3で1列10席。なお、この会見が行なわれた前日(6月17日、現地時間)にはブリティッシュ・エアウェイズが777-9を18機オーダー、24機オプションとして契約したことを明らかにしており、そのことにも言及した。

航空会社に引き渡されたワイドボディ機のうち63%がボーイング、受注されたワイドボディ機のうち68%がボーイング
エアラインの再注文が多い
貨物機としてのオーダーも多い

 ムニール氏は2014年~2018年の5年間のデリバリーと受注について触れ、「航空会社に引き渡されたワイドボディ機のうち63%がボーイング、受注したワイドボディ機のうち68%がボーイングだった」と述べ、依然として競合に対して優位に立っていると強調した。そして、このうち52の顧客が購入した812機はリピート(同じ機種の買い増し)だったとして、この点でも競合に対する優位があるという。