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JAL、羽田と伊丹のサクララウンジに「弘前のさくら」。国内有数の名桜を一足早く堪能

“本物”が咲き乱れる「弘前さくらまつり」は4月23日開幕

2016年3月26日から順次展示開始

羽田空港のJALダイヤモンド・プレミアラウンジ、サクララウンジの受付に飾られた「弘前のさくら」

 JAL(日本航空)は、青森県弘前市とのコラボレーション企画として、“日本三大夜桜”や“日本三大桜の名所”に含まれるなど日本有数の桜として知られる「弘前のさくら」を羽田空港(国内線)と伊丹空港のラウンジ、青森空港のチェックインカウンターで展示。3月27日より展示を開始する羽田空港サクララウンジで贈呈式が行なわれた。

 弘前市の弘前公園に咲く「弘前のさくら」は、上述のような桜に関する名数に含まれることが多く、日本一と称する人もいるほどの名桜。毎年4月下旬から5月にかけては「弘前さくらまつり」(2016年は4月23日~5月5日)も開かれ多くの人で賑わうが、祭りの日程からも分かるとおり弘前のさくらの見頃は4月下旬以降。今回、本来の開花時期より早く開花させ、一足先にラウンジやチェックインカウンターで楽しめるよう展示する。

 JALでは、JAL東北応援プロジェクト「行こう! 東北へ」のほか、地域のプロモーション活動である「JAPAN PROJECT」などを展開し、3月には東北を取り上げるなど、青森県をはじめとする東北各地との連携を強めている。今回展示される弘前のさくらも、そうした活動の一環。

 羽田空港は国内線第1旅客ターミナルに各2カ所あるダイヤモンド・プレミアラウンジとサクララウンジ、伊丹空港に2カ所あるサクララウンジ、青森空港のJALチェックインカウンターでそれぞれ展示される。各所での展示期間は下記のとおり。

羽田空港国内線ラウンジ(ダイヤモンド・プレミアラウンジ、サクララウンジ)

展示期間:3月27日~4月8日

伊丹空港サクララウンジ

展示期間:3月29日~4月8日

青森空港JALチェックインカウンター

展示期間:3月26日~4月8日

弘前市 経営戦略部 理事 佐々木公誠氏(左)と、弘前市 都市環境部 公園緑地課 チーム桜守の橋場真紀子氏

 弘前市 経営戦略部 理事の佐々木公誠氏は、「JALのサクララウンジと弘前市が世界に誇る桜、“さくら”つながりでJALの利用促進と弘前市の弘前さくらまつりのPRにつなげていきたい。北海道新幹線が開業したが、大手の旅行会社では片道新幹線、片道飛行機というのもある」と説明。

 弘前さくらまつりの見どころについて、「今年は4月23日から5月5日まで開催する。昨年(2014年)、現存12天守の1つである弘前城の石垣修理のため、天守が移設されている。津軽富士といわれる岩木山、お城の天守、桜が一つのポイントで見られる。また、シティプロモーション強化で“弘前デザインウィーク”という新しい戦略に取り組む予定で、このさくらまつりにサプライズを計画している。ぜひ皆さまにJAL便を使って訪れていただきたいと思っている」とアピール。なお、移転した天守と岩木山、桜の組み合わせは、石垣修理が完了する2021年度(平成33年度)までの約5年間の楽しみだという。

 弘前のさくらは、りんごの剪定を応用した「弘前方式」と呼ばれる手法によって、その美しさを実現している。根の病気に対する積極的な外科手術、幹から伸びる不定根の保護、土壌改良など独自の管理方法を取り入れているが、その技術を引き継ぎ、毎年の弘前さくらまつりに向けて桜の剪定作業を指導するのが「桜守」と呼ばれる人々だ。

弘前のさくらが、桜守の橋場真紀子氏(右)から、青森市出身のJALグランドスタッフである蝦名香保さんへ渡された

 今回、贈呈のために東京・羽田空港を訪れた桜守の橋場真紀子氏は、JALのサクララウンジに贈呈する桜について、「弘前公園にはたくさんのお客さまも来るので、まずは安全第一。古木のために大きな枝が腐ってきたり病気になってきたりするので、生きている健康な枝もやむなく切らないといけないものが出てくる。今回はこういった形で展示させていただけることになったので持ってきた」と説明。

 ラウンジなどでの展示にあたって苦労した点としては、「病気や虫のないところを選別するのが大変だった。また、剪定枝を開花させて展示するという取り組みは初めてだったので、現地でタイミングよく咲くよう、どう処理するのがよいか難しかった」と説明。桜は前年の夏に芽が作られたあと休眠期を経て、1月中旬頃に休眠が解かれる。その後に剪定した枝を、弘前市が秋に行なっている菊まつりのために使う温室で温度管理をして開花させたという。

 この、剪定作業は毎年2月20日頃よりスタート。剪定された枝は週に1度市民に配しており、だいたい200~300名ほどの人が並ぶという。管理の仕方も渡しているそうで、上手に咲かせる市民もいるそうだ。

 JALのサクララウンジなどで展示する桜は、2週間後に1度交換を予定しており、1回あたり160本、計320本の使用を予定している。

 贈呈式では桜守の橋場氏から、JAL羽田空港グランドスタッフで青森市出身の蝦名香保さんに弘前のさくらの剪定枝を贈呈。蝦名さん自身は青森市出身ながら、おばあさんの自宅が弘前市に近いとのことで、「昨年もゴールデンウィークに帰省して、夜桜を見に行ったのに、今年は弘前の桜をこんなに近くで見られるのは私自身もすごくうれしい」と喜びのコメント。また、「今日も何名かの方にきれいですねとお話いただけたので、そのように楽しんでいただいて、青森に行かれる方が増えればいいなと思っている。足を運んでいただければ、本当にきれいでインパクトがある弘前のソメイヨシノを見ていただける」と実際に青森、弘前へ訪問する人が増えることに期待した。

ダイヤモンド・プレミアムラウンジに飾られた弘前のさくら
サクララウンジでは入り口とテーブル席の2カ所に展示。花を生けたのは空間デザイナーの大西香次郎氏で、入り口の桜には飛行機の翼のようにクロトンという2枚の葉を広げている

 桜守の橋場氏によると、弘前のさくらは花芽につくツボミの数の多さが一つの特徴であるという。1つの花芽に通常は3~4個、管理してない桜では2個程度ということもあるそうだが、弘前の桜は平均で4.5~5個であり、これがボリューム感のある桜を生み出しているという。

 実際にサクララウンジなどに飾られた桜について、「ここで見ていただくのは剪定枝の展示なので、どうしても桜のボリュームは控えめになってしまう。まずはここで少しイメージを持っていただいて、実際に青森・弘前の方にお越しいただくことにつながればと思っている」と、やはり迫力ある弘前公園の現地で見てほしいという期待を述べた。

 そんな弘前公園の桜の開花だが、弘前市が独自に出している開花予想があり、今年度第1回目の発表となった3月22日の予想では、平年より4日早い4月19日の開花が予想されている。本稿掲載日の3月28日には第2回目予想が発表される予定だ。

 弘前さくらまつりの期間は先述のとおり4月23日~5月5日となるが、「園内には52品種、約2600本の桜があって、ソメイヨシノより遅く咲く品種の方が圧倒的に多い。今年のように早咲きが予想される年でも、八重咲きの桜や、黄色や緑色っぽい花を咲かせる品種、遅咲きのメインとしてPRしている弘前独自の『弘前雪明かり』という品種など、会期全般にわたって見られる」(橋場氏)とのことなので、いざ弘前公園を訪れたのに桜が咲いてなくてガッカリ……といったことがないのも、弘前さくらまつりの魅力なのかもしれない。

(編集部:多和田新也)