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日本旅行業協会、滋賀・奈良・和歌山地区の合同インバウンド商談会を開催

ゴールデンルートに集中する訪日外国人旅行者を周辺地域へ

2015年12月11日 開催

 JATA(日本旅行業協会)は12月11日、「第2回 JATAインバウンド商談会(滋賀・奈良・和歌山地区合同)」を大阪国際交流センター(大阪市)で開催した。

 このインバウンド商談会は、JATAに加盟する旅行会社と、観光振興を図る地方自治体のビジネスマッチングを目指したもの。国土交通省近畿運輸局、JNTO(日本政府観光局)、滋賀県、奈良県、和歌山県が後援しており、参加人数は約100名となっていた。

JATA訪日旅行推進委員会 副委員長 小川亘氏

 商談会は、JATA訪日旅行推進委員会 副委員長で近畿日本ツーリスト 代表取締役社長 小川亘氏の挨拶で開幕した。小川副委員長は、訪日外国人旅行者が想定以上の勢いで推していることを紹介。日本政府の目標として2000万人が掲げられていたが、現在は来年(2016年)には2000万人を達成しそうな勢いだという。

 急増する訪日外国人旅行者は日本経済にとってよいことだが、その中でさまざまな課題が発生。JATAとしては「東京、京都、大阪以外にどうやって行ってもらうのかということに取り組んでいる」とし、「地域への分散化、海外の祝祭日を意識した分散化、民泊への対応など」がインバウンド大国を目指す上で解決すべき急務だという。

 第1回のインバウンド商談会は群馬県前橋市で開催。これは首都圏を訪れる訪日外国人旅行者を群馬県・栃木県などに誘致するための取り組みで、第2回の今回は、京都や大阪を訪れる訪日外国人旅行者を滋賀県・奈良県・和歌山県へ誘致する取り組みになる。そのために必要なのが、「滋賀県に行きたい、奈良県に行きたい、和歌山県に行きたいという目的をもった商品作り」であるとし、これらの商品を旅行会社として自治体と一緒になって作り上げ、積極的に海外、特にタイ、マレーシア、フィリピンで販売していきたいと語った。

 来賓挨拶は、国交省近畿運輸局 観光部 部長 阪部光雄氏、JNTO理事 山崎道徳氏、滋賀県商工観光労働部 観光交流局 局長 谷口良一氏の3人。いずれも現状のインバウンドの伸びが凄いと語り、2015年1月~10月で1631万人に達し、年内で1900万人を超えてくるという。

 これがどのらくい凄いかというと、2013年が1036万4000人、2014年が1341万4000人なので、二次曲線的に増えているわけだ。

 ただ問題は、4人が異口同音に指摘する、東京・京都・大阪といったいわゆるゴールデンルートに訪日外国人旅行者が集中していること。すでに宿泊施設は飽和状態となっており、来日する旅行客が宿泊しづらくなっている(これは日本人も同様)。そのため、周辺地域の観光に誘い、地域分散を図っていくことで訪日外国人旅行者2000万人時代を迎えたいとした。

国土交通省近畿運輸局 観光部 部長 阪部光雄氏
JNTO理事 山崎道徳氏
滋賀県商工観光労働部 観光交流局 局長 谷口良一氏

訪日外国人旅行者の地方分散が必須となる時代

 第2回 JATAインバウンド商談会では、「訪日旅行需要の地方分散に向けて」と題した講演も行なわれた。講師は、JATA訪日旅行推進委員会・需要拡大部会 座長であり、日本旅行 取締役 国際旅行事業本部長でもある喜田康之氏。喜田氏は、JATAの2015年度事業計画とともに、訪日外国人旅行者2000万人達成に向けた改善点を解説。地方分散促進が地方創生に繋がるとし、訪日旅行の品質向上が大切だと語った。

JATA訪日旅行推進委員会・需要拡大部会 座長 喜田康之氏
訪日旅行委員会の取り組み
訪日外国人旅行者2000万人達成に向けた提言書
課題
地方分散の促進
需要の集中
宿泊施設タイプ別
国籍別
稼働率
貸し切りバスの状況
通訳案内や英語を除く言語の掲示
JATAの取り扱いシェア
ツアーオペレーター品質認証制度
訪日外国人のニーズに立脚した取り組みを
ニーズの変化
地域分散への処方箋
滋賀・奈良・和歌山の選定理由

 喜田氏の講演後は、市町村単位の各自治体が観光資源をプレゼンテーション。その後、JATAに加盟する旅行会社との個別商談会が開催された。このような商談会において観光資源が旅行商品化され、各国の旅行会社で販売されていく。実際に売れるかどうかは自治体と旅行会社の努力にかかっているのだが、自治体のみでは誘致の難しい部分を旅行会社の販売網に乗せることで実現していくことになる。

(編集部:谷川 潔)