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天草エアライン、2016年1月に運航を開始する「ATR42-600(みぞか号)」を披露

機体に描かれたくまモンも出席し機内へ

2015年9月29日 公開

崇城大学空港キャンパスの格納庫で公開されたATR 42-600

 天草エアライン(AMX)は9月29日、熊本空港敷地内にある崇城大学空港キャンパス(熊本県菊池郡菊陽町)で、2016年1月から運航開始予定の新型機「ATR 42-600」型機の内覧会およびセレモニーを実施した。

 AMXは1998年に熊本県、天草2市1町、および民間出資による第3セクターとして設立。ボンバルディア製「DHC-8」型機を1機保有し、天草~福岡間、天草~熊本間、熊本~伊丹(大阪)間を結ぶ。現在、今回の新型機の導入に伴い、一部便が運休中となっている。また、2000年3月の運航開始時から使用されてきたDHC-8型機は、ATR 42-600の運航開始後は退役となる。同機ののべ搭乗者数は110万人余りを数える。

 セレモニーには天草エアライン 代表取締役社長 吉村孝司氏をはじめ、国土交通省大阪航空局 次長 大坪守氏、熊本県 副知事 村田信一氏、天草市長 中村五木氏、ATR 副社長 トム・アンダーソン氏、リース契約を手がけるNAC(ノルディック・アビエーション・キャピタル) ディビット・ジョーンズ氏らが出席。挨拶を行なったほか、トム・アンダーソン氏から2市1町へ記念鍵の贈呈、ディビット・ジョーンズ氏から吉村氏へはモデルプレーンが贈呈された。

 吉村氏は囲み取材で、導入の理由を「現有機と同じようなタイプであることをはじめ、燃費、購入価格などを検証した結果」「プロペラ機の市場はジェット機ほど大きくなく、40~50座席はATRしかない」と説明。機体については「下腹部が膨らんでいるので少し太ったかなという印象だが、バランスの取れたよい飛行機だと思う」「まだ乗っていないがスタッフによると騒音が少なく、機体の揺れがあまりないと聞いている」と好印象な様子。

 また、新型機を武器に「ジェット機に比べると低い所を飛ぶため景色がよく見える。1度乗ったら2度楽しめるという点を今後アピールしていきたい」「新しい飛行機を武器にもう1回乗ってみようというリピーターを増やしたい」「ぜひ、あたらしいみぞか号にお乗りいただきたい」とアピールした。

 業績面に関しては、これまでは座席数が少なかったため、残席によほど余裕のある時以外は団体客を迎え入れることができなかったが、今後は割り当てを増やすことができると説明。「大手の航空会社のできないサービス、おもてなし」により「乗客数は最盛期で8万人余りだったが、今後は10万人を目指して頑張りたい」と新型機効果に期待を寄せた。また、JALとのコードシェアについても販路が広がるとともに座席の消化率もよく、割り当てを増やしていきたいと語った。

 今後、AMXに続き日本エアコミューター(JAC)もATR 42-600を導入する点については「現状の1機体制だとC整備(重整備)を行なうと1週間ほど運休する必要がある。JACとは現在も協力関係にあるが、共通機材の活用により運休を最小限に留めたり、パーツ在庫の共有によりムダを減らしたりなど、協力関係を模索していきたい」とした。

ATR 副社長 トム・アンダーソン氏から2市1町へ記念鍵が贈呈された
NAC ディビット・ジョーンズ氏
NAC ディビット・ジョーンズ氏からはモデルプレーンが贈呈された
関係者による記念撮影
公認サンタでもあるパラダイス山元氏はデザインにも協力
熊本といえばくまモン。今回はサンタ姿の「もんたクロース」で登場
ヒコーキポーズを披露するくまモン
くまモンとパラダイス山元氏とCA(客室乗務員)
くまモンとパラダイス山元氏が機内に乗り込むことに。パラダイス山元氏は足もとのマットに気づき跨いでタラップへ
タラップ下に敷かれていたくまモンマット
くまモンは気にせず顔面を両足で踏んでいった
タラップでポーズ
エントランスを通れるのか? と報道陣からざわめきが起こる
なんとか収った。結果的にくまモンでも通ることができる広いエントランスをアピール
くまモンでも通ることができる広いキャビンと通路をアピール

登録番号はJA01AM

 ATR 42-600は、フランスのエアバス・グループとイタリアのAlenia Aermacchiの共同事業体、ATRによる双発ターボプロップ機。第1世代のATR42は1985年からサービスが開始された機体となるが、今回導入されるATR 42-600はエアバスA380の技術を取り入れたグラスコックピットや最新の航法機器を装備した新世代機。競合機に比べ250nm(ノーチカルマイル、約463km)飛行した際の運航コストを約11%削減できるほか、低騒音、低エミッションを実現していることが特徴。


ATR 42-600DHC-8
座席数4839
エンジンPratt & Whitney Canada PWC127MPratt & Whitney PW121
最大離陸重量(t)18.614.9
最大巡航速度(km/h)556502
全長(m)22.6722.25
全幅(m)24.5725.91
高さ(m)7.597.49

 客室デザインはクルマやカメラなど幅広く活躍するイタリアのデザイナー、ジウジアーロによるもの。イタリア語でハーモニー(調和)を意味する「ARMONIA」キャビンと名付けられたインテリアを採用しており、AMX仕様ではレッドの本革シート採用と相まってモダンな仕上がりとなっている。

 外装デザインはDHC-8型機と同じくイルカのペイントが施されており、愛称の「みぞか」号も引き継がれた。みぞかは天草弁で「かわいい」の意味。

外観
エンジンはPratt & Whitney Canada PWC127M。離陸時出力は2160SHP
プロペラはハミルトンスタンダード製568F。ブレードは6枚、直径3.93m
前輪。タイヤはミシュラン製
主輪。ホイールにはカバーが付いている
コクピット下の吸入口
ピトー管
前部右下に電源関係のポートがある
主翼。翼面積は54.5m2
フューエルリッド。最大燃料搭載量は4500kg
左主翼端
右主翼端
着陸灯など
前部キャビンに非常口が設けられている
後部ドア。右側にはタラップがない
左側ドアはタラップになる
登録番号
後端
水平尾翼は垂直尾翼上にあるT字タイプ
水平尾翼形状
機体下部にはもんたクロースが描かれている

ジウジアローデザインの機内

アナログメーターを廃し液晶モニターを5枚配置したグラスコクピット
ジウジアーロによりデザインされたキャビン。シートは2-2の4アブレスト12列。ただし左右で1列ズレているため右側は1~12、左側は2~13の番号が付けられている
左側最前部のシート
右側最前部のシートは後ろ向き。つまりここだけ対面になる
中央部のシート
中央のアームレストは跳ね上げ可能
アームレスト部に設けられてレバーでリクライニングもできる
シート背面
テーブルやポケットを装備
テーブルは若干手前に引き寄せることが可能
下部にはポケットも
シート下
シェードは手動式
オーバーヘッドコンソール
左側の最後列は13A/Bになる
広くなったオーバーヘッドビン。55×25×42cmのローラーバッグを納めることが可能
客室から見たエントランス。中央にCA用のジャンプシートを装備
ジャンプシートの上にタッチスクリーン式のキャビンマネージメントシステムがある
タラップから見たエントランス。すぐ右側にラバトリーがある
ラバトリー
タラップの逆サイドにギャレーがある
エントランス部にあるプレート。刻印はなぜか42-500

(安田 剛)