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島根~広島、四国までのネットワークを形成する「中国横断自動車道 尾道松江線」が全線開通
松江から尾道まで2時間半、開通式には「しまねっこ」ら沿線のゆるキャラ大集合
(2015/3/23 10:55)
- 2015年3月22日17時 開通
国土交通省 中国地方整備局 福山河川国道事務所ならびに三次河川国道事務所は3月22日、島根県の松江市と広島県の尾道市を結ぶ「中国横断自動車道 尾道松江線」最後の未開通区間となっていた世羅IC(インターチェンジ)~吉舎IC、延長20.4kmを開通。これにより、尾道松江線が全線開通した。
1989年に三次~松江間、1991年に尾道~三次間の基本計画が決定。2004年からは尾道~三刀屋木次間(約111km)を新直轄方式へ移行し整備を進めてきたもの。島根県側の三刀屋木次IC~松江玉造IC間、広島県の尾道本線料金所~尾道JCTを除く、新直轄区間は無料で走行できる。
この開通により、北は山陰自動車道、中部は中国自動車道、南は山陽自動道と直結し、その先は国道2号を経由して尾道と今治を結ぶ瀬戸内しまなみ海道(西瀬戸自動車道)に繋がる広域ネットワークを形成する。
開通式には国土交通大臣政務官の青木一彦氏が挨拶にたち、「松江から尾道まで2時間半で結ばれ、四国までが高速道路で結ばれる。さらなる観光産業、企業活動の活性化、堺港を活用した北東アジア地域との貿易といった海上物流など経済の好循環に寄与すると期待している」とコメント。
広島県の湯崎英彦知事は「前週に開通した東広島呉自動車と合わせ、広島県の広域的な交流連携の基盤となる井桁状の高速道路ネットワークが完成し、地域間の移動時間が大幅に短縮される。中国、四国から人やものが集まり、本県の中枢機能性が高まる」。島根県の溝口善兵衛知事は「一昨年、尾道松江線が三次市まで開通した際にはGWの交通量が2倍に増えた。すでに広島県と島根県とは製造業、小売業などの経済的交流が始まっている。島根県東部には出雲大社、西武には世界遺産の石見銀山、海を渡れば隠岐がある。広島の方には島根へ足を運んでいただき、島根の人も広島を訪れることで相乗効果を大きく拡げていきたい」と、それぞれに期待を寄せる。
開通式に参列した、亀井静香衆議院議員は「新直轄は一石二鳥。無料ですから」と、尾道松江線の便利さに言及。また、「尾道は同じ市内で尾道松江線は無料、因島(しまなみ海道)は有料と矛盾を抱える」と指摘し、将来的には高速道路は無料化していくべきとの認識を示した。また、「私が生まれた庄原市にも大きな道路を作ったがクルマが通らない。どうしてか……。どうすれば人やクルマが通る道にしていけるか、まさにこれからの我々の努力にかかっている」と課題も示した。
同じく参列の細田博之衆議院議員は、「我々は松江尾道線と呼んでいるが(笑)、全線開通は島根県民長年の悲願だった」と喜びを表した。また、「一部有料の区間はあるが、尾道から松江まで数百円で来られる。(中国横断自動車道の)浜田広島線や岡山米子線は有料だが、こちらは数百円。これは観光においても、物流においても大きなインパクトがある」と産業への好影響に期待した。
開通式では、中国横断自動車道 尾道松江線の愛称デザインのお披露目も行なわれた。愛称は「中国やまなみ街道」で、全国に対して公募した結果で選ばれたもの。「中国山地のおだやかな稜線がイメージでき、瀬戸内しまなみ海道との一体感を連想できる」ことが先出の理由。
また愛称デザインは、尾道市立大学美術学科の高岡陽准教授によるもので、「中国山地の緑、瀬戸内・日本海の青空、神話の国・出雲を連想できる沸き立つ雲」を配したデザインとなっている。
なお、開通式前の待ち時間には、尾道松江線のこれまでの歩みを記したスライドショーが行なわれた。その写真を下記に掲載しておく。