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開通約50年の首都高 荒川湾岸橋、大規模修繕の現場を見てきた。「塗膜の剥がれ・土台の腐食・一部で断面欠損や破断」など深刻な損傷、どう直す?
2026年8月10日 16:15
- 2026年8月6日 公開
首都高は8月6日、湾岸線「荒川湾岸橋」(東京都江東区~江戸川区)の大規模修繕工事の現場を報道公開した。
荒川湾岸橋は、首都高湾岸線 新木場~葛西JCT間の荒川をまたぐ延長約840mのトラス橋。湾岸線は1976年に東京港トンネルが開通したのち、1978年に荒川湾岸橋を含む新木場~浦安間、1980年に箱崎~浦安間、1993年に空港中央~東海JCT間、1994年に大黒JCT~空港中央間、そして2001年に三渓園~杉田間が開通することで全線が開通。1990年代半ばには1日約22万台もの交通量(現在は約16万台)を抱える首都圏の大動脈となった。
湾岸線は首都高速のなかでは比較的新しい路線ではあるものの、初期に開通した区間は開通以来およそ50年(荒川湾岸橋は48年)が経過。また、荒川湾岸橋は河口付近に位置することから飛来塩分の影響が大きく、塗膜が下地から広範囲に剥がれ落ちる事象、それに伴う鋼材の腐食などが想定以上に進展しているという。
荒川湾岸橋大規模修繕工事の概要
首都高速では2014年度から「首都高リニューアルプロジェクト」として共用延長327.2km中63.7kmで大規模更新工事および大規模修繕工事を各所で進めており、本誌でも「高速大師橋」「東品川桟橋・鮫洲埋立部」などの大規模更新工事現場をレポートしている。
今回の荒川湾岸橋は新技術の活用などにより詳細な点検を行なったことで損傷発生数が約4500件、そのうち腐食・塗膜劣化が53%を占めていることが判明したことから、2024年に大規模修繕工事として追加されたもの。高速1号線「羽田トンネル」などとともに更新区間21.6km、事業費3056億円が見込まれている。
荒川湾岸橋の概要
開通日: 1978年1月20日
延長: 約840m
車線数: 往復8車線(建設時は往復6車線)
構造形式: トラス橋(中央径間は鋼床版箱桁橋)
構造概要: 定着径間4径間、吊径間3径間、中央部は鋼床版箱桁
荒川湾岸橋の機能強化、耐震補強工事
1987~1988年: 塗装塗替工事
1995~1999年: 4車線化拡幅工事(新木場~葛西)
1995~1999年: RC橋脚の耐震補強工事
2001~2004年: 落橋防止システムの設置工事
2008~2009年: 鋼製橋脚の耐震補強工事
2008~2013年: 上部構造の耐震補強工事、トラス床組の塗装塗替工事(工事中に東日本太平洋沖地震により損傷発生)
2011~2012年: 東日本太平洋沖地震による災害応急復旧工事
今回の工事区間は江東区側の460mで、橋梁の塗装塗替、各種損傷補修および検査路・恒久足場の設置を行なう。
荒川湾岸橋では過去に主構トラスが1回、床組桁は2回の塗装塗替を行なっているが、その際は劣化した塗膜のみを除去する「3種ケレン」であったことから厚膜化。そのままでは塗膜が剥離する懸念があることから、今回は錆はもちろん古い塩化ゴム系の塗膜をメタルブラストにより完全に除去し鋼材面を露出する「1種ケレン」による高耐久仕上げとしてフッ素塗装を実施する。
点検通路は既設に加えてトラス部には床組下の上部に2か所、下部に1か所を新たに設置。加えて中央径間部には恒久足場も設置する。
そのほか、損傷している排水管やボルト、ガセットプレートの取り換え、RC橋脚の剥離部の補修なども実施する。
工事は江東区側から1径間ごとに「足場仮設」「補修補強」「塗装塗替」が行なわれ、順次江戸川区側に移っていく。工事期間は足場仮設などに約8か月、塗装~点検で同じく約8か月で、全体では2025年3月29日~2032年12月26日までの約7.5年を見込む。江戸川区側は今後発注予定とのこと。
足場仮設が終了し補修および塗装作業を控えた工事現場を見てきた
今回公開したのはもっとも江東区側の「A工区」で、足場仮設が終わった状態。このあと、補修や塗装作業が行なう。塗装・補修する鋼材は全区間(約840m)で約1700本にもおよぶ。仕上がりカラーは「ウォーターサイドブルー」と名付けられた青系になる。
大規模修繕により重要な土木インフラの長期的な耐久性を確保
大規模修繕について説明した首都高 東京東局 土木保全部長の岡原貴司氏は、荒川湾岸橋について「1日約16万台の交通量を担っており、首都高の物流、交通を支えるきわめて重要な土木インフラ」であると前置き。
しかし、海に近い厳しい環境下にあることから潮風の影響で腐食が進みやすく、部分的な補修により「当面の安全性は確保」しているものの、近年は「下地からの塗膜の大規模な剥がれ」「急速に進む土台の腐食」、さらに「一部の部材では断面欠損や破断」といった深刻な損傷が顕在化。こうした部分をその都度補修するのではなく、長期的な耐久性を確保するために大規模修繕を実施することになった、と背景を説明する。
今回の大規模修繕では「剥がれやすい既存の塗膜をすべて除去して高耐久な塗装への塗り替え、腐食した部材の交換や補強」を行なうとともに、「今後の点検を容易にするという観点から点検用の通路の増設」を実施。これらにより、「構造物の健全性を抜本的に変えることにあわせて、今後の維持管理を大幅に改善していくことが可能になる」と述べた。








































































