ニュース

JR西日本、新大阪駅の新11番、12番のりばを2月1日より運用開始

1月31日終電から2月1日の始発まで650人体制で切り替え工事

2016年1月28日 実施

新しい11番・12番のりばとなる「2号ホーム」の大阪駅方面を望む

 JR西日本(西日本旅客鉄道)は1月28日、2月1日から使用開始される新大阪駅の新11番、12番のりばを公開した。

 新しい11番・12番のりばがある「2号ホーム」は、現在使用されている11番・12番のりばがある「1号ホーム」の隣にある。同社によると、新ホームの使用開始により、現在11番・12番のりばとして使用している1号ホームを使用停止して、2018年度末に開業予定のおおさか東線 新大阪駅~放出(はなてん)駅間の整備事業を開始する。おおさか東線は2002年に放出駅~久宝寺駅間の9.2kmが開業している。おおさか東線の整備事業は、新大阪~放出駅間11.1kmで、城東貨物線の線路を活用し、複線化・電化を行うほか、新大阪駅~淡路駅(仮称)間に線路を新設し、新大阪駅から大阪東部地域を経て大和路線の久宝寺駅にいたる総延長20.3km旅客線を整備するもので、2018年度末の開業を予定している。新大阪駅1号ホームの改装工事は2018年春頃の完成を目指す。

安全性とサービスの向上

 新しいホームには、ホーム中央付近にエレベータ1基、エスカレータ2基に加え、特急列車の乗車位置を示すLED乗車口案内標が設置される。ホームの京都駅側には広さ40m2の待合室が設置され、デザインは室内から外の見通しがよい全面ガラス張りとし、15席あるベンチや床に木目を用いて暖かみを感じられるものとした。

ホーム中央に設置されているエレベータ。ガラス張りで見通しがきくようにデザインされている
ホーム中程には上り、下り1基ずつエスカレータが設置されている
待合室はホーム京都方面寄りに1カ所設置
特急列車の乗車位置を示す、LED乗車位置案内標。取材時はまだ運行していないため調整中表示だったが、使用が開始されると次の列車の乗車位置が青色に光り、列車名と号車、指定席、自由席などが表示される

 安全対策として、列車とホームの段差を少なくするため、“カント”と呼ばれる線路の傾きを11番線は5mm、12番線は0mmと従来よりも小さくした。

 新ホームは金沢方面の特急サンダーバード号や関西空港方面の特急はるか号、和歌山方面の特急くろしお号などの特急列車のほか、ラッシュ時間帯には新快速列車も発着する。新快速列車で使用される近郊型車両と比べ、特急列車で使用される車両は、高速でカーブを走行するための振り子機構などの関係で車両の幅が小さいため、ホームと車両の隙間が新快速列車などで使用される車両と比較して広くなってしまう。そのためホームの端には櫛状ゴムが設置され隙間を少なくする工夫が施されているほか、スペースライトにより隙間を照らし乗客に注意を促すシステムが設置されている。また、ホームと線路の間には転落検知マットが設置され、万が一転落事故が発生した場合も安全に列車を停止できるようになっている。

ホーム端に設置されている赤い櫛状ゴム。通常運行時は車両と接触することは無いが、大地震などの異常時に車両と接触した場合でも、櫛状になっているため車両へのダメージを軽減できる。下に見える黄黒の縞模様のマットが転落検知マット。猫が歩いた程度の重量でも検知する

 新しいホームの使用開始と同時に、大阪方面に東海道線上り外側線と13番のりば結ぶ渡り線を新設し、新快速列車と快速、普通列車の遅延波及を軽減する。これまでは、大阪~新大阪間において新快速列車と快速、普通列車が同じ東海道線上り内側線を走行していた。そのためこの区間を走る列車が過密な状態になり、遅延の影響を受けやすかった。今回渡り線を設置することで外側線を新快速列車、内側線を快速、普通列車に分けて走行することが可能となり、新快速列車と快速、普通列車との遅延の波及が軽減されるとしている。

新快速列車の乗車位置は床面に表示される
12番のりばにやってきた特急サンダーバード号。2月1日からは新しいホームから発着する
駅名標や照明にはLEDを使用。改修前の2号ホームと比較して消費電力は35%削減され、省エネに貢献

線路切り替え工事は650人体制で一晩で実施

 新ホームへの線路切り替え工事は、1月31日(日曜日)の終電から2月1日(月曜日)の始発までの間に行なわれる。一般的な線路切り替え工事は土曜日から日曜日にかけ、一部列車を運休して行なわれることが多いが、今回は列車の運休は行なわず、日曜日から月曜日かけて行われる。これについてJR西日本は「大阪~新大阪間は利用者が多い重要な路線なので、列車を運休せずに切替工事をするために日曜日から月曜日とした」と説明した。日曜日のダイヤの方が終電が早いため作業時間を長く取ることができるという。

 作業は2月1日の0時10分頃から5時40分頃にかけ、JR社員、請負会社、協力会社あわせてのべ650人体制で行なわれる。作業内容は大阪側で線路移設がトータルで240m、線路撤去が40m、京都方で線路移設がトータルで250m、線路新設が50m、線路撤去が60mで、なかでも大阪側の約100mの線路は、既存の線路を回転させる“プロペラ”と呼ばれる作業で移設される予定で、この作業を一晩で行なうために650人という大人数で作業をし、2月1日の始発電車から新ホームが使用される。

【お詫びと訂正】記事初出時、久宝寺駅の表記に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。

(鈴木崇芳)