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ANA、Facebook募集イベント「ANAファン感謝祭」を羽田空港で開催

当選倍率ほぼ100倍

2015年12月19日 開催

 ANA(全日報空輸)は12月19日、ANA Facebookページで募集したイベント「ANAファン感謝祭」を東京国際空港(羽田空港)で開催した。今年(2015年)で3回目の開催となる。第1回は、公式Facebookページのファン数が100万人に達成したことを機に、羽田空港で開催。2014年には中部国際空港、伊丹空港、羽田空港の3空港で実施。徐々に規模を拡大し、3回目となる今年度は新千歳空港、中部国際空港、那覇空港、福岡空港、伊丹空港、羽田空港の6空港で11月から順次開催し、羽田空港はその締めくくりとなる。

 募集は10月1日の投稿で告知され、10月7日までの期間で全国3087件の応募者数となった。定員は各日(各空港)それぞれ30名で、ANA Facebook ファン1名と同行者1名の2名、または同行者なしの1名参加となる。羽田空港の応募数は全体の半数以上で1746件、当選倍率は97倍とかなりの競争率のなか、見事当選した10代~60代の関東近郊在住の男女29名(1名は欠席)が当日、羽田空港に集まった。

 会場入口には、スタッフ手書きのウェルカムボードが参加者を出迎えた。会場にはスターウォーズジェットの模型や、以前使われていたチョーク(タイヤ止め)やフライトバッグなどが展示されていた。当日、参加者に配られたネームプレートは、今回の感謝祭用に製作された特別なもので、ストラップに「ANAファン感謝祭2015」とプリントされている。これもお土産の1つとして、大切な記念となることだろう。

ANAファン感謝祭の会場となった羽田空港第2ターミナル
手作りのイベントというだけあり、ウェルカムボードもスタッフの手書き
ANAのおなじみ「ひまわり」をたくさんあしらったステージ
以前使われていた、チョーク(タイヤ止め)やフライトバッグ、ポスターなどが展示されていた。中には「ANK(エアーニッポン)」のロゴが印刷された物もあった
貴重な展示物を撮影する参加者
スターウォーズジェットの模型3デザインの機体も並ぶ
実際のANA時刻表を模してデザインされたANAファン感謝祭 時刻表
ストラップに「ANAファン感謝祭2015」とプリントされた名札

 ANAイベントデスクの申紅徳さんの司会で感謝祭がスタート。まずは、スタッフを代表して、マーケティング室マーケットコミュニケーション部の冨満康之氏から挨拶があった。FacebookをはじめとしたSNSやANA SKY WEB、スマホアプリなど、デジタルな領域をすべて担当する冨満氏は、「公式Facebookページは、ソーシャルメディアとしてファンの皆様に育てて頂いて続けてこられた。その感謝の気持ちを、リアルなイベントでお伝えしたい」と、主旨を語った。

「パイロットとCAによるANA航空教室」では、パイロット松本優一機長と、CA(客室乗務員)の吉村奈織さん、池田友菜さんが登場。松本機長は現在、ボーイング 767の教官だが、ボーイング 747の副操縦士も経験している。自己紹介のなかで、「副機長は3本、機長になると4本になる」と、自身の着ている制服の飾りについて説明し、さっそく豆知識を披露した。

 CAの吉村さんは、ANAが所有しているすべての機種に乗務でき、今年、国内線チーフパーサーの資格を取ったという。池田さんは大阪出身で、現在は問題なく標準語を話せるが、訓練時は「3000円」をなかなか言えず苦労したと、会場の笑いを誘った。

 航空教室は、「ANAが保有している飛行機の種類」や「機種の見分け方」といった基礎からスタート。プロジェクターに映し出される写真や資料を元に、松本機長が笑いを交えながら解説していった。

 基礎が終わると、パイロットやCAの出社から出発前の準備、打ち合わせ、フライトといった1日の流れを、細かく順を追いながら解説。所々でデモンストレーションや実演、体験などをはさみ、単なる座学に留まらない楽しい教室として展開していった。

今回は、男性13名、女性16名の29名が参加
司会進行をするANAイベントデスクの申紅徳さん
開会の挨拶をするマーケットコミュニケーション部の冨満康之氏
「パイロットとCAによるANA航空教室」がスタート
ボーイング 767のパイロット松本優一機長
プロジェクターに写真や資料が映し出され、それぞれ丁寧に解説しながら進行
CAの吉村奈織さん
CAの池田友菜さん

 CAの準備の1つ、スカーフの巻き方が最初のデモンストレーションとして行なわれた。スカーフにはいろいろな巻き方があり、人によって違う。CAの吉村さん、池田さんが、それぞれ自分の巻き方を披露。吉村さんは何度も重ねて折り、ねじって巻く丁寧な方法に対し、池田さんは途中まで一緒だが、大ざっぱなので手数を減らして巻いているという。その代わり、ふんわりしたリボンにするために、少しずつ仕上げていくという方法を採っているという。

 CAが離陸前の安全確認を終えると、次は乗客へのアナウンスとなる。吉村さんが実演したあと、女性参加者が1人体験した。機内では電話型のインターフォンを使うため、マイクを横にする独特の持ち方になるという。吉村さんにマイクの持ち方を指導されながら、参加者の女性はハキハキとしたアナウンスで、会場から拍手を受けた。

スカーフの巻き方を実演するデモンストレーション
吉村さんはスカーフを何度も重ねて、最後にねじって巻くスタイル
池田さんは「大ざっぱなので」と手数を減らして巻いている
フライト前の打ち合わせを実演。細かく笑いをはさみ込む松本機長
乗客へのアナウンスのデモンストレーション、今回は体験のための台本が用意された
横持ちマイクでアナウンスを体験する女性参加者

 アナウンス体験が終わると、トリビアクイズとなった。「ANAがボーイング 767を導入したのはいつでしょうか?」「ボーイング 767が離陸する時のスピード(時速)は?」の2問で、それぞれ3択問題。参加者は事前に配布された番号札を上げて回答し、正解するとステッカーやボールペンをもらえる。設問に対し、松本機長は分かりやすいヒントを出し、参加者全員が正解していた。

 クイズが終わると1日の流れに戻り、いよいよ離陸と進んだ。この離陸でもデモンストレーションがあり、操縦室のシート、計器類が描かれたパネルなどが用意された。スクリーンには離陸する映像がプロジェクターで投射され、操縦室の雰囲気を模している。松本機長が乗務するホノルル線の副操縦士として体験したい参加者を募ると、1人の男性参加者が手を上げた。

 着座すると、5点式シートベルトを解説されながら締められ、松本機長と共に、操縦桿を握った体で離陸を体験した。無事離陸し、機体は巡航高度まで上昇。ベルトサインが消え、CAの機内サービスのデモンストレーションに移る。

 カートのブレーキ(ストッパー)の使い方、ドリンクサービスの解説などをしたあと、女性参加者の1人が体験した。一番大事なことは、CAの目線が「人-物-人」になること、先に客と目を合わせ、次にカップに注視し慎重に注いで渡し、最後ににっこりと微笑むというゴールデンルートを必ず確立させなければならないという。

 着陸し、乗務も終了。続いて、松本機長のフライトバッグの中身を紹介した。ヘッドセットやグローブ、サングラスなど、それぞれを丁寧に説明。グローブは、日本人パイロットの着用は多いが、外国人パイロットは少ないという。分厚い空港のマニュアルを取り出すと、参加者からは驚きの声があがった。

 最後に、短い時間ながら質問コーナーとなり、機長に体力の維持について質問があった。松本機長はジョギングが趣味で、食事はフルーツのみ、夜は肉類を食べないようにしていると回答。元CAの妻に「子供とメニューが違って大変」と言われていると、会場の笑いを取って航空教室が終了した。

クイズ大会では、松本機長のヒントで2問とも全員が正解
クイズに正解すると記念品をもらえる
正解者がもらえるステッカーとボールペン
離陸デモンストレーションでは、コックピットが準備された
副操縦士役の参加者にシートベルトを付ける松本機長
離着陸時にはショルダーハーネスを装着
機長の合図でスロットルや操縦桿を操作する手順を説明
ドリンクサービスの解説をする吉村さん
赤いペダルがカートのブレーキ(ストッパー)で緑は解除とのこと
ドリンクサービスを体験する女性参加者
CAと地上スタッフの制服は似ているが、大きな違いはブルーラインと小ネタを披露
松本機長のフライトバッグの中身を紹介。分厚い空港のマニュアルに参加者から驚きの声
質問コーナーでは、松本機長に体力の維持について質問があった

 昼食は、羽田発便の国内線プレミアムクラスで提供されている「Premium GOZEN」(夕食)の日本料理「よし邑(よしむら)」とのコラボレーションメニュー(蟹身と炒り玉子の二色ご飯)や、ANA MY CHOICEで販売されている「きのこのクリーミーチーズリゾット」やお菓子類がふるまわれた。

 昼食後の休憩時間では、松本機長とCAの吉村さん、池田さんらとの記念撮影タイムとなった。Facebookの投稿を模したフォトフレームや「いいね!」ボタンなどのアイテムも自由に使い、楽しげな記念撮影となった。松本機長らは参加者の無茶振りにも快く応え、コミカルなポーズも惜しげなく披露し、参加者を喜ばせていた。

参加者に昼食を配るCAの吉村さんと池田さん
昼食は、日本料理「よし邑」とのコラボレーションメニュー Premium GOZENと、きのこのクリーミーチーズリゾット
参加者は昼食後の休憩時間に、松本機長とCAの吉村さん、池田さんらとの記念撮影

 午後からはバックオフィス見学となり、参加者は2班に分かれ、フライトオペレーションセンターに移動。スケジュール管理部門や運航支援カウンターなどを見学した。参加者は、普段見ることができない空港の裏側を見られたと、興奮した様子だった。また、職場がアットホームな雰囲気だと感じた参加者もいた。

 バックオフィス見学から戻り、最後のプログラムとなる「投稿企画制作」となった。これは、公式Facebookページに、2015年を締めくくる最終更新日に投稿される動画を制作するというもの。今回のファン感謝祭を開催した6空港すべての参加者でさまざまなシーンを制作し、1つの物語を作るという。

 参加者には、台紙、色塗りの見本、色ペン、ハサミが用意されている。見本を元に色を塗り、ハサミで切り取った飛行機を背景の前で1コマずつ撮影することでストップモーション(アニメーション)を制作する。参加者は、意外と細かい塗り分けに苦労しながらも制作。別室では、松本機長とCAの吉村さん、池田さんらも、同様に色塗りと切り取りを進め、撮影素材制作をしていた。

午後のプログラム、バックオフィス見学でフライトオペレーションセンターに移動
スケジュール管理部門を見学する参加者たち
運航支援カウンターでは、ディスパッチャー(運航管理者)との打ち合わせについて解説
フライトオペレーションセンターから参加者にステッカーがプレゼントされた
移動の合間に、景観のよい会議室からエアポートを見学
たくさんのANA機が並ぶ光景に参加者も興奮気味
投稿企画制作では、全国の参加者でストップモーションのアニメーションを作る
参加者には、台紙、色塗りの見本、色ペン、ハサミが用意される
色塗りの見本を参考にして、色ペンで台紙に色を塗っていく
色を塗り終わったら、丁寧にハサミで切り取っていく
別室では、松本機長とCAの吉村さん、池田さんらも色塗りをしていた
完成した素材を1体ずつ撮影していく
背景の前にセットして撮影を進める
次の素材を少しずつずらしながらアニメーションを制作

 すべての参加者の作業が終わり、最後に再び、マーケティング室マーケットコミュニケーション部の冨満氏から閉会の挨拶となった。「参加した皆様に、幸せを感じて頂ける有意義な時間を過ごしてほしいと進めてきました。もう少し皆様を笑顔にさせたくて、こんなお土産を用意しました」と手にしたのは、ボーイング 787-7のスターウォーズコラボレーション「R2-D2 ANA JET」モデルプレーンだった。これを見て参加者からどよめきが上がった。

最後にマーケットコミュニケーション部の冨満氏から閉会の挨拶
お土産の「R2-D2 ANA JET」モデルプレーンの発表にどよめく参加者たち
参加者にお土産として配られた非売品の「R2-D2 ANA JET」モデルプレーン

 司会の申さんは「参加者の皆様の、今日一番の笑顔が見れました」と笑いを取ったあと、終了時刻となり、いよいよ感謝祭も終わる流れになった。ところが、「喜んで頂けたようですので、最後に、ANAから少し早いクリスマスプレゼントをご用意しました。後ろをご覧ください」という合図で、会場後方にあったパーティションが開かれ、「ANA Team HANEDA Orchestra(ANAチーム羽田オーケストラ)」の登場とともに演奏が始まった。

 予定表にもない突然のサプライズ演出に、参加者も驚きの感に打たれていた。それでも目の前で演奏される迫力のある生楽器の音に、次第に引き込まれていく様子がうかがえる。ANAを舞台にしたドラマ「GOOD LUCK!!」のテーマソング「Departure」の演奏が終わると、会場からは盛大な拍手がわき起こった。

 場を和ますMCをはさみながら、映画「STAND BY ME ドラえもん」の主題歌「ひまわりの約束」、情熱大陸のテーマ、ANAの機内でも流れるイメージソング「Another Sky」が演奏され、感動で目を潤ませながら演奏を聴いている参加者もいた。

 ANA航空教室で解説したパイロット松本優一機長と、CAの吉村奈織さん、池田友菜さんらも、「ANA Team HANEDA Orchestra」の一員として演奏に加わっていた。この「ANA Team HANEDA Orchestra」はANAグループ社員有志で結成され、入社式、空港の季節イベントなどで活躍している。メンバーは50人以上おり、スケジュールやパートなどで演奏メンバーのマッチングをしているという。12月24日、25日の「羽田空港クリスマスイベント」での演奏が予定されている。

 最後にアンコールとして、映画「スター・ウォーズ」のテーマ曲、「F1グランプリ」テーマ曲のT-SQUARE「TRUTH」が演奏され、「ANAファン感謝祭」は幕を下ろした。都内から友人と参加した20代の女性2人組は、「普段、飛行機に乗った時に見えない、パイロットやCAの裏側を見ることができてよかった」「CAはきれいで話しかけるのも緊張していたが、すごいよい人たちばかりで、今日1日で人間性の魅力をたくさん感じられた」と満足していた。

「バックオフィスを見学して、大きな企業なのに区切りがなくアットホームな雰囲気を感じた」という都内から参加した夫婦は、普段から飛行機はANAにしか乗らないという。なじみはあるが、裏側を見たのは初めてと喜んでいた。どの参加者に聞いても、最後のサプライズ演奏は感動したと、心に残る1日になったようだ。

 ANAファン感謝祭は、参加者に楽しんでもらおうと、細部に至るまで細かく配慮されたイベントで、感謝の気持ちと意気込みを深く感じた。運よく参加できた参加者には、夢のようなゴージャスな1日となったであろう。現在、ANA 公式Facebook会員数は約140万人。来年2016年の開催はさらなる高倍率になりそうだが、募集告知を見逃さないようにして、ぜひ参加してみたいイベントだ。

さらにサプライズが待っていた。後ろを振り返るとオーケストラが演奏
「ANA Team HANEDA Orchestra」の生演奏に参加者も驚きを隠せない
ANA航空教室のパイロット松本優一機長、CAの吉村奈織さん、池田友菜さんらも、演奏に加わっていた
机と椅子を移動しての演奏鑑賞会となった。感動で目を潤ませる参加者も
スターウォーズのテーマを演奏する前、ライトセーバーを振り回して盛り上げる松本機長
「ANA Team HANEDA Orchestra」は6曲を演奏、最後は盛大な拍手で幕を閉じた
参加者、オーケストラメンバーと全員で記念撮影
参加者のカメラやスマホそれぞれで撮影するため、スタッフ総出で撮影
帰りには、ウェルカムボードも書き換えられていた

(政木 桂)