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JAL、乗り継ぎで中南米へもアクセスしやすい成田~ダラス・フォートワース線を運航開始
初便セレモニーに阿部寛さんが登場。「一緒に乗りたいが、うちの会社がピンチで……」
(2015/11/30 19:46)
- 2015年11月30日 就航
JAL(日本航空)は11月30日、成田国際空港~ダラス・フォートワース国際空港(アメリカ・テキサス州)線の運航を開始。その初便を祝い、成田空港出発ロビーや搭乗口で就航セレモニーを実施した。
JALと太平洋路線での共同事業を行なっているほか、同じワンワールド・アライアンスに加盟するアメリカン航空の運航によるコードシェア便では、JL7014便(AA176便)/JL7013(AA175)、JL7012便(AA60便)/JL7011(AA061)の2便がデイリー運航されているが、JAL自社便の運航は2001年10月以来、約14年ぶりの再開となる。
今回就航した便は、ボーイング 787-8型機のSKY SUITE 787仕様機(ビジネスクラス38席、プレミアムエコノミー35席、エコノミークラス88席の計161席)で運航。ダイヤは下記のとおり。当初は月・水・金・日の週4便で運航し、2016年3月20日よりデイリー運航を開始する計画としている。
JL12便:成田(10時55分)発~-ダラス・フォートワース(07時20分)着
JL11便:ダラス・フォートワース(11時45分)発~成田(16時25分/翌日)着
また、アメリカン航空とのコードシェア便では、下記の2便がデイリー運航されている。
JL7014(AA176)便:成田(11時30分)発~ダラス・フォートワース(07時55分)着
JL7013(AA175)便:ダラス・フォートワース(10時40分)発~成田(15時15分/翌日)着
JL7012(AA60)便:成田(18時20分)発~ダラス・フォートワース(15時10分)着
JL7011(AA61)便:ダラス・フォートワース(12時10分)~成田(16時45分/翌日)着
ダラス・フォートワース空港はアメリカン航空のハブ空港としても知られており、同空港以遠の乗り継ぎでメキシコ、南米など「179都市」へのネットワークができることが売り。従来のアメリカン航空運航便よりも早い時間帯の運航とすることで、ダラス・フォートワース空港での乗り継ぎ時間に余裕を持たせた。
また、通常アメリカに到着した便は、その先の乗り継ぎの有無に関わらず、最初に到着した空港で預け入れ荷物を受け取って税関を通過する必要があるが、ダラス・フォートワース線では、国際線から国際線への乗り継ぎの場合には、預け入れ荷物を乗り継ぎ便へそのまま引き渡す「スルーバゲッジ」にも対応する。
CMに出演する阿部寛さんらも登場してセレモニーを実施
就航セレモニーは成田空港第2旅客ターミナル出発階(3階)のスカイリウムと、搭乗口となった62番ゲート前で実施された。
スカイリウムでのセレモニーには、主催者、来賓全員がカウボーイハットを被って参加。冒頭、JAL代表取締役社長の植木義晴氏は「このダラス・フォートワース線は、実はJALは過去にも運航していたことがあり、残念ながら2001年10月を持って終了し、それから14年ぶりの再就航となる。本日から、週4便でスタートし、3月20日からはデイリー運航を計画している。これにより、太平洋で共同事業をし、同じワンワールド・アライアンスのアメリカン航空のコードシェアの2便と加えて、成田からダラスへ毎日3便を運航することになる。JAL自体としても北米路線も9路線、毎日10便へ拡大する」と新路線を紹介した。
そのメリットとして、「ダラス・フォートワース空港はアメリカン航空の本社があり、最大のハブでもある。北米、中南米に向けて毎日244路線800便もの飛行機を飛ばしている。直行便のない都市への乗り継ぎの空港としてはアメリカでも最大の利便性を持った空港と言える。また、通常アメリカ国内で乗り継いで他国に行く場合、一旦アメリカで皆さんがお預けになった荷物を受領して税関検査を受けることが一般的だが、ダラス・フォートワース空港ではその必要がなくなった。従って、目的地で直接お受け取りになる形で利便性の向上に努めている」と乗り継ぎの利便性をアピール。
さらに、「ダラス・フォートワース空港と成田国際空港とは、(2015年9月に)空港間同盟に関する覚書を結んでいて、関係強化、情報交換の促進が図られている。また、ダラス市と宮城県の仙台市は1997年から国際友好都市として提携している。これらのことが、今回のダラス線を強力に後押ししてくれるものと確信している。これからもJALグループは最高のサービスを提供し、世界一お客様に選ばれ、愛される航空会社になるよう努めていく」と、ダラス・フォーワース地域と日本の友好についても言及した。
続いて登壇した、国土交通省 東京航空局 成田国際空港 空港長の木村茂夫氏は、「本年3月29日の夏ダイヤから年間発着容量を30万回へ、4月8日には第3ターミナルの供用を開始し、2020年の東京オリンピック/パラリンピック開催も視野に入れて空港機能のさらなる拡充に向けて鋭意取り組んでいるなかで、JALの成田~ダラス・フォートワース線就航を祝えることは、成田空港の一層の活性化に繋がるものとして大きな喜びとするところ」と歓迎。
加えて「ダラス・フォートワース空港は、アメリカのテキサス州北部に位置するダラス市とフォートワース市の中間に位置する。両市を中心とする地域は人口600万人を超える、全米でも4位の都市圏を形成しており、石油化学工業や航空機産業が発達し、近年ではIT、エレクトロニクス産業も発達していると聞いている。一方、西部開拓自体の雰囲気が残っているということで、今日もカウボーイハットを被っているが、ステーキやBBQなどの肉料理も味わえることが魅力と聞いている。今回の就航により、ビジネスにおいても観光においても利便性が向上して、日米間の交流が一層活発になることが期待される」と就航地の紹介を通じて、路線就航の意義を紹介した。
先ほど植木氏から紹介のあった空港間同盟についても触れ、「成田国際空港株式会社(NAA)とダラス・フォートワース国際空港は本年、2大ハブ空港に関する覚書を締結した。今回の就航は一層の協力関係の強化に繋がり、効率的な空港運用が促進され、さらには旅客利便に繋がっていく」と期待を寄せた。
在日本アメリカ大使館 商務担当公使のアンドリュー・ワイレガラ氏は、「テキサスの人はよく、テキサスではすべてがさらに大きいという意味の『Everything's bigger in Texas』と言うが、その言葉どおり、テキサスはいろいろな魅力をさらにビッグに楽しめる。ダラスは石油産業や通信、エレクトロニクス、金融の拠点であるほか、MLB、NBA、NFL、NHLの4大スポーツに加えて、プロサッカーリーグのMLSもあってスポーツを楽しめる。ダルビッシュ選手が所属するテキサス・レンジャーズの本拠地であるグローブライフ・パークもダラスから車で30分で行ける。フォートワース市はカウボーイ発祥の地でストックヤーズ地区へ行けばカウボーイ、カウガールの文化を感じることができる」と、就航地のビジネス、観光スポットを紹介。
併せて「テキサスはカウボーイの教えどおりに、誠実に真面目に、そして互いを思いやる気持ちを大切にしながら、日本の皆様をお待ちしている。JALの直行便により日米のさらに強い結び付きができたことをうれしく思う。これを機会に、さらに多くの皆様がテキサスに行ってくれることを願っている」と呼びかけた。
成田市長の小泉一成氏は冒頭、成田空港の運用状況について「2015年度上半期の外国人旅客数は前年同期比27%増の約655万人と初めて600万人を超え、開港以来最高となっている。また、日本政府観光局(JNTO)の発表による10月のアメリカからの訪日客数は前年同月比17%増となる9万6000人となり、10月として過去最高を記録している」と紹介。
そして、「アメリカン航空の最大拠点空港であることから、ダラス・フォートワース空港経由でアメリカ中部/東部、中南米など179都市と結ばれることで、成田空港の国際空港ネットワークがさらに充実し、アジアを代表するハブ空港として、北米とアジアを結ぶ結節点として、ますます重要になってくるものと思っている。古くから交通の拠点として発展し、金融および経済の中枢としての機能を持つダラスは、日本でもおなじみのセブン-イレブン発祥の地としても知られており、たいへん親しみを感じている。最近では、ダラスからヒューストン間の約400kmを、東海道新幹線で使われているN700系で走らせる計画も報道されており、今後、日本にとってますます身近な地域となる。そのような都市と成田市がドア・トゥ・ドアで結ばれる本数が増えることは喜ばしく、アメリカからお越しの皆さんにも当市へ立ち寄ってほしい」とダラス・フォートワース市と成田市との往来者数増加に期待した。
ダラス・フォートワース空港を拠点とし、JALと太平洋路線での共同事業を行なっているアメリカン航空からも、アジア・太平洋地区副社長のエルワン・ペリラン氏が来賓として参加。「ワンワールドの仲間で、太平洋における共同事業のパートナーであるJALが、成田空港と私達最大のハブであるダラス線を再開することを喜ばしく思っている。28年前、アメリカン航空は日本へのサービスをダラス・フォートワース~成田線で開始した。それ以来、アメリカン航空とJALはより堅実で、戦略的なパートナーシップを構築している」と良好な関係をアピール。
併せて「新たなJALのサービスで、成田~ダラス・フォートワース線は週に18便を運航することになった。これはすべてのお客様に選択肢とフレキシビリティが増えたことを意味する。そして、JAL便からアメリカン航空便へ乗り継ぐことで、全米何百もの都市、中南米へ乗り継ぐことが可能になる。アメリカン航空は現在アジア、太平洋路線を強化している。そして、JALとの協力関係と友好関係もさらに深めていくことを期待している。JALのこの新しくエキサイティングなダラス・フォートワース線の成功を10万人の社員一同祈っている」と新路線の成功に向けてエールを送った。
テキサス州政府観光局の大坂昭子氏、秋山恵里佳氏によるダラス・フォートワース地区の紹介も行なわれた。よく知られるカウボーイの伝統が残るという魅力だけでなく「美術館、博物館、劇場などの文化施設が多いこと」「再開発で緑化が進んでいること」「ホテル、ショッピング、レストランが多く、全米最大路線のライトレールやバスなどで市内移動ができること」「テキサス発祥のBBQ」といった魅力をアピール。特にショッピングセンターは、人口あたりの面積が全米ナンバーワンというほど充実しているという。
さらに、ダラス・フォートワースに関する観光ハイライトをクイズを通して紹介。挙手をして正解した来場者にテキサスグッズをプレゼントした。
そして、セレモニーにはJALのCMモデルを務める阿部寛さんもゲストとして登場。「僕もいまドラマで会社の社長をやっているので、夢を運んで、ビジネスを運んでいく、そういう味方になってくれる飛行機、路線の発展は素晴らしいことだと思う。日本のビジネスがますます勢いづくことを祈っている。CMでは後ろにスーツの上着をかついでいるが、そういう前向きに勢いづく気持ちでCMをやらせていただいた。この就航は日本のビジネスにとっても、未来にとっても明るいものではないかと思う」と就航を祝福。
また、司会者から飛行機旅について聞かれると「長時間の飛行機旅行が結構好き。機内食も美味しいし、映画を見たり、寝たりもしますけど落ち着いてその空間で時間を使える。10時間もその場所に居続けるということはなかなかないので、有効に使わせてもらっている」と自身の楽しみ方を披露。
司会を務めた上松CAに「CMでも言っている“JALなら着いてからが違う”というのは、まさにそういうことでしょうか」と問われると、「そうですね、本当にラク。座席とか広いし、疲れがない。そういうのがあるから、着いてからがラクなのが1つの売りじゃないかと思う」と、CMで紹介している新・間隔エコノミーなどを採用したSKY SUITE 787運航であることのメリットもアピールした。
一方、実際の搭乗客のみが訪れる搭乗口でもセレモニーを実施。植木氏は「2泊4日の弾丸ツアーという方がいっぱいいらっしゃって、この便のために来ていただいたことをうれしく思っている」と乗客に感謝の意を示したあと、先述したようなダラス・フォートワース空港の利便性をアピール。
さらに、ダラス・フォートワース地域へ行く人には「テキサスステーキを召し上がってほしい。特にポンドステーキ。1ポンドは約450gですが、それがスタンダートではなくミニマムだと思ってもらえればよいので、助言としてはペース配分を考えないと後半バテて、あとがつらくなる。でも、ぜひとも完食していただきたい」とアドバイス(?)を送った。
さらに、搭乗口にもCMモデルの阿部寛さんが登場。「CMをやっている身としては一緒にダラスまで行きたいという気持ちがあるが、うちの会社がピンチで……これはドラマの話だが、先週からピンチになって社長が空けるわけにはいかないので、僕の分まで楽しんでほしい」と、出演中のTVドラマ「下町ロケット」のネタを織り交ぜた挨拶で会場を笑わせた。
その後、10時35分頃より搭乗を開始。ダラス市と国際友好都市関係にある仙台市提供による特製記念トートバッグや、記念の靴べら(シューフォーン)、石巻市の女性が製作する折り鶴「希望の鶴」などを記念品として手渡した。
出発直前には地上に植木社長を含む多くのスタッフが集合し、記念の横断幕も掲示。乗客158名を乗せてダラス・フォートワースへ出発する飛行機を見送った。