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ANA、補助犬同伴での飛行機搭乗や機内設備を体験するツアーを実施
国際線ターミナルではANA/JALの両CAによる補助犬のデモンストレーション
(2015/11/1 14:00)
- 2015年10月31日 実施
全日本空輸(ANA)は10月31日、補助犬(身体障害者補助犬)を伴った障がい者が航空機の利用を体験するツアーを実施した。このツアーは日本身体障害者補助犬学会の学術大会が、羽田空港で開かれることに合わせて実施された。
日本身体障害者補助犬学会の学術大会は「補助犬が拓く楽しい旅、やさしい社会~2020年に向けて~」をテーマに、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、すべての障がい者が快適に日本国内の旅行や移動が出来るように、学会と航空関係者が協力し実施された。
補助犬は、視覚や聴覚、手足に障がいのある方の生活を手伝う存在で、身体障害者補助犬法に基づき認定された特別に訓練された犬。公共交通機関をはじめ、人が立ち入ることが出来るさまざまな場所で、受け入れるように義務付けられている。
今回のツアーでは、介助犬3頭、盲導犬と聴導犬がそれぞれ1頭と、視覚や聴覚が不自由な方や普段車椅子を使用している方が参加し、空港での搭乗手続きや保安検査、航空機への搭乗から到着後までの一連の流れを体験した。
ANAでは、搭乗の際にお手伝いが必要な利用客の窓口として「ANAおからだの不自由な方の相談デスク」を設けている。羽田空港では「スカイアシストカウンター」を用意し。搭乗手続きから保安検査場、航空機までの搭乗を専門のスタッフがサポートする。
機内では普通席の座席に実際に座り、座り心地を体験した。
補助犬が座るスペースがある前方の座席は、テーブルが収納されていて肘掛けが上がらないために車椅子から座席の移動が難しいケースもあるといった、実際に体験してたことも分かったこともあった。
目が不自由な参加者は、スタッフのサポートを受けシートベルトや救命胴衣などを確認。「セーフティビデオの説明だけでは、何かあったときに不安なことも多い。実際に体験することで安心できる」と話した。
ツアーでは最新鋭のボーイング 787-8型機が使用された。機内中央部に設けられた車椅子対応の化粧室は、隣り合う2カ所の化粧室の間仕切りを開き、車椅子が入るスペースを確保するタイプ。従来の機体では同じスペースに1カ所しか化粧室を設けることが出来ず、混雑時に化粧室の数が足りないこともあったが、ボーイング 787型機では状況に合わせて柔軟に使用することが出来るようになったという。
ANAでは2015年上半期に131件の補助犬利用者があり、1カ月あたり約20件とのこと。今回のツアー参加者のなかには航空機の利用経験が少ない人も多く、このようなサポート体制も、まだまだ知られていないのが実情だという。今回のツアーは、補助犬と一緒に生活している人にとって有意義な機会となったようだ。
ツアー終了後には、国際線ターミナル4階江戸舞台で補助犬のデモンストレーションが行なわれ、プロフィギュアスケーターで介助犬サポート大使を務める安藤美姫さんのスペシャルトークを交えながら、ANAと日本航空(JAL)の空港スタッフが盲導犬、介助犬、聴導犬のデモンストレーションを行なった。補助犬が落とした鍵を拾ったり、目覚まし時計の音を聞いてパートナーを起こすなど、動作が成功すると会場から大きな拍手がわき起こった。