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JAL、補助犬と一緒に旅客機に搭乗する体験ツアーを実施
羽田空港での搭乗手続きから保安検査、旅客機への搭乗までを体験
(2015/10/31 18:52)
- 2015年10月31日開催
JAL(日本航空)は、10月31日と11月1日に羽田空港で開催される「第8回 日本身体障害者補助犬学会 学術大会」に協力し、羽田空港において「補助犬使用者向け羽田空港体験ツアー」を10月31日に実施した。
JALでは、横浜市リハビリテーション事業団 横浜ラポールの「たびのり」の人を対象に、搭乗手続きから保安検査を通過し、搭乗ゲートまでを体験するツアーを毎年開催。また、2011年には盲導犬と一緒に生活している人を招いて、搭乗手続きから旅客機の機内まで案内するツアーも実施している。そして今回は、盲導犬、聴導犬、介助犬と一緒に生活している方を対象として、搭乗手続きから旅客機に搭乗するまでの様子を実際に体験するツアーを、日本身体障害者補助犬学会と共に実施した。
ツアーには、目の不自由な方や、普段車椅子で生活している人が参加し、羽田空港で旅客機に搭乗するまでの流れを体験。まず、搭乗手続きの体験は、JALが羽田空港に用意している「JALスマイルサポートカウンター」において行なわれた。
JALでは、搭乗に際し補助が必要な人の専用窓口として「プライオリティーゲストセンター」を1994年に設立。また、羽田空港では、JALスマイルサポートカウンターを用意し、搭乗手続きから保安検査場の通過、搭乗口までの移動を、専門のスタッフが対応する態勢を整えており、安心して搭乗ゲートまで移動できる。また、竹製で保安検査場をそのまま通過できる車椅子や、座面がフラットになるまでリクライニングする車椅子、後方の車輪を外して機内にそのまま入れる車椅子など、3種類の車椅子が用意され、搭乗口から機内までの移動を柔軟にサポートできる態勢が整えられている点も大きな特徴だ。
機内への搭乗は優先搭乗となり、最初に機内へと移動することになる。通常の乗客と同じようにゲートを抜け、旅客機の中へと案内されるが、車椅子の使用者の場合は、機内移動用の車椅子に乗り換えて機内へと移動することになる。この機内移動用車椅子は、機内の通路幅に合わせた横幅の狭いものとなっており、エコノミークラスの座席へも問題なく移動可能。普段使っている車椅子は、搭乗口で乗り換えた後に貨物室に積み込まれる。
今回のツアーでは、ボーイング 777-300型機を利用した搭乗体験が行なわれ、「クラスJ」シートと、前方の幅が広いエコノミークラスシート、そして通常のエコノミークラスシートのそれぞれに座って座り心地を体験した。
クラスJシートは、シートピッチが平均97cm、シート幅が平均47cmとゆったりしていることもあり、参加者からはとても楽に座れるという声がほとんどだった。補助犬と一緒に旅客機に搭乗する場合には、補助犬はシート前に座る必要がある。クラスJシートは、ゆったりとしたシートピッチのおかげで、補助犬と搭乗者ともども楽に座れることから、参加した多くの方から、1000円の違いならクラスJシートに座りたいとの感想が聞かれた。非常口席など、前方の広いエコノミークラスシートについても同様で、座席の幅はやや狭いものの、これなら快適に座れるという意見が多かった。
それに対し、通常ピッチのエコノミークラスシートでは、やはりすこし窮屈という意見が聞かれた。エコノミークラスシートでも、補助犬は搭乗者の足下に座る必要があるが、クラスJシートよりもシートピッチが約18cm狭いこともあり、どうしても狭い場所に押し込めるような雰囲気となってしまう。日本身体障害者補助犬学会の方の話では、補助犬は狭い場所でもおとなしく座っていられるそうだが、実際にエコノミークラスシートに座る様子を見ていると、搭乗者の前に補助犬が座るのはかなり厳しいという印象を受けたのも事実だ。
JALでは、補助犬と一緒に搭乗される方に、可能な限り足下の広い座席に案内したり、隣席をブロックして空けるといった配慮を行なっているそうだが、満席状態ではなかなか難しいこともあるという。そのため、補助犬と一緒に旅客機で旅行する場合には、なるべく早めに予約し、足下の広い座席を確保してほしいとのこと。
今回のツアー参加者は、補助犬と一緒に航空機で旅行した経験の少ない人が中心だった。そして、参加者からは一様に、搭乗までの流れや機内の座席の様子を体験でき、とても貴重な体験ができたとの感想が聞かれた。中には、今回の体験ツアーで、搭乗までの流れや、親身になって案内してもらえることがわかったので、次は実際に飛行機で旅行に行きたいと語る人もいた。そういった意味で今回の体験ツアーは、補助犬と一緒に暮らしている人たちにとって、非常に有意義な機会となったようだ。
なお、補助犬と一緒に旅客機への搭乗サポートを受けたい場合や、普段使っている車椅子のまま搭乗ゲートまで移動したい場合には、空港施設や使用機材によって条件が変わってくるため、なるべく早めに相談してもらいたいとのこと。