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九州新幹線(西九州ルート)の俵坂トンネル、約6年の工事が完成

博多と長崎を直結、8月6日に貫通式典を開催

2015年8月6日開催

九州新幹線(西九州ルート)の新設される嬉野温泉(仮称)駅から長崎方面に繋がる約5700mのトンネルが貫通

 鉄道・運輸機構 九州新幹線建設局は2015年8月6日、九州新幹線西九州ルート上にある俵坂トンネルの貫通式典を行なった。

 俵坂トンネルの5705mにも及ぶ掘削工事は、佐賀県嬉野市側と長崎県東彼杵郡側の東西2工区に分かれて掘り進められてきた。平成21年の11月から工事を開始し、9月17日が完了予定日となっている、諫早駅までを繋ぐ工事だ。着工からすでに70カ月以上となる長期工事となっている。

記者は俵坂トンネルの長崎県側にある入り口から式典会場に入場
紅白の垂れ幕の向こうが長崎県側の会場となる。黒いベールの向こうには佐賀県側の参列者も待機

 九州新幹線西九州ルートは、博多駅から新鳥栖駅を経て長崎方面に分岐、在来線(長崎本線)を経由し、武雄温泉駅、嬉野温泉(仮称)駅、新大村(仮称)駅、諫早駅を経た長崎駅までのルート。現状の博多~長崎間の最速ルートは、長崎本線を走る特急かもめで1時間48分。西九州ルートが完成すれば、博多駅~長崎間が1時間20分と、28分の短縮となる予定。

 なお、新鳥栖~武雄温泉駅の51km区間は在来線の長崎本線を利用するため、新幹線とは線路の幅が異なる(新幹線は1435mm、在来線は1067mm)。そのため、線路の幅が異なる路線を直通運行できるフリーゲージトレイン(軌間可変電車)の開発が進められている。

 今回は、工事・施工関係者や関連自治体の代表者の喜びの声とともに、貫通式典の様子をお伝えしていく。

展示パネルには俵坂トンネルの工事に使用した掘削機や作業方式を説明する内容が掲示されていた

くす玉開きで佐賀県側とのベールが外され式典がスタート

 トンネル坑内に入ると、中央の式典会場にはマウンド状の盛り土がされており、双方の代表者同士が握手と万歳を行なう「通り初めの儀」のステージとなっていた。この盛り土は式典のために用意されており、このような工事の式典ではよく見られる光景だ。

関係者一同が着席し開式を待つ

 最初の「貫通の義」で、くす玉が割られ、坑内に張られた黒い幕がアンベールされた。報道陣の位置からは、佐賀県側に参列している関係者が見えるが、座っている目線からはお互いを確認できない状態。続く「貫通報告」では、「東西貫通時の誤差、センター7mm、高さ6mm」とのアナウンス。

 マウンドを、お神酒で清めていく「貫通点清めの儀」が終わると、「通り初めの儀」が始まった。通り初めの儀は、2県それぞれの代表者がマウンド上で握手を交わし、双方に1回ずつ万歳をした後、相手側に移動するスタイルで行われた。

貫通の儀として、くす玉開きが行なわれた。同時に佐賀県側でも同様に行われ、黒い幕がアンベール
アンベールした次は、「貫通点清めの儀」が行なわれた
「通り初めの儀」が始まった。各県の代表者が会場中央のマウンドで握手。それぞれの方向に1回ずつ万歳をしたあとに、お互い相手側の敷地に向かう
鉄道・運輸機構の鉄道建設本部 九州新幹線建設局局長 湯山和利氏(右側)が佐賀県側から、同次長の村山正巳氏(左側)が長崎県側からマウンドに上がり万歳
関連している各県の自治体の長、さらに県議会議員や建設関連者が次々とマウンドに上がり万歳をして、相手側の椅子に着席していく

 通り初めの儀が終了すると、関係者全員が佐賀県側に移動。会場中央に花道を設ける形で、樽神輿を迎え入れた。神輿を担いでいるのは工事に従事した作業員。白い法被を着て、マウンド上をまわり、鏡開きの場所へ樽を降ろした。

 壱の樽、弐の樽とそれぞれに関係代表者が位置につき、掛け声とともに勢いよく鏡が開かれた。この樽に選ばれたのは、トンネルの東西側それぞれの地元酒造によるもの。

トンネル建設に参加した作業員による樽神輿の披露。この後、鏡開きの準備に移行
所役が法被を着用し、鏡開き。壱の樽(画面奥側)は佐賀県嬉野市にある井手酒造の「虎之児」、弐の樽は長崎県東彼杵郡の今里酒造による「六十餘洲(ろくじゅうよしゅう)」が用意されていた
発注者挨拶では、鉄道・運輸機構の鉄道建設本部 九州新幹線建設局局長 湯山和利氏より、感謝の言葉が述べられた

 無事、鏡開きが終了し乾杯の準備をしている間に発注者代表として、鉄道・運輸機構の鉄道建設本部 九州新幹線建設局局長 湯山和利氏より「地権者の皆様、ならびに工事関係者皆様方に感謝申し上げます。まだ工事は続きますが安全第一で進めていただきたい。ここ西工区は3060mを昨年まで5.8年かけて掘削してきましたが、月に100mも進めない困難なトンネルでした。全線貫通までよろしくお願いします」と、感謝の言葉が送られた。

来賓挨拶では、嬉野市長の谷口太一郎氏より、関係者への謝辞が述べられた

 嬉野市長である谷口太一郎氏からは、「今日のトンネルをみると県境に新幹線の線路が貫通しつつあることを実感します。東彼杵町さんとの連携も密にしていきたい。虎之児と六十餘洲という由緒ある樽をご用意いただいて、大変縁起がよい式典となったことを感じています」と述べられた。

 ここで升が全員に行き渡ったところで、嬉野市議会議長の田口好秋氏が乾杯の音頭をとる。

施工者からの謝辞では、前田建設工業 九州支店支店長である永重雅守氏から、掘削にあたり、工事開始時期当時の苦労などが語られた

 施工者からの謝辞として、前田建設工業九州支店 支店長の永重雅守氏が壇上に立った。「非常に厳しい工事でした。先日、貫通した際、長崎側の豊かな緑が見れて感慨深い気持ちになりました。周辺地域の皆様にご理解いただきながら、そして地域振興に貢献できればという思いでやってきました。延べ64万時間、8万人の作業員で今日まで無事故でやってこられましたことを感謝いたします。途中、インドやウズベキスタンなどの海外、地元の学生などを招いた見学会も行ない、2600人ほどの方々に現場を見ていただき、技術力についてもよいアピールができたかと思います。まだまだ工事は続きますが、前田建設、松尾建設、下建設の共同事業体で力を合わせてやっていきます」と挨拶。

鏡開きの後は、作業関係者ひとりずつに升が行き渡り、嬉野市議会議長である田口好秋氏が乾杯の掛け声
閉式間際には、関係者全員での万歳三唱。音頭をとったのは、東彼杵町議会議長の後城一雄氏

まだまだ続く九州新幹線西九州ルートの工事

 九州新幹線西九州ルートの工事は、さらに俵坂トンネルから新大村駅(仮称)側に橋脚をかけて、次のトンネルに接続する工事が待っている。着工からおよそ7年が経ち、工事は2022年度開業という目標のちょうど折り返し地点まで来ている。

佐賀県側の展示ブースには、72カ月間という長い工期を干支で分かりやすく説明するポップが展示されていた。掘削作業で削りだされた岩石も日付とともにトレイに展示
入場した入り口は、長崎県側に盛り土で延長され、その先に橋脚がかかり、新大村(仮称)駅方面に繋がる
中央に見えるトンネルが、今回貫通した俵坂トンネル(西)と繋がる。手前の重機のあたりまで盛り土が進み、橋で繋がる
工事の看板には、フリーゲージトレインのイメージイラストが描かれていた

(赤坂太一)