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国交省、羽田空港の機能強化に関する説明会を都内を中心に開催中
飛行経路を見直し1.7倍の発着回数に
2015年7月30日 00:00
- 2015年7月21日~9月15日 開催
国土交通省は、羽田空港の機能強化に関する説明会を都内各所で開催している。本説明会は9月14日までに、大田区役所本庁舎1階や渋谷ヒカリエなど16カ所で行なわれる。
羽田空港は、2015年時点で年間6万回の発着回数があるが、これ以上発着回数を増加させるには限界が来ている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催や、年間2000万人を目標にしているインバウンドの増加、首都圏の国際競争力の強化、首都圏と地方を結ぶ航空路線の拡充による地方創生と、日本の成長のためには、さらなる国際線の発着回数の増加が必要だという。
そこで、昼間の時間帯(15時~19時など)を中心に空港周辺の飛行経路を変更し、発着回数を年間9.9万回まで増加させる“機能強化”の実施が検討されている。飛行経路を見直すことで、発着回数は増やせるものの、南風時には、武蔵浦和、和光市、練馬、新宿、渋谷、目黒、大井町といった東京の内陸部を通る着陸ルート、北風時には荒川沿いに都内を通る離陸ルートとなる。そのため、国土交通省では“機能強化”のための最初のアクションとして、関係する各自治体と協議し、経路となる住民への説明と意見のヒアリングを実施している。それが今回開催されている説明だ。
説明会は、各地の自治体の庁舎や公共のホール、イベント施設などで、パネルや映像による説明とアンケート調査という形で行なわれている。記者が7月27日に訪れた大田区役所本庁舎での説明会では、1階の一画にパネルが展示され、担当者らが訪れた人、ひとりひとりに丁寧に“機能強化”の趣旨説明を行なっていた。また、実際に空港からの地点ごとに屋外と屋内で聞こえる音の差を説明する映像なども上映されており、分かりやすい内容となっていた。
羽田空港の現状
航空機は、離着陸時には風に向かって飛ぶ必要があるため、滑走路は風向きによって使い方を変える必要がある。羽田空港では、北風と南風のときにそれぞれ違う飛行経路となっている。現状では、騒音の影響を減らすために、東京湾上空を主に使うような経路となっているが、4本ある滑走路を効率的に使えていない状況となっている。
“機能強化”による離着陸ルート
飛行経路を変更することで、滑走路をより効率的に使用できるようになり、1時間あたりの発着回数を80回から90回に増やすことができる。とはいえ、騒音などの影響を考慮し、南風のときは、国際線の需要が集中する15時~19時のみ、北風のときは、出発需要のピークである6時~10時30分と国際線の需要が集中する15時~19時に限っての運用となる。
騒音と安全対策について
内陸の市街地を航空機を飛行することで、気になるのがやはり騒音と安全対策だ。騒音に関しては、市街地を通る飛行経路の使用時間を昼間を中心したものにすることで、影響を少なくするほか、ボーイング787-8型機など、より低騒音な機体には空港使用料を安くするなど、騒音を低減させる方策を模索している。また、空港に近い地域では、防音対策なども個別に行なう方針とのこと。安全対策に関しては、インシデントなど重大事故に繋がる前に予兆として起こる事案に対して改善や防止策を促したり、事故防止のための設備の整備や、パイロット育成支援などの方策を行なう。
今後は、第2のアクションとして、環境対策や新飛行経路の運用方法など詳細な事項を中心に議論を深めていく。そしてさらに住民からの意見をヒアリングして2016年夏までに方策を策定する予定。もし、自分の住んでいる場所が飛行経路に近いならば、この説明会に運んでみてはどうだろうか?
今後は以下の会場で実施される。
説明会の実施会場
7月30日~8月1日:羽田文化センター
7月30日~8月1日:目黒区労働福祉会館
8月2日~4日:川崎区役所大師支所
8月6日~8日:南砂区民館
8月9日~12日:品川区役所第2庁舎
8月21日~23日:高輪区民センター
8月27日~29日:品川フロントビルキッズ館
8月28日~30日:ココネリ(練馬)
8月29日~31日:新宿駅西口広場
9月4日~6日:渋谷ヒカリエ
9月5日:アトレ大井町
9月12日~14日:サウスピア(武蔵浦和)
9月13日~15日:和光市中央公民館