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ANA、2015年度ANAグループ合同入社式を開催

ANAホールディングス新社長片野坂氏が新入社員を激励

2015年4月1日開催

「Making it happen together!!」と書かれたタオルを手に記念撮影

 ANAホールディングスは4月1日、ANA(全日本空輸)などANAグループの合同入社式「2015年度ANAグループ入社式」を開催した。2015年度のANAグループ新入社員は、グループ会社32社合わせ、男性362名、女性863名の合計1189名で、入社式はボーイング777-200型機(機番JA745A)が駐機されたANA羽田空港機体メンテナンスセンターの東京第2格納庫内で行われた。

ANAグループ32社の新入社員1189名を集め、ANA羽田空港機体メンテナンスセンターの東京第2格納庫内で合同入社式が行われた

 まずはじめにグループを代表し、2015年4月1日付けでANAホールディングス代表取締役社長に就任した片野坂真哉氏が登壇し、挨拶と講話を行った。

講話を行う、ANAホールディングス代表取締役社長の片野坂真哉氏。この入社式が社長としての初仕事とのことで、緊張の面持ちで語っていた

 冒頭、片野坂氏は、「新入社員のみなさん、入社おめでとうございます。私は本日より、ANAホールディングスの代表取締役社長に就任いたしました。この合同入社式が社長としての初仕事であり、みなさんと同じようにフレッシュな気持ちと責任の重さが入り交じった、大変身の引き締まる思いに包まれています」と、緊張の面持ちで新社長就任と初仕事となる入社式の舞台に望む心境を語った。

 続く新入社員に向けての講話では、「今日、ここで深く胸に刻み込んで欲しいことがあります。それは、『安全が全て』ということです。『安全は、経営の基盤であり、社会への責務である』、これはANAグループの全ての役員、社員が日々仕事に臨むにあたって、忘れてはならない”安全理念”です。まだ皆さんには、安全が損なわれることの怖さや重大さを実感として捉えることは難しいかもしれません。今年度は、(全日空機と自衛隊機が衝突した)雫右事故から44年目、松山沖事故から49年目、羽田沖墜落事故から50年目の年です。『二度と悲惨な事故を起こしてはならない』という固い決意のもと、航空事業に携わる全ての関係者が、航空機の安全運航のためにたゆまぬ努力を続けてきました。それでもなお、残念なことについ先日も、ヨーロッパで乗客、乗員の尊い命が奪われる痛ましい事故が発生するなど、様々なインシデントが発生しています。安全を守り続けることは、お客様に安心してご搭乗頂くための、根本となる私達の責務でああります。そして、もうひとつ忘れてはならないのは、安全は航空事業に携わる社員だけのテーマではありません。日常業務における社員ひとりひとりの安全の心構え、お預かりした貨物、機内食や食料品など、全てが安心、安全を求められる、このことを覚えておいてほしいと思います。晴れがましい入社式でいきなり厳しい話から始めたのは、ここにいる全ての新入社員が、安全を守り、お客様に安心してANAグループを選んでいただくことの大切さと、『安全が全て』ということを、しかりと胸に刻んで頂きたいからです」と、冒頭より安全に対する心構えを厳しく新入社員に説いた。

 また、「今から63年前の1952年、全日空の前身である日本ヘリコプター輸送株式会社が産声を挙げました。役職員は30名足らず、持っている機材はたった2機のヘリコプターのみでした。それが今や、航空機250機を保有し、従業員3万3000人、売上総額2兆円近いグループへと成長しました。この成長は、私達の先輩が常に新しいことに挑戦し、ANAを成長させたいと願い、皆で力を合わせて努力してきた結果です。つまり、チャレンジ精神こそがANAのDNAなのです。1964年、東京オリンピックが開催された年に、ANAは国産初の旅客機『YS-11』を発注しました。ギリシャから運ばれた聖火を守り、鹿児島、宮崎、札幌へと運んだのはANAでした。1986年、ANAは悲願の国際定期便に進出。その時の感激を私は今も忘れることができません。1999年には世界の航空連合であるスターアライアンスに加盟。2009年には沖縄に貨物ハブ基地を設立、2011年にはボーイング787型機で世界初の商業飛行を開始、2012年には日本で初めての本格的LCCであるピーチ・アビエーションが運航を開始し、続いてバニラエアも設立しました。2014年は羽田国際化の年でした。それに合わせ、次々とアジアやヨーロッパなどに新路線を開設しています。そして今年2015年は成田の年です。東アジア随一のハブ空港を目指す成田空港から、ヒューストン、クアラルンプールなど新たな路線を開設していきます。航空事業だけではありません。ANAセールスがH.I.S.社と共同で設立した訪日外国人向け旅行会社である『HAnavi』は、今日が営業開始日となります。ANA商事はシンガポールで人気の和食を中心とする外食事業に出資し、アジアの活力をグループ内に取り込むベく、新しい分野にも積極的に進出していきます。先月には、サービスの基本品質を評価する英国のSKYTRAX社より、最高評価となる『5スター』を3年連続で受賞しました。5スターの認定を受けているのは、200社以上ある世界中のエアラインの中で7社しかありません。これもグループ社員が一丸となって、常にお客様に寄り添い、競合他社に負けないサービスを日夜磨いてきた努力の結果と言えるでしょう。ANAグループはこれまでも、様々な困難に直面してきました。この困難には、自分達の力ではどうすることもできないものもあります。しかし、どのような環境変化の波が襲ってきても、私達の先輩は知恵を結集し、全員が力を合わせ、苦難を乗り切ってきました。この不撓不屈の精神、チャレンジ精神こそ、ANAのDNAです」と、ANAグループの成長の歴史に言及しつつ、様々なことにチャレンジすることの意義を語った。

真剣なまなざしで社長の講話に聞き入る新入社員

 続いて、聖書に書かれている『タレントの例え』という話を例に、「古代ギリシャにおけるタレントという言葉は、お金の単位だったそうです。あるお金持ちの主人が、旅に出るにあたり、財産を3人のしもべに分け与えました。数年後、主人が旅から戻ってその3人のしもべを呼びました。すると、5タレントもらったしもべは、それを元手に事業を興し、10タレントに増やしていました。2タレントもらったしもべも事業を興し、4タレントに増やしていました、それに対し1タレントもらったしもべは『大事な1タレントを守るために土に埋めて守っていました』と言いました。これを聞いた主人は、元手を増やしたしもべを褒め称え、1タレントを守ったしもべをしかりつけて追放したのです。このたとえ話の教えは、人間には天に与えられた才能があり、自分を磨いて努力し富と繁栄を得るものだ、というものだと思っています。私は今、会社のリーダーとなってこの教えを社員に呼びかける時には少し作り替えたいと思いました。それは、2タレントをもらったしもべが、事業を興したものの運悪く富を失ってしまった、というものです。3人が3人ともうまく行く、世の中はそううまくはいきません。しかし、努力をして失敗した人の方が、自分の才能を磨かず富を土に埋めて守る人よりもはるかに尊いのではないか、と思います。私たちには、それぞれが持っている才能があります。そして、皆さんの成長が会社の成長になります。今日は入社式という人生の節目です。今日それぞれが自分の胸の中で、小さなことでもかまわないので、明日は今日よりも進歩した自分になるために決意をしていただきたいと思います」と新入社員へアドバイス。

 最後に片野坂氏は、「ANAグループは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、航空ネットワークを広げていきます。さらにその5年後の2025年には、このように発展、成長していたいという長期戦略構想を発表しました。皆さんは、ANAグループを支えるそれぞれの会社で、後輩を励まし、先輩と大いに議論し、激しさを増すグ会ローバル競争の中で、会社をリードするプロフェッショナルになっていただきたいと思っています。そのためにも、今日この入社式に臨んだ初心を忘れずに、ANAグループの一員であることの誇りを大切に、まずは小さな一歩から確実に歩き始めていただきたいと思います。皆さんの今後の成長に大いに期待しています。入社おめでとう」と新入社員を激励し、講話を終えた。

グループ会社ごとに新入社員全員を紹介
新入社員を代表し決意表明を行う、ヌーリ マルワン氏。フランス国籍ということもあり、フランス語を交えつつ、英語と日本語で決意表明を行った

 続いて、新入社員をグループ会社ごとに紹介。そして、新入社員代表による決意表明が行われた。決意表明を行ったのは、ANAに入社したフランス国籍のヌーリ マルワン氏で、「私たちは今日、これまで支えていただいた多くの方々への感謝の気持ちを胸に、社会人としての第一歩を踏み出します。そして、私たちはANAグループの一員として、安全、お客様視点、社会への責任、チームスピリット、努力と挑戦を心に刻み、ANAグループにお寄せいただく信頼と期待に答えてまいります。とりわけANAグループにとって安全こそ全ての事業に共通する絶対的な使命であることを胸に刻み、くだんの努力を続けてまいります。未来のANAを作るのは私たちです。グローバルに広がる事業環境の中、社会の発展と共に歩み、多様性を力に変えられるグローバルエアライングループへの飛躍を目指し、ANAグループに新しい風を吹き込みます。最後に、私たち新入社員は、諸先輩方や関係者の皆さまとともに、世界の夢の溢れる未来に貢献することを誓います」と語った。

 この後、役員も含めた出席者全員による記念撮影や、代表者による横断幕への寄せ書きなどが行われ、入社式は終了した。

片野坂社長を含め、出席した役員の面々もタオルを手にポーズ
入社式には、ANAグループの有志43名から成る楽隊「ANA Music Service」による演奏も行われた
新入社員代表によって、横断幕への寄せ書きも行われた
囲み取材を受ける片野坂社長。新入社員の頃に社内報に『将来のANAはいつか宇宙を飛んでいたい』と書いたそうだが、その意味に加えて、新入社員に新しい分野にチャレンジしてほしいという想いを込めて「次は宇宙へ」と横断幕に書いたとのこと
寄せ書きを行った新入社員と片野坂社長
ボーイング777-200型機を背に、今後の活躍を誓い気合いを入れる新入社員代表
入社式会場となった格納庫に駐機されていた、ボーイング777-200型機(機番JA745A)

平澤寿康

うどん県生まれ。僚誌PC Watchなど、IT系の執筆を中心に活動。旅&乗りもの&おいしいもの好きで、特に旅先でおいしいものを食べるのに目がない。ただし、うどんにはかなりうるさい。