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首都高、中央環状線最後の出入口として王子南出入口を開通

王子北出入口と合わせ、両方向への出入りが可能に

2015年3月29日15時開通

 首都高速道路は、中央環状線 王子南出入口を3月29日15時に開通した。これまで王子駅付近の中央環状線出入口としては王子北出入口が先に開通していたが、王子北出入口では外回りの入り口と内回りの出口しかなく、これまでは内回りに入るには滝野川入口、外回りから出るには新板橋出口を利用する必要があった。そのため、首都高から一般道に迂回する車両が多くなり、一般道の渋滞を引き起こす原因の1つともなっていた。

 今回王子南出入口がオープンしたことで、王子駅付近から中央環状線内回り、外回り双方の出入りが可能となり、利便性が大きく向上。王子駅付近の一般道の渋滞区域を回避できるようになるため、速達性も高まると期待されている。

 王子南出入口オープンに先立つ3月29日午前10時30分、首都高速道路 社長 菅原秀夫氏、国土交通大臣 太田昭宏氏や東京都議会議長 高島なおき氏、東京都北区区長 花川與惣太氏などが出席して、王子南出入口付近で開通記念式典が開催された。

オープンした王子南出入口。こちらは内回りへの入り口となる料金所
こちらは外回りからの出口。明治通りへとつながっている
王子南入り口の看板
中央の高架橋が首都高中央環状線の本線。上から左奥に延びる高架橋は王子北出入口へつながる
午前9時ごろの段階では、明治通りに設置された王子南入口を示す案内板はまだ隠されていた
付近の陸橋には王子南出口の開通を示す横断幕がかけられていた
首都高南出入口とつながる明治通りに新設される信号機も、開通を目前に控えカバーが外されていた
開通記念式典は、中央環状線本線下行なわれた
記念式典会場には、王子南出入口の施工概要や開通効果、新しく掛け替えられる溝田橋の完成予想図、3月14日に開催された地元見学会の様子、北区や王子を紹介するパネルが展示されていた
首都高速道路 代表取締役社長 菅原秀夫氏

 主催者の代表として菅原秀夫氏が登壇し、「首都高中央環状線は、3月7日の全通をもって、首都圏3環状道路初のリング完成となり、早くもその効果が出てきております。その中央環状線最後の出入口として、王子南出入口が新設されました。これにより、王子駅周辺地域ではこれまでの滝野川入口や新板橋出口経由に比べて出入口が3kmほど近くなります。新宿、渋谷の副都心エリア、羽田空港などの湾岸エリア、中央高速道路、東名高速道路、関越道などへのアクセスが飛躍的に向上します。また、西巣鴨交差点など一般道路の渋滞箇所を回避できるようになり、所要時間の短縮も期待できます。今後も、板橋・熊野町JCT(ジャンクション)間、堀切・小菅JCT間の改良や小松川JCTの新設などで中央環状線の渋滞緩和を図り、首都高速道路ネットワークのさらなる強化を進めていきたいと考えています。王子南出入口の建設工事は、20年以上の歳月をかけ、石神井川の改修工事も進めてまいりました。改修後の石神井川の上には溝田橋を架け替え、明治通りなど周辺道路の整備も進めて地域の利便性向上を図っているところです。王子南出入口開通後も引き続き残工事を実施しますので、ご理解とご協力をお願いいたします」と挨拶した。

国土交通省大臣 太田昭宏氏

 続いて、太田国土交通大臣が登壇し、「この王子南出入口の開通によりまして、すでに開通している王子北出入口と合わせて中央環状線の全方向への出入りが可能になります。近隣住民の方々としましては、北区にお住まいの方のうち4割に相当する約14万人の方々、周辺も含めますと約20万人の方々が首都高をより便利にお使いいただけるようになります。また、3月7日の首都高中央環状線全通によりまして、昨年と比較して中央環状線内側の渋滞が半分程度に減少するなど、効果が出始めております。今後とも、整備された道路ネットワークをより効率的に利用していただくため、王子南出入口のような高速道路出入口の追加設置に取り組んでまいります」と、今後の首都高の利便性向上への取り組みに対する意気込みを語った。

東京都議会議長 高島なおき氏

 東京都議会議長の高島なおき氏は、「王子南出入口は、石神井川の河川工事に着手してから20年以上、中央環状王子線が開通してから10年以上の歳月を費やして、ようやくこの日が迎えられました。目的地への時間短縮など地元の利便性の向上や防災力の強化など、様々な効果の発揮が期待されています。王子南出入口の開通効果を高めるためにも、板橋・熊野町JCT間をはじめとする中央環状線の整備事業が一層重要となってまいりますので、引き続き着実に事業を進めていただきたいと考えています」と、首都高への要望を語った。

東京都北区 区長 花川與惣太氏

 北区 区長の花川與惣太氏は、「今朝、近隣の皆さまから『長かったけど(王子南出入口が開通して)よかったね』と声をかけられました。先日、中央環状線が全通し、今回の王子南出入口が開通することで、王子から羽田空港や都内各所へのアクセスが向上することは大変喜ばしいことと思っております。北区としましては、これを最大限活用し、王子駅周辺がさらに活気のある、賑わいの拠点となるように取り組んで行きたいと思っています」と挨拶した。

首都高東京建設局長 遠山雄一氏

 その後、首都高東京建設局長の遠山雄一氏より、王子南出入口事業の経過が説明された。王子南出入口は、1986年(昭和61年)、首都高速道路板橋足立線の出入口として都市計画が決定された。その後、本線は出入口未開通のまま中央環状線の一部として2002年(平成14年)12月に開通。また、出入口の工事に先行して、溝田橋付近で大きく屈曲した石神井川の改修と、石神井川にかかる溝田橋の掛け替えを実施した。

 石神井川は、都合12回に分けて川の流れを少しずつ変え、約20年をかけて流れを改修した。その後、出入口の工事に着手したが、橋脚の一部を石神井川に浮かべた台船に乗せて運ぶなどして工程の短縮を図ったという。そして、今回の王子南出入口開通後も、石神井川護岸工事や街路の工事を実施するとのこと。

王子南出入口開通後も、石神井川の護岸工事や街路の工事が引き続き行われる予定

 式典はこの後、来賓や地元小学生などによるテープカットとくす玉開き、来賓や招待者約100名、近隣住民約100名が分乗したクルマおよびバスによる通り初めを行い、終了となった。

テープカットとくす玉開きは、王子南入口料金所を入った場所で行われた
料金所前には、通り初めの車両が並ぶ
中央環状線のロゴが記された膜が下ろされ、季節に合わせ桜色のウインドブレーカーを羽織った地元小学生親子が登場
テープカットは、太田国土交通大臣、高島都議会議長、花川北区長などの来賓者や地元小学生などにより行われた
白バイを先頭に来賓者を乗せた車が走り初め
走り初めの先頭車両には、太田国土交通大臣が乗車
車内から手を振る太田国土交通大臣
その後、高島都議会議長、花川北区長などを乗せた車が通過
道ばたで通り初めの車に手を振る中地元小学生親子
その他の来賓や近隣住民もバスで通り初めを行った

15時に開通

14時30分頃から、案内板の膜を剥がす作業が開始。緑の膜が剥がされ、王子南出入口の案内板が姿を現す
入り口前の信号にかけられていた「調整中」の札が外される
14時55分頃に一足早く料金所のゲートがオープン
15時直前に、入り口を封鎖していたパイロンを撤去
15時ちょうど、1番乗りの車がゲートに向かい、作業員から拍手が沸き起こる
出口からも車が下りてきた。車が通るたびに作業員が拍手で出迎えた
15時以降、案内板上の電光掲示板にも首都高情報が表示されるようになった
開通後の王子南出入口

平澤寿康

うどん県生まれ。僚誌PC Watchなど、IT系の執筆を中心に活動。旅&乗りもの&おいしいもの好きで、特に旅先でおいしいものを食べるのに目がない。ただし、うどんにはかなりうるさい。