ニュース

首都高、日本最大規模の橋桁架設工事を公開

10号晴海線で湾岸線と晴海ふ頭を直結。2017年度開通予定

2015年4月22日 公開

 首都高速道路は4月22日、首都高速湾岸線と都心部を結ぶ橋桁架設工事現場を報道陣に公開した。

 今回公開されたのは首都高速湾岸線(以下 湾岸線)東雲JCT(ジャンクション)から都心へ延びる首都高速10号晴海線(以下 晴海線)のすでに開通している豊洲出入口と、2017年度開通予定の晴海出入口を結ぶ1.2kmの区間で行なわれたもので、その橋桁は124m(重量1800t)とリフトアップ設備を備えた台船による一括架設としては日本最長の架設となった。

晴海線は湾岸線と都心部を結んでいる深川線、台場線のバイパス的機能も期待されている
工事についての説明をする首都高速道路株式会社 並川賢治氏
現場には工事についてのさまざまなパネルが用意されていた
潮位と作業手順についてのパネル。ボルトの締付は潮位変化の少ない干潮時が設定されていた
マルチストランドジャッキの動作手順や性能
台船リフトアップ架設工法について
完成予想模型。手前が晴海で奥が豊洲。今回の工事は並走する3本の中の中央の道路
築地からの移転が予定されている豊洲新市場(仮称)や東京オリンピックの選手村との位置関係がよく分かる
工事区間の平面図/縦断図/横断図
奥に見える下ってくる道路が豊洲の出入口。完成すると交差する新交通システム「ゆりかもめ」(水色の部分)の上を首都高速が通る
写真右奥に豊洲新市場(仮称)、この撮影位置が東京オリンピックの選手村となる

 今回行われた台船リフトアップ架設工法は、台船の設置されたジャッキにより橋桁を水上から持ち上げる工法で、連続する橋桁で構成される橋でも橋脚さえ完成していれば隣接する部分の架設を待たずに架橋でき、工期短縮が可能になる。使われた台船は長さ110mで、1基に40tジャッキ8台を使用したマルチストランドジャッキを2基備えたリフトアップタワーを4か所に設置しており、2560t(吊り上げ時は2400t)の能力を持つ。

1基につき40tジャッキ8台を備えるマルチストランドジャッキ2基で構成されるリフトアップタワー。これを橋桁の両端に2基づつ使用しリフトアップされる

 早朝5時30分より作業は開始され、台船に載せられた橋桁はジャッキのほか、潮位、台船のバラスト注入と排出により高さを調整しながらリフトアップされ、ボルトの締付までの全工程を当日の日没までに終えた。

工事前日に晴海ふ頭より台船で運ばれる橋桁
風や波を考慮しながら豊洲大橋の下をくぐる
ゆっくり慎重に運ばれる
現場に近づく橋桁
翌日の工事を控え架設位置に慎重にセットされる。この時点で台船に書かれた文字の下半分は見えていない
工事当日は早朝5時30分より作業が開始された。
この時点では台船からの排水(バラストアップ)が始まっているので喫水線が下がり(台船が浮上し)文字が見えて、やがて下部の緑色の塗装も見えてきた。ちなみにこのバラストアップの速度は1m/1時間
ネットが張られているのが予め橋脚にセットされた短い橋桁。運ばれてきた橋桁のリフトアップが済むと台船ごと位置の微調整がなされ、ボルトでの締結作業が行なわれた

高橋 学

1966年 北海道生まれ。仕事柄、国内外へ出かける機会が多く、滞在先では空いた時間に街を散歩するのが楽しみ。国内の温泉地から東南アジアの山岳地帯やジャングルまで様々なフィールドで目にした感動をお届けしたいと思っています。