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島根~広島、四国までのネットワークを形成する「中国横断自動車道 尾道松江線」が全線開通

松江から尾道まで2時間半、開通式には「しまねっこ」ら沿線のゆるキャラ大集合

2015年3月22日17時 開通

開通式には尾道松江線沿線のゆるキャラが集合

 国土交通省 中国地方整備局 福山河川国道事務所ならびに三次河川国道事務所は3月22日、島根県の松江市と広島県の尾道市を結ぶ「中国横断自動車道 尾道松江線」最後の未開通区間となっていた世羅IC(インターチェンジ)~吉舎IC、延長20.4kmを開通。これにより、尾道松江線が全線開通した。

 1989年に三次~松江間、1991年に尾道~三次間の基本計画が決定。2004年からは尾道~三刀屋木次間(約111km)を新直轄方式へ移行し整備を進めてきたもの。島根県側の三刀屋木次IC~松江玉造IC間、広島県の尾道本線料金所~尾道JCTを除く、新直轄区間は無料で走行できる。

 この開通により、北は山陰自動車道、中部は中国自動車道、南は山陽自動道と直結し、その先は国道2号を経由して尾道と今治を結ぶ瀬戸内しまなみ海道(西瀬戸自動車道)に繋がる広域ネットワークを形成する。

 開通式には国土交通大臣政務官の青木一彦氏が挨拶にたち、「松江から尾道まで2時間半で結ばれ、四国までが高速道路で結ばれる。さらなる観光産業、企業活動の活性化、堺港を活用した北東アジア地域との貿易といった海上物流など経済の好循環に寄与すると期待している」とコメント。

 広島県の湯崎英彦知事は「前週に開通した東広島呉自動車と合わせ、広島県の広域的な交流連携の基盤となる井桁状の高速道路ネットワークが完成し、地域間の移動時間が大幅に短縮される。中国、四国から人やものが集まり、本県の中枢機能性が高まる」。島根県の溝口善兵衛知事は「一昨年、尾道松江線が三次市まで開通した際にはGWの交通量が2倍に増えた。すでに広島県と島根県とは製造業、小売業などの経済的交流が始まっている。島根県東部には出雲大社、西武には世界遺産の石見銀山、海を渡れば隠岐がある。広島の方には島根へ足を運んでいただき、島根の人も広島を訪れることで相乗効果を大きく拡げていきたい」と、それぞれに期待を寄せる。

 開通式に参列した、亀井静香衆議院議員は「新直轄は一石二鳥。無料ですから」と、尾道松江線の便利さに言及。また、「尾道は同じ市内で尾道松江線は無料、因島(しまなみ海道)は有料と矛盾を抱える」と指摘し、将来的には高速道路は無料化していくべきとの認識を示した。また、「私が生まれた庄原市にも大きな道路を作ったがクルマが通らない。どうしてか……。どうすれば人やクルマが通る道にしていけるか、まさにこれからの我々の努力にかかっている」と課題も示した。

 同じく参列の細田博之衆議院議員は、「我々は松江尾道線と呼んでいるが(笑)、全線開通は島根県民長年の悲願だった」と喜びを表した。また、「一部有料の区間はあるが、尾道から松江まで数百円で来られる。(中国横断自動車道の)浜田広島線や岡山米子線は有料だが、こちらは数百円。これは観光においても、物流においても大きなインパクトがある」と産業への好影響に期待した。

国土交通大臣政務官の青木一彦氏
広島県知事の湯崎英彦氏
島根県知事の溝口善兵衛氏
広島県三次市長の増田和俊氏
広島県世羅町長の奥田正和氏
衆議院議員の亀井静香氏
衆議院議員の細田博之氏
衆議院議員の小島敏文氏
衆議院議員の新谷正義氏
参議院議員の溝手顕正氏
中国経済連合会 会長の山下隆氏
国土交通省 中国地方整備局長の尾藤勇氏
今回開通した世羅IC~吉舎IC間の工事報告

 開通式では、中国横断自動車道 尾道松江線の愛称デザインのお披露目も行なわれた。愛称は「中国やまなみ街道」で、全国に対して公募した結果で選ばれたもの。「中国山地のおだやかな稜線がイメージでき、瀬戸内しまなみ海道との一体感を連想できる」ことが先出の理由。

 また愛称デザインは、尾道市立大学美術学科の高岡陽准教授によるもので、「中国山地の緑、瀬戸内・日本海の青空、神話の国・出雲を連想できる沸き立つ雲」を配したデザインとなっている。

愛称デザインのお披露目。松江市長の松浦正敬氏により愛称とデザインが解説された
開通式は万歳三唱で幕を閉じた
開通式の会場となった「三次市民ホール きりり」には、沿線の道の駅がブースを設けて特産品を紹介
尾道道の尾道北ICから2kmほどのところにある「クロスロードみつぎ」(広島県尾道市御調町)は、ビュッフェレストランや野菜市を開店すべくリニューアル中。4月16日にリニューアルオープン。地元の銘菓、みつぎ近藤菓子店の「手焼ピーナッツ入り小丸せんべい」や、瀬戸田町産のレモンを使った粉末レモン飲料「ふるさとレモン ホット&コールド」を試食/試飲に提供
広島県三次市の道の駅「ゆめランド布野」のブースではお団子をその場で炭火焼き
島根県出雲市は「湯の川」「キララ多伎(たき)」「大社ご縁広場」の3つの道の駅で共同ブースを設置し、ぜんざいをふるまった
島根県雲南市木次町の道の駅「さくらの里きすき」は、木次乳業の低温殺菌牛乳
同じく「さくらの里きすき」で配られた、木次乳業のミルクコーヒー
島根県飯南町の道の駅「赤来高原」は観光りんご園を開いており、りんごジュースを提供
同じく飯南町の道の駅「頓原」。同町で生産されたショウガとりんごをミックスした「ぽかぽかの森・しょうがとりんごのサイダー」
道の駅「頓原」では、海の幸とコラボした「藻塩やき芋」や「海と山のコラボアイス」もふるまった
広島県庄原市高野町の道の駅「たかの」のブースには地元の高野りんごを絞った果汁100%のりんごジュース
テープカットなどは世羅IC付近の祝賀会場へ場所を移して行なわれた
ミス尾道、きんさいエイド木次も参列
テープカット前の記念撮影
亀井静香氏、細田博之氏ら国会議員
バルーンリリースも実施
パレード走行を見守るゆるキャラ軍団
地元、世羅町甲山小学校のブラスバンドがパレード先導
ぐるっと松江 レイクラインのバス
尾道好きっぷラインのバス
日本生活協同組合(COOP)連合会のトラック
カイハラ産業吉舎工場のトラック
広島県トラック協会尾道支部のトラック
広島県トラック協会三原支部のトラック
尾道/福山~松江を結ぶ高速路線バスクロスウェイエクスプレス
以後、来賓らを乗せたクルマが次々と開通区間へ進んでいった

 なお、開通式前の待ち時間には、尾道松江線のこれまでの歩みを記したスライドショーが行なわれた。その写真を下記に掲載しておく。

編集部:多和田新也