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年頭所感:日本旅行業協会 髙橋広行会長

2025年1月1日

持続可能なツーリズムの発展を目指して

一般社団法人日本旅行業協会
会長
髙橋広行

 2025年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は、世界的に旅行需要が拡大しマーケットが大きく動いた年となりました。日本においても、訪日インバウンドは円安が追い風となり10月時点で3000万人を上回るなど過去最も早いペースで伸びを示し、国内旅行もほぼ2019年と同レベルまで回復してきました。

 しかしながら、海外旅行については円安、旅行代金の高騰等の影響により回復のペースは遅く、未だ2019年比で6割強程度に留まっており、各国から早期回復を期待する声が強く寄せられています。旅行業界として今年こそは海外旅行の完全復活に向けた取組みを加速させなければなりません。あわせて、バランスのとれた双方向交流の実現と国際交流活性化のためにも、特に若年層が積極的に海外へ出て視野を広げていただけるよう取組みを進めます。

 今年は旅行マーケット拡大の大きな機会となるイベントが2つあります。ひとつは、いよいよ4月に開幕が迫る「大阪・関西万博」です。海外約160カ国・地域から出展され各国の魅力をPRしていただくことで、日本人の海外旅行機運を高める絶好の機会であると考えています。同時に万博を機に多くの訪日客が見込まれるため、「万博+観光」による地域への分散、高付加価値旅行の提案といった新たな展開を促進する機会でもあります。国内旅行も団体・個人ともに大きな需要の創出が予想され、旅行業界としても多くのお客様を誘致し、万博の成功と地域経済の活性化に貢献してまいります。

 もうひとつは愛知県で初の開催となる「ツーリズムEXPOジャパン2025 愛知・中部北陸」です。この地で開催する意義としては、万博との相乗効果による国内・海外・訪日旅行の活性化、中部国際空港のイン・アウト双方の拡大、そして、観光による継続的な能登半島復興支援を訴求することであります。国内外へ日本の魅力を最大限発信いたします。

 また、観光業界の課題解決に向けて、持続可能な観光への積極的な取組みも重要です。急激な訪日インバウンドの回復に伴い、一部の地域ではオーバーツーリズムが課題となっています。解決に向けてゴールデンルートへの一極集中から、地域・時期の分散を実現する必要があります。そのためには、地域観光資源の掘り起こしや磨き上げ、高付加価値旅行の提供、観光型MaaSなどの仕組の構築やDXなどに官民が連携し取組まなければなりません。また、国内旅行における旅行需要の平準化と総需要拡大は、オーバーツーリズムの解決や地域活性化にとって重要なテーマです。既に多くの自治体で導入されている「ラーケーション」、「休み方改革」はこれらの推進につながると考えています。旅行業界としても地域や観光事業者と一体となって取組みを進めてまいります。

 最後になりますが、旅行業界がこれらを取組むにあたり、全てコンプライアンスが基盤にあることを改めて肝に銘じ、本年もコンプラインス関連の研修を深度化し、会員会社と共に意識と行動の改革に真摯な取組みを継続してまいります。

 本年も皆様のご指導・ご鞭撻を何卒よろしくお願い申し上げます。