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青春18きっぷ、大幅ルール改定。格安移動の手段は鉄道だけじゃない! LCC、フェリー、高速バスなど……裏ワザ考えてみた

1日1000円台もある全国「お得なフリーきっぷ」まとめ

「青春18きっぷ」はJR各路線の複数列車に乗車できる。写真は木次線

18きっぷ、冬から「連続利用」へ。今後どう使う?

 鉄道路線の乗り放題きっぷ「青春18きっぷ」が、2024年冬から大幅にルールを変更する。

 これまで「1万2050円で5日間利用可能、期間中はランダムに使用日を選択可」だったものが、新たに3日間用(1万円)を追加。ただし、3日間・5日間ともに「連続使用のみ」にルールが改定され、日程を空けて分散利用することができなくなったのだ。

 青春18きっぷは1日に換算すると2410円で格安で移動できるため、普通列車で移動できる範囲の長距離を移動して、次の日は観光。また次の日に1日かけて戻る、という格安・長距離の鉄道旅行によく利用されてきた。連続利用のみとなることで、18きっぷはこういった旅行に使いづらくなる。

 しかし、格安旅行の手段は、なにも18きっぷだけとも限らない。鉄道に限らず、さまざまな「格安・長距離移動の方法」を考えていこう。

18きっぷよりもタイパ、移動効率よし? LCC・高速バス・フェリーの活用

 青春18きっぷルール改定後は、1枚1万1330円で7日間も使用できる「北海道・東日本パス」が、該当エリア内では18きっぷと同様の役割を果たせるかもしれない。ただ10月26日現在、まだ冬季発売の発表がなく、今後の扱いは未定。発売されたとしても、同条件とは限らない。

 18きっぷを使わずに、安く長距離移動ができる手段を探してみた。

航空・LCC

 ピーチ(Peach Aviation)、ジェットスターなどLCC(格安航空)のタイムセールを狙えば、だいたい5000円内程度で遠距離・地域またぎの移動が可能だ。

 例えばピーチなら、直近のセール「秋まつり 週末限定おトク路線」(10月21日終了)で、成田~福岡が最安値4890円、関空~長崎が最安値3690円など。ほかにも毎月1日の「ピーチデイ」、不定期のタイムセール、正月の「HAPPY NEW YEAR セール」など、安く買える機会は待っていればすぐにやってくる。

 ジェットスターも直近の「物価上昇に対抗セール」(こちらも10月21日に終了)では成田~関空が最安値2920円、成田~新千歳が最安値3660円と、なかなかの破格値を提示している。このほか、LCCでなくともANA/JALやスカイマークなどの国内線セール、フジドリームエアラインズなどの「バースデー割」など、意外と選択肢は多い。ただし、期間内ならいつでも使える18きっぷと違って、安く買うための事前のリサーチ、早期の旅程立案や早目の予約は必須だ。

 こうした飛行機移動は、18きっぷ1回分(2410円分)を使えば同じ場所へ到達できる場合も多い。しかし、長いと座席に10時間以上も座りっぱなし、立ちっぱなしの18きっぷ移動と、空港への移動を含めても2~3時間で着く空の旅。気力と体力を考えれば……?

高速バス

弘南バス・スカイ号。上野駅にて

 安値での移動なら、格安の高速バス(旧ツアーバス系)という選択肢もある。東京~大阪、東京~仙台などの大都市間を中心に、WILLER、オリオンバス、さくら高速バス、JAMJAMライナー、ユタカライナーなどがひしめき合っており、軒並み3000円~4000円くらいから乗車できる。

 最近はこういったバス路線同士を比較する「バス比較なび」などもあり、「トイレ付き」「3列」「コンセント付き」などの条件で選ぶこともできる。ただ、繁忙期前には各社とも高値となるうえにすぐ満席となるため、注意が必要だ。

 また、昔ながらのバス会社系の高速バスのなかにも、東京~青森を最安値4500円(18きっぷ1日分+青い森鉄道運賃より安い!)という破格値で移動できる「スカイ号」「パンダ号」(弘南バス)など、格安の路線も存在する。ツアー系、バス会社系ともに安いバスは4列で座席も狭いため、立ったり座ったりできる鉄道の方がまだラクかもしれないが。

フェリー

 コストはそこそこに安く、体力を温存しながらの移動であれば、フェリー移動もよいだろう。関西~九州なら、大阪から別府、鹿児島・志布志方面などのさんふらわあ、北九州・新門司方面の名門大洋フェリー、阪九フェリーなどが6000円~1万円弱程度。いずれも、ホテル代込みと考えれば安い。

 首都圏から北海道方面の各航路も、ホテル代わりに十分に使える。また青森・八戸港~北海道・苫小牧港の「シルバーフェリー」は、18きっぷ+オプション券を支払って運転本数が少ない函館本線に乗車するのと、さして変わらない値段ではるかにスムーズに移動できる。ただ、フェリーは海しか経由できないので、活用できるケースは少ない。

 18きっぷはJR東日本、JR西日本など、JR各社の境界を越えて利用できることが魅力であり、「期間中ならいつでも、すぐ使える」という利点は変わらない。一方で、航空やバスだと繁忙期に値上がりするため、直前に旅程を決める場合だと18きっぷ3日分を連続使用する方が安い場合も。日程や旅行のスタイルに合わせて、各自で移動手段を決めればよいのではないか。

1日1000円台から&連続14日間もアリ? 全国の「お得なフリーきっぷ」

 LCCや高速バス、フェリーなどで長距離移動したあとは、各エリアごとのフリーきっぷを活用したい。

 エリア限定のフリーきっぷだと、九州全域で3日間連続使用できる「旅名人の九州満喫きっぷ」(1万1000円)がおトクだ。なにぶんJRだけでなく各私鉄にも使えるため、長崎駅から浜町、熊本駅から通町など、市街地への移動に幅広く使える。

 また九州エリアなら、路線バス・高速バス用の「SUNQパス」(サンキューパス、全九州版で連続3日間1万円など)で九州6県を動き回れる。ただバスは大分~宮崎など移動が難しいが(直通の高速バスはすでに廃止)、そこは「(高速バスのほぼ全便が経由する)高速基山バスストップでの乗り継ぎ」を覚えれば、鉄道にはない自由な乗り継ぎが可能だ。

 そのほか、使い勝手がよさそうな各地のフリーきっぷ(鉄道以外も含む)は、以下のとおり。

※記事中の【1日~円】は、数日間のきっぷを1日分に換算したもの(概算)。情報は2024年10月26日現在(各きっぷとも細かいルールあり。購入前に下記リンク先のWebサイトなどで必ず詳細をご確認いただきたい)。

北海道エリア

【1日3918円】 北海道フリーパス(2万7430円、7日間連続使用、特急利用可能)

【1日5000円】 ひがし北海道フリーパス(2万円・連続4日間、ピーチ/FDAの航空利用者限定、特急利用可)

【1日5400円】 きた北海道フリーパス(1万6200円・連続3日間、ANA/ピーチ/FDAの航空利用者限定、特急利用可)

東北・東日本エリア

【1日4440円】 週末パス(8880円・連続2日間)
※別途購入で特急利用可。関東全域、長野・新潟・宮城・山形各県を広範囲に利用可能

【1日1985円】 サンキュー♥ちばフリーパス(3970円・連続2日間)
※千葉県内の鉄道、私鉄、フェリーなどが利用可能、ただし期間限定。直近では2024年9月・10月、2025年1月・2月

【1日1400円~】 えちごワンデーパス(1570円・1日間)、えちごツーデーパス(2800円・土曜休日の連続2日間)、信州ワンデーパス(2680円・1日間)
※「えちご~」はツーデーの方がエリアが広い

【1日1300円】 神奈中1日フリー乗車券(1300円・1日間)
※神奈中バス全線利用可、Suica/PASMO券面へ書き込む形での発売。東京、神奈川、山梨の3県を「やろうと思えば」周遊可能

東海エリア

【1日4310円】 JR東海&16私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ(8620円・土休日の連続2日間)
※別途特急券の購入で、特急や新幹線に乗車可能

【1日2620円~】 青空フリーパス(2620円・土曜休日1日)、休日乗り放題きっぷ(2720円・休日1日)
※2種ともエリアが微妙に違うので注意

近畿エリア

【1日1666円】 近鉄週末フリーパス(5000円・週末を含む連続3日間)
※別途特急券の購入で、特急に乗車可能。近鉄のエリアは大阪、三重、愛知、奈良、京都と広範囲!

【1日1533円】 広島ワイドパス(4600円・連続する3日間)
※広島エリアのJR路線、一部バス、フェリーなども利用可能。ほか岡山、山口、四国などに同様のパス設定あり

四国エリア

【1日6000円】 四国フリーきっぷ(1万8000円・連続3日間)
※JR四国全線、一部バスで利用可能。特急に乗車可能。

【1日4000円】 バースデイきっぷ(1万2000円・連続3日間)
※上記「四国フリーきっぷ」とほぼ同内容。誕生月だけお得になる

【1日2400円】 四国再発見早トクきっぷ(2400円・1日)
※土曜・休日のみ。前日までの予約が必要

九州・沖縄エリア

【1日3666円】 旅名人の九州満喫きっぷ(1万1000円・連続3日間)
※JRと各私鉄で使用可。長崎駅から浜町、熊本駅から通町など市街地への移動に幅広く使える

【1日2833円~】 SUNQパス
※路線バス・高速バス用。全九州版で連続3日間1万円など、九州6県を動き回れる。SUNQパスは「全九州」「北部九州」「南九州」で料金に違いあり

【1日2142円】 結いきっぷ・結いパスポート(3万円・連続14日間)
※鹿児島、奄美大様、徳之島、沖永良部島、与論島、沖縄本島を周遊可能。出発日によって船会社も違い、購入する券も違うので注意

【1日1666円】 沖縄路線バス周遊パス(連続3日間で5000円)
※沖縄本島でのみ有効も、島内のバスは最長で約3時間。使い切れない。観光目的の短期滞在者限定