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ワークマン、豪雨でも寒くても何も感じない!? 断熱材を使用した“無感覚ウェア”XShelterシリーズがすごかった

2024年秋冬新製品発表会に行ってきた

2024年8月26日 発表

新素材の「XShelter」シリーズが予約開始

 ワークマンは8月26日、都内で2024年秋冬新製品発表会を開催。同時に、断熱シートを使用したウェア「XShelter」シリーズ製品の予約を公式オンラインショップで開始した。

 同社は、2024年秋冬では得意分野の機能性衣料に加えて、次の一手としてレディースの「キレイめ」カジュアルコーデ、メンズの「大人カジュアル」を強化し、今までできなかったアウトドア以外でのリンクコーデなどをできるようにして幅広い層のニーズを取り込みたい考え。

 新素材「XShelter」の発表会には同社専務の土屋哲雄氏が登壇し、シリーズの紹介を行なった。

 XShelterは独自開発の断熱シートと吸光発熱わたを組み合わせており、95%以上の独立気泡率を備えた独自素材のシートで外気を遮断し、人間が最も快適と感じる温度(31~33℃)、湿度(40~50%)に衣服内の環境を保つ。外部環境を遮断するため、暑さも寒さも感じさせない“無感覚”ウェア。衣服内にはサーモメーターがついており、快適な温度に保てているか確認できる。

断熱材の構造
外部の環境を無効化
サーモメーターがついており、快適な温度か確認できる

 ラインアップは、「断熱ジャケット」(3900円)、「断熱パンツ」(2900円)、「断熱ベスト」(2900円)、「断熱防水防寒ジャケット」(5800円)、「断熱イージスプレミアム防水防寒スーツ」(上下セット 9800円)、「断熱マフラー」(980円)「断熱レディース防水ウォームアウター」(4900円)、「断熱ムービングシュラフ」(9800円)。

 断熱レディーズ防水ウォームアウター、断熱ムービングシュラフは公式オンラインサイト限定で販売する。

製品ラインナップ

 展示ブース内には断熱シートの実験コーナーがあり、性能を体験できた。中温にしたアイロンを断熱シートで作ったミトンで触ってみる実験では、素手で触ればすぐに火傷する温度なのに数秒間は熱さを感じずに触ることができた。ちなみに断熱シートの厚みはごく薄く、約1mm程度。

薄さ約1mmのシートなのにアイロンを触っても熱くない

 さらに、水が沸騰する程度の温度に温められたホットプレートに一般的なナイロン生地と断熱シートを乗せ、その上に氷を乗せた実験では、氷の溶け方にかなりの差が出た。ナイロン生地の方は氷を乗せた瞬間に蒸気が発生して溶け始めたが、断熱シートの方は氷にほぼ変化が見られなかった。

左が断熱シート。氷の状態に明らかな差ができた

 本シリーズは断熱だけではなく撥水性を持たせており、会場では予約制でマイナス20℃の冷凍室での体験や、豪雨体験が可能だった。

 記者は豪雨体験を予約し、耐水圧1万5000mm、透湿度3万g/m2/24hを備えるXShelterの「断熱イージスプレミアム防水防寒スーツ」を試してみた。

「断熱イージスプレミアム防水防寒スーツ」を試着して豪雨体験に

 厚手の生地で暑そうだが、着てみると見た目ほど暑さを感じない。また、厚手の生地のおかげで雨が当たっている感覚はほとんどなく微かな振動のみで、フードに水が当たった音と併せて傘を差しているような気分だった。

 なお、フードはかなり大きめサイズで、顔をすっぽりと覆うので体験中に水が顔にかかることはなかった。

水が当たってもほぼ何も感じない。フードで顔がすっぽり覆えるので全く濡れなかった

 体験中、水が降っている時間は約1分ほどだったが、衣服に当たると水滴は玉になって流れていき、衣服内の湿度が上がっている感じもしなかった。着用後に残った水滴を払ってみたが、染みこみもほとんどなかった。

体験後の袖に残った水滴。染みこみもなく撥水している

 同社は初年度計画数として20万点、販売金額として10億円を掲げており、新商品をこれだけ大量に投入するのは初の取り組みだという。

XShelter開発の背景と災害対策製品へ

 土屋氏によると、暖冬問題や激しい寒暖差で冬場に何を着たらよいか分からない消費者が増え、同社では2021年、2023年度と、重防寒アウターの売り上げが16%減になっていた。そこで、どんな天候にも対応可能なアウターの開発が急務だったという。

 また、同社はこれまで災害時の避難所で停電時に手を使わずに周囲を照らせるライト付きの衣服や、個室として使えるソロテントなど、日本赤十字と共同で防災関係の製品を作ってきた。新素材のXShelterでも同様に、寒冷期の避難所のような過酷な環境でも快適に過ごせるものが作れないか考えながら製品化していくという。