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GoPro HERO12 Blackが本日発売。創業者ニック・ウッドマン氏に撮影のアイディアを聞いてきた

一番好きなマウントは「バイトマウント」

2023年9月13日 発売

GoPro創業者のニック・ウッドマン氏にお話を伺った

 GoProは9月13日、アクションカムの最新モデル「GoPro HERO12 Black」を発売した。公式サイトや国内小売店で取り扱っており、価格は6万2800円。今回、このプロモーションのために来日していたGoPro創業者のニック(ニコラス)・ウッドマン氏にお話を伺う機会を得た。

 氏は自身がサーファーであり、サーフィン中の自撮りを迫力あるアングルで行なうためのカメラを生み出すべくGoProを設立している。もちろん今も現役のサーファーで、お供にはGoProを持ち歩く。自分の欲しいものを作る、という根っからのユーザー目線で生まれたのがGoProというわけだ。

 その最新モデルHERO12は、内蔵プロセッサとセンサーサイズ、本体サイズなどの基本仕様をHERO11から継承しており、5.3K60fpsまたは4K120fpsの10bit撮影を行なえる。そして新たに5.3Kと4KのHDRビデオと27MPのHDR写真の撮影、GP-Log+LUTのカラー調整に対応したほか、手ブレ補正機能はHyperSmooth 6.0へ進化した。

 最大のトピックは、バッテリー管理を刷新して電力効率を改善したことで、連続撮影時間は5.3K60fps、HyperSmooth 6.0オンで70分。これは同条件のHERO11(35分)の2倍に当たる。

 さらに本体のみでBluetoothオーディオの接続に対応し、ワイヤレスで音声収録できるようになったほか、広視野角を実現する外付けオプション「Maxレンズモジュラー」が2.0へアップデート。40K60fpsで177度の超ワイド撮影を実現している。

GoPro HERO12 Black

コロナ禍を経て販売戦略は変化

 プライベートでは家族とともに来日していたそうだが、GoProのプロモーションとしては2019年以来というウッドマン氏。その間、世間はコロナ禍に見舞われ、外のアクティビティで使うGoProにとっては逆風の時期が続いた。

 GoProの販売戦略にも変化があった。HERO8は2019年10月発売、HERO9は2020年9月発売で、コロナ禍への突入はちょうどこの間。同社はHERO9投入のタイミングで、サブスクに登録すると本体価格が割り引かれるというサービスを始めている。

 当時についてウッドマン氏は、「旅行は私たちのビジネスでとても大きな位置を占めています。コロナ禍では販売戦略をかなり大胆に変化させて、公式サイトを通じてGoProを購入していただくという形に変えました。当時私たちのビジネスは縮小していたので、収益性を最大化しなければならなかったからです」と振り返る。

 そのうえで、「とはいえその段階はもう終えていて、多くの人たちが実店舗に行って購入するようになりました。旅行にも活発に足を向けている状態です。皆さんが活動的になればなるほど、私たちの成長余地も広がると言えます」と、現状への変化を歓迎する。

 なお、サブスクによる本体価格の割引は2023年5月に終了しており、加入の有無によらず同じ価格で購入できるようになっている。あわせてこのとき、HERO11の本体価格を6万2800円に改定(発売当時は7万8000円)、大幅な実質値下げに踏み切っている。

お気に入りのアクセサリは口にくわえて使う「バイトマウント」

 ところで、今回の来日のあとはパリ、ロンドンとプロモツアーが続くとのことだが、ウッドマン氏はその多忙の合間を縫って静波海岸(静岡県)にサーフィンに行く予定を立てていた。本当に根っからのサーファーだ。

 そこでサーフィンにお勧めのアクセサリを伺ったところ、「バイトマウント」と「The Handler(フローティングハンドグリップ)」の2つの名前が挙がった。バイトマウントは基部がシリコン製マウスピースになったもので、口にくわえることで視線に近い一人称視点の撮影を行なうアイテム。

 一人称視点でのGoPro撮影は、ベルトで額に取り付けたり、キャップに装着したり、ヘルメットに貼り付けたりとさまざまなアイディアが存在するが、バイトマウントは“くわえるだけ”という手軽さと準備の早さ、ハンズフリーであること、そして得られる映像の迫力に魅力がある。

 ウッドマン氏は、バイトマウントが「一番好きなマウント」だという。「(使っている姿が)変だと思うかもしれませんが、スポーツにおける撮影では素晴らしいものです。こんなアクセサリを作る企業はほかにありません。このアイディアが生まれたとき、GoProをとても誇らしく思えました」と、その思い入れの強さを語った。

ウッドマン氏のフェイバリットである「バイトマウント」(3200円)

 実際、GoProのユニークさを支える要素に、膨大なアクセサリの存在が挙げられる。フィンガーと呼ばれる折りたたみ式の爪を起こすことでネジ穴になるGoProのマウントは、自撮り棒や三脚、吸盤、クリップ、ヘルメット用といった定番のほか、人間の腹に取り付けるチェストマウント、時計のように腕に付けるリストマウント、自転車/バイクのハンドルに固定するポールマウント、犬の背中に取り付けるペット用ハーネスなど、一風変わったものも多く見られる。前述したバイトマウントや、サーフボードへ強力に固定するためのサーフボードマウントもその一員だ。

 HERO12の発売を機にGoProを使ってみたいという入門者向けのアクセサリとしては、撮影目的によるとしつつも、「Shorty」と「Volta」が挙がった。

「旅行を念頭に置くなら、ショートグリップ兼三脚のShortyなら、シンプルでありながら快適にGoProを使えるでしょう。カメラを付けたままポケットに入れることもできますし、ポール部分を開いて三脚にすることもできるので、持ち歩いた先で使うという点でも優れています。一方で、多くの映像を旅行中に撮りたい、でもバッテリーの残量をあまり心配したくないという人向けのアクセサリがVoltaです。これはバッテリーを内蔵したグリップ兼三脚で、よりプロ志向のアイテムですが、5.3Kで4時間撮影できますし、手元にはワイヤレスリモコンが付いていて、かなりパワフルな存在です」

純正/サードパーティ製アクセサリによるエコシステムが魅力の1つ

録画中のQuikでのプレビュー機能が復活

 実はHERO12の新機能として、記者個人が魅力に感じている点の1つにQuikアプリでの「撮影中プレビュー」がある。かつてGoProは撮影中のプレビューをアプリで表示することができたが、HERO9以降は録画を開始するとアプリでのプレビューが終了してしまっていた。この機能がHERO12で待望の復活を果たしている。

 例えば頭部にGoProを固定して一人称視点の撮影を行なっているときに、なにかの拍子でカメラの向きが変わってしまった際、手元でプレビューを確認できないと修正が難しい。Quikでの撮影中プレビューを使えば、さらに多彩なマウントを試しやすくなるはずだ。

 さて、トラベル Watchとしては、旅に活かせるアクセサリのお勧めも聞いておきたいところ。HERO12には、現状専用アクセサリとなっている「Maxレンズモジュラー 2.0」が存在する。GoPro本体のレンズカバーと取り換えることで広視野角を実現するオプションで、4K60fps撮影時に最大177度の映像を記録できる(MAX Hyper View)。

 この活用については、「旅行中は、MAX Super Viewを使うと没入感が増して、実際にその場にいるかのような臨場感のある映像を撮影できます。身の回りの環境を映像に落とし込みたいと考えるならMAX Super Viewが適しています。(視野角177度の)MAX Hyper Viewは、バイクに乗っているとき、スキーを滑っているとき、そのほかなんらかの活動中にPOVの広角撮影をしたいという場合にお勧めしたいです」とのこと。

 また、HERO12で追加されたHDR撮影は、明暗の差が大きいときに効果を発揮する。「例えば海が光を反射して明るく輝いているとき、地面や細かいところまできちんと映し込みたいと思ったらHDRは有効です。自分が室内にいて、外の明るい景色を同時に撮影したいと思ったら、やはりHDRが有効でしょう。自然光のなかでも、よりビビッドな映像にしたいならHDRはお勧めできます」と、その活用例を教えていただいた。

「Maxレンズモジュラー 2.0」(1万6000円)