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ブッキング・ドットコム、サステナブルトラベルの調査結果を報告。東横INNがプラ回収事例を紹介「可視化することで“自分事”に」

2023年7月10日 実施

ブッキング・ドットコム・ジャパンが「サステナブル・トラベル」の2023年版の調査結果を発表した

 ブッキング・ドットコム・ジャパンは7月10日、「サステナブル・トラベル」の2023年版調査結果を発表した。35の国と地域、3万3000人超の旅行者に実施した独自調査をまとめたもので、同日、都内で報道向けの説明会を行なった。

 東日本地区エリアマネージャーのオリビア・ジョン氏によると、世界の76%(日本では56%)の旅行者が「サステナブルに旅行したい」と答える一方、49%(日本43%)が「サステナブルな旅行はコストがかかり過ぎる」と捉えており、それでも43%(22%)は「サステナブルな認証を受けた旅行のために追加料金を払っても構わない」と考えていることが分かったという。

 こうしたニーズに分かりやすく応えるため、同社は「サステナブル・トラベル」プログラムと呼ぶ認証制度を展開している。廃棄物の削減、エネルギーや温室効果ガスの削減、自然の保護、節水、地元のコミュニティ支援といった32の認証項目をクリアした宿泊施設に対して、ブッキング・ドットコムのサイト上でバッジを付与するというもので、バッジの取得によって、宿泊施設の検索時に利用者に対してサステナブルな取り組みを分かりやすく表明できるだけでなく、該当する宿だけを絞り込むこともできるようになっている。

 プログラム開始当初は32項目すべてをクリアする必要があったが、現在は宿泊施設や国・地域の個々の事情に合わせて、クリアした度合いで3段階のレベルを設けているという。

ブッキング・ドットコム・ジャパン株式会社 東日本地区エリアマネージャー オリビア・ジョン氏
サステナブルな旅行への意識と効果

 本プログラムへの取り組みの具体例として、国内最大級のビジネスホテルチェーン「東横INN」のケースを紹介した。東横INNの施設は全国に300軒超、客室数は7万室を超えており、東横イン 執行役の中澤千代子氏によれば、全国の客室をあわせると、歯ブラシなどプラスチックアメニティだけで年間5万トンにおよぶという。

 東横インはその再生に積極的に取り組んでおり、集めた廃プラスチックは現在、歯ブラシケースに作り換えて利用者に提供したり、トレイを作ったりしている。ただ、コストだけで見ると実は負担の高い取り組みであり、しかも回収した廃プラスチック材のリサイクルが追い付かず貯まってしまっている状況とのこと。この点は「いまは産みの苦しみの段階」としつつ、引き続き取り組んでいく姿勢を説明した。

 このほか、100%再生できるアルミニウムの特性を活かして、ペットボトルではなくアルミボトルの炭酸水の販売を行なっていたり、古い制服を繊維リサイクルして繊維ボード化、掛け時計やインテリアに作り換えたりといった取り組みを行なっている。

 また、こうした取り組みのなかでプラスチックアメニティの回収量を月次公開して、客室テレビなどで報告している。中澤氏は「可視化することで利用者にも『自分事』だと思ってほしい」とその意義を語った。

株式会社東横イン 執行役 中澤千代子氏
東横インのサステナブルな取り組み
ブッキング・ドットコムでの東横INN表示例。中央の緑の表記が「サステナブル・トラベル」バッジ

 こうした取り組みのほか、ブッキング・ドットコム・ジャパン 北アジア地区統括 リージョナル・ディレクターの竹村章美氏は、コロナ禍を経て、日本だけでなく世界的に自国内を目的地にした検索が増えているという調査結果も示した。この傾向は2022年よりも増加しており、ここからの数年間は近場の旅行の注目が高まる見込み。近場とは、日本人なら国内と北アジア(同社の定義で日本・韓国・台湾・香港・マカオ)が該当する。

 インバウンドでは、同社の世界トップ検索ランキングだと日本は現在、ロンドン、パリ、ローマ、バルセロナに次ぐ5位につけており、2022年同期の68位から大幅に上昇(468.31%)している。また、竹村氏が調べたところでは、韓国から日本への検索は前年比2000%に増えており、世界から日本への注目が高まっていることがよく分かる数字が示された。

ブッキング・ドットコム・ジャパン株式会社 北アジア地区統括 リージョナル・ディレクター 竹村章美氏