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西武新宿駅に「翻訳対応透明ディスプレイ」試験導入。相手の顔を見ながら自然に会話、12言語でインバウンド受入を強化

2023年7月10日~9月末 実施

西武新宿駅に翻訳対応透明ディスプレイを試験導入

 西武鉄道は、訪日外国人観光客受け入れ体制の強化を目的に、翻訳対応透明ディスプレイ「VoiceBiz UCDisplay」導入の実証実験を西武新宿駅で行なう。期間は7月10日~9月末(7時~20時)。

 VoiceBiz UCDisplayは凸版印刷が提供するシステムで、互いが話した言葉の翻訳結果を透明ディスプレイに表示するもの。NICT(情報通信研究機構)が開発した国産翻訳エンジンを用いており、英語を介してから翻訳する一般的なシステムよりも日本語に強く、日本語から多言語への翻訳精度が高い。

12言語に対応
互いが話した言葉をそれぞれ同時翻訳

 最大の特長は、翻訳アプリをスマホなどで操作しながら行なう会話とは異なり、顔を上げ、透明なディスプレイ越しに相手の顔を見て会話できるということ。

 ディスプレイには話した内容が吹き出し状に映し出され、発言内容が正しく認識されているかを確認できる。また複雑な内容はメモ代わりに撮影しておけば、あとから何度でも見返せるメリットもあるという。

 12言語(英語、韓国語、中国語[簡体字]、インドネシア語、タイ語、ベトナム語、ミャンマー語、スペイン語、フランス語、フィリピン語、日本語)に対応する。ディスプレイ筐体は69×75×3cm(縦×横×幅)、モニターは31.5インチ。

 昨年10月に水際対策が緩和されて以降、急速にインバウンド需要が増加し、西武鉄道では5月に2019年比の約7割まで回復。特に西武新宿駅は利用者が多く、4月には駅至近に東急歌舞伎町タワーが開業するなど国内外から観光客が集まる。

 また沿線には秩父や川越をはじめ、西武園ゆうえんち、ベルーナドーム(西武球場前駅)、ムーミンバレーパーク(飯能駅)といった観光スポットが点在。6月にはスタジオツアー東京 メイキング・オブ・ハリー・ポッター(豊島園駅)が開業したことで、さらなる盛況が見込まれる。

凸版印刷株式会社 情報コミュニケーション事業本部で本システムの開発担当 野坂知新氏(左)と、西武鉄道株式会社 鉄道本部 運輸部 インバウンド担当の矢島綾乃氏(右)
訪日外国人の利用者も多い西武新宿駅。特急券売り場の横にある有人インフォメーションカウンターにディスプレイを設置

 本システムを活用することで、対面での円滑な多言語コミュニケーションを実現するとともに、労働人口が減少するなか外国語話者スタッフを配置せずともスマートな駅運営が可能となる。

 今回の実証実験ではその有効性や特有単語の翻訳精度などを検証し、2023年秋ごろ本格導入を目指すとしている。