ニュース

エクスペディア、2023年旅行トレンド発表。世界大都市の人気再燃、型にはまらず自由に楽しむ“ノーノーマルな旅”が主流に

2022年11月22日 発表

エクスペディアグループ リテール日本統括ディレクター 木村奈津子氏

 エクスペディアとホテルズドットコムは11月22日、「エクスペディアグループ 2023年の旅行トレンドに関するメディアラウンドテーブル」を都内で開き、同グループの調査データに基づく「2023年の旅行トレンド」を発表した。

 説明を行なったのは、エクスペディアグループ リテール日本統括ディレクター 木村奈津子氏。また同会には、韓国観光公社 東京支社 大木沙耶氏ならびに台湾観光協会 東京事務所 陳淑華氏が出席し、各国の現況と旅行推進に向けた取り組みについてPRした。

2023年のキーワードは、型にはまらず自由に楽しむ“ノーノーマルな旅”

 本調査は、日本を含む17地域の2万4000人の旅行者と業界専門家を対象に同グループが9月22日~10月14日に実施したもの。木村氏は冒頭、「旅行のあり方というのは世界で本当に大きく変わった」とパンデミックの3年間を振り返り、「世界の国々の人々が来年どんな旅行をしたいのか、また旅行に何を求めているのか」ということが調査結果から見て取れ、次なる旅行トレンドに反映されていることを説明した。

 新型コロナウイルス感染防止に伴う行動規制の緩和が欧米を中心に進んだ2022年、日本やアジア諸国においてもこの秋からコロナ前と同じように「何の制限もなく自由に旅行が楽しめる状態に戻り、人々の活発な動きが見られるようになった」と木村氏。例えば、しばらく会えなかった家族や親しい友人に会いに行く、人混みや大都会を避け、自然のなかでキャンプを楽しむといった旅のスタイル、あるいはリモートワークやワーケーションといった“ニューノーマル”(=新しい生活様式)が定着した。

 しかし2023年は、「ノーマルでもニューノーマルでもなく、個人が本当に自分のやりたいことを自由に楽しむノーノーマル(No Normal)な旅行がトレンドになる」という。

2023年のグローバル旅行では、「ノーマルでもニューノーマルでもない、自由に楽しむ“ノーノーマル”に定義される1年」になると発表

世界の大都市が再び人気傾向に。映画・ドラマきっかけで旅する人も増加

 特に「今、世界で大都市の人気が再び高まっている」という。旅行者が増加しているのは、スコットランドのエディンバラ・フリンジやシドニーのワールドプライド、東京の桜の名所など。芸術や文化的イベントが本格的に復活しつつある大都市が多く含まれているとした。

2023年の人気旅行先

・エディンバラ(スコットランド)
・リスボン(ポルトガル)
・東京(日本)
・ダブリン(アイルランド)
・ニューヨーク(アメリカ)
・シドニー(オーストラリア)
・ドバイ(アラブ首長国連邦)
・モントリオール(カナダ)
・ミュンヘン(ドイツ)
・バンコク(タイ)

 コロナ禍で移動が制限された直近2年では国立公園などの自然豊かな地域が旅行先として注目を集めたのに対し、2023年は歴史ある街並みやネオンが輝く都市部の検索数が多い結果となった。

 また同調査アンケートによると、Netflixなどのストリーミングサービスをきっかけに旅行先を選ぶ人が増加しており、ドラマや映画の舞台を訪れる旅がトレンドになっているという。世界では66%、日本では44%が「ストリーミングサービスを観て旅先を選んだことがある」と回答しており、友人や家族からのアドバイスと同じくらい影響力を持つことが分かった。

 コロナ禍で注目された“ウェルネストラベル”については、日本人旅行者の33%が前向きであり、ミレニアル世代(25~34歳)の約半数となる49%が、新たなウェルネストラベルの楽しみ方を模索していると回答。そのなかでも林浴や果物の収穫体験など、一風変わったアクティビティが人気傾向にあり、さらに面白いことを体験したいという人が増えていくと同グループは予想している。

 そのほか人気となっているのは、お得な3つ星ホテル。日本の旅行者の54%が、2023年は1~3つ星ホテルに滞在する予定だと回答し、34%がアメニティや無料朝食などの追加サービス付きのプランを予約する予定だと回答している。昨今では単なる宿泊施設にとどまらない質の高いサービスを提供するホテルも増えており、1~2回の豪華な旅行で贅沢をするよりも、お得な3つ星ホテルを選んで旅行の回数を増やしたいという人も少なくないという。

 人々の今後の旅行に対する考え方は、コロナ禍に「行きたかった旅行先リストの旅先を訪れる」という考え方から、「今行きたい旅行先に行く」という、自発的なアプローチへと移行しつつあるとした。

検索数から、2023年は世界の大都市がトレンドになると予想
日本人にはハワイやアジアのリゾート地人気が根強い

日本人の海外旅行先、検索予約トップはソウル&バンコク。LCC使用が主流

 2022年1月~9月の予約推移を見てみると、日本人の海外旅行の予約件数は約9倍に増加し、水際対策の緩和に伴い海外旅行の需要が高まっていることがうかがえる。検索数ではホノルル、バンコク、ソウルが上位となり、予約件数もソウルとバンコクが最も多い。

 アメリカの都市(ホノルルやニューヨークなど)が検索数に対して予約数が少ない一方で、アジア(ソウルやバンコクなど)では検索結果がそのまま予約につながる傾向にある。

 また、2022年10月末時点の上位検索数には台北(台湾)もランクイン。9月29日に日本からのビザなしでの渡航が解禁され、10月13日からは3日間の隔離も撤廃されたことにより、直後から多くの旅行者の関心を集めたと考えられる。また韓国、台湾、タイにおいては、LCCなどを利用してコストを抑えて海外旅行を楽しめるという手軽さも、人気の要因の1つであるとした。

日本人の海外旅行の予約推移(2022年1月~9月)
検索・予約ランキング(2022年7月~9月)
検索ランキングと台湾の検索数推移(2022年10月末)
旅行先ごとで最も選ばれているエアライン
エクスペディアでお得に予約をするコツ

韓国では11月からビザなし渡航解禁。BTS聖地巡礼の旅もトレンド

 続いて韓国観光公社 東京支社の大木沙耶氏が、韓国旅行における最新情報を紹介した。韓国では、2022年11月より無期限でのビザなし渡航が解禁されている。また「K‐ETA」という電子旅行許可制度が新たに導入されており、健康状態を申請する「Q-CODE」とともに、入国の際にはWebサイトもしくはアプリにて、出発72時間前までの申請が必要となっている。

 ソウルの最新スポットとして挙げたのは、つい最近まで韓国大統領の執務室・官邸として利用されていた青瓦台(チョンワデ)や韓流コンテンツを最新技術やメディアアートで楽しめる「ハイカーグラウンド」など。釜山でも、全長4.8kmの海岸沿いを走る観光列車「海雲台(ヘウンデ)ブルーラインパーク」や韓国で2番目に高い建物の100階にある展望台「釜山エックス・ザ・スカイ」からの絶景も話題を集めているという。

 なかでも世界で活躍するアーティスト「BTS」の聖地巡礼がブームとなっており、MVのロケ地となったスポットを観光し、写真撮影などを楽しむ旅行者が増えているという。「インサイトというBTSの所属事務所の社屋に設けられた施設では、メンバーたちが着た衣装や未公開のコンテンツを見ることができ、BTSやK-POPファンにお勧め」と大木氏。

 そのほか韓牛(ハヌ)やモダン韓食(ハンシク)といった韓国グルメも進化しているので、訪韓の際はぜひ試してみていただきたい。

韓国観光公社 東京支社の大木沙耶氏が韓国の最新スポットをPR
11月からビザなし渡航ができるように
ソウルの人気観光スポット
釜山では「ミラクル・ザ・マーケット」や「ミュージアム・ワン」などの新スポットも誕生している
韓牛(ハヌ)やモダン韓食(ハンシク)などの韓国グルメも進化中
なかでもBTSのMVロケ地を巡る旅が人気という

台湾では2023年2月に一大イベント「ランタンフェスティバル」が開催

 最後に、台湾観光協会 東京事務所の陳淑華氏が現地の最新情報について紹介。台湾では9月29日より日本人のビザなし渡航が可能になり、続く10月13日には隔離も廃止。コロナ前と同様、自由に観光できるようになった。マスク着用義務も11月下旬~12月を目途に、撤廃する方針が進んでいるという。

 ただし現在、入国から7日間の自主健康観察期間が設けられており、台湾の空港到着時に渡される無料の簡易検査キットを使い2日に一度、各自で陰性確認をする必要がある(滞在期間は7日間以内でもOK)。検査結果の報告義務はなく、滞在中に少し体調不良になった場合など、個々で健康管理をするために活用してほしいとのこと。

 2023年2月5日~19日には、台湾の一大イベントである「台湾ランタンフェスティバル」が開催される。今回は23年ぶりに台北市での開催となり、期間中は巨大なランタンや花火で夜の街が彩られ、市内の主要観光施設などを会場にさまざなイベントが展開されるという。

 そのほか陳氏は最新の観光スタイルとして、ハイキング、サイクリング、観光列車などで自然景勝地を巡るグリーンツーリズムを提案。一方で、市街地の煌びやかな夜景と台湾グルメを堪能できる「2階建てレストランバス」などもアピールした。

台湾観光協会 東京事務所の陳淑華氏が、入国後7日間の自主健康観察期間と空港で配布される簡易検査キットについて説明
台湾ランタンフェスティバル in台北
グリーンツーリズム
国立ハイキングコース
サイクリングロード
台北2階建てレストランバス
観光列車「鳴日号」