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ニセコにレジデンスタイプの星のや初進出。星野リゾートの全国旅行支援は「予約が簡単な設計」と星野代表
2026年「星のやロッジ ニセコ(仮)」開業予定
2022年10月13日 18:00
- 2022年10月12日 開催
星野リゾートは定例発表会「星野リゾートLIVE」をオンライン形式で10月12日に実施した。10月11日にスタートしたばかりの全国旅行支援に関する同社の施策から、新規開業事業の紹介、さらに同社代表の星野佳路氏が業界予測を発表した
全国旅行支援を一定評価。同社の公式サイトは考えずに予約できる仕様に
先日スタートした政府の実施する全国旅行支援について星野代表は、以前から同氏が提言していた「繁忙期が対象外であること」「平日と休日に差をつけ稼働の平準化を促していること」、さらに「飛行機や新幹線を活用し旅行へ行くユーザーに手厚い制度設計」が盛り込まれたことを一定評価。
一方で、各県に任せたことで47もの事務局が生まれ予約が複雑となった点を指摘し、Go To トラベル施策の際に上記3点が盛り込まれていたら「パーフェクトだった」と振り返った。同社では10月11日より予約をスタート、25日宿泊分より制度を適用する。上記の複雑さを踏まえ同社の予約サイトは「簡単に予約ができるインパクトのある設計にした」とのことだ。
業界予想の前には、観光業界の現状とコロナ禍の3年間を総括した。「都市」「飛行機で行く観光地」「温泉地」「都市周辺の観光地」と、ホテルのタイプにより差があった実態を報告。
予約状況のグラフや2019年から2022年の9月の単価と稼働を比較し、都市と飛行機で行く観光地は比較的大変であり、特に都市はインバウンドが来ない限りもとには戻らないこと、対して温泉地と都市周辺の観光地は3波~4波あたりから感染数に関係なく予約は安定、ここ1年は通常と変わらない予約状況に推移していたことを報告した。
欧米からの集客に向けた積極的なPRが必要。今こそアジア依存から脱却するチャンス
続いて、マイクロツーリズムの展開により国内需要をキープしてきた同社だが、約28兆円(日本の観光旅行消費)のうち、日本人が海外旅行できず国内消費した金額が「実は5~6兆円あったのではと肌で感じている」と言及。インバウンド(4.8兆円)を超える額が国内で動いたことが温泉地などの単価が上がった理由ではと推測した。
なお、11日より訪日観光客の受け入れも解禁。インバウンドが戻ってくると同時にアウトバウンド(国内から海外へ行く日本人旅行者)も増えるため、現在単価が上がっている温泉地や首都圏近郊の宿泊エリアでの下げの圧力も予想。アフターコロナの観光業界が明るいだけではないことにも言及した。
なお、円安は訪日客の戻りを後押しし、日本からの渡航を鈍せる効果があるため2023~24年の全体的な日本の観光の状況はわるくなく大きなチャンスがやってきているとした。
インバウンドの今後の見通しとしては、以前からアジア依存が顕著であまりよい状況ではなかったが「特定の国ではなく世界各国からの平準化した集客、欧米集客の大きなチャンス。この機会にアジア依存を脱却し、欧米からの集客率を上げることで観光地としてのブランド力アップを」と訴えた。さらに「特にアジア依存の高い大阪・九州エリアは将来を見据え欧米に向けてのブランディング展開をしてくべき」という。
パウダースノー・ニセコに「星のや」初進出! レジデンススタイルで今冬に販売予定
発表会では、星野代表が現在進行中の北海道・ニセコの「星のやロッジ ニセコ(仮)」を紹介した。星のやとして初のレジデンスタイプのホテルで、ユニットごとに分譲。オーナーが利用するとき以外はホテルとして運営するスタイルを導入する。2026年秋開業に向け開発を進めており、今冬に部屋を販売予定。
同レジデンスはニセコの繁華街・比羅夫まで徒歩約8分の山田温泉エリアに位置しており、「ニセコ東急 グラン・ヒラフスキー場」へスキー・イン&アウトで利用できるベストロケーション。羊蹄山を望む「Onsenプール」や各部屋キッチン・ダイニング付きでファミリーステイはもちろん長期滞在もOK。
さらに群馬「谷川岳ロープウェイ」の運営をスタートし、谷川岳のリブランドに着手したことも発表した。星野代表は「今後谷川岳の将来像を明確にし、周辺の温泉エリアと連携、PRに参画し安全性も含め世界に向けてアピールしていく。群馬全体が東京に近くポテンシャルも高いので、それを活かせる活動に貢献し集約していきたい」と意気込んだ。2023年4月頃に改めて星野リゾートのブランドを冠につけた形で発表予定。
OMOが続々!? 熊本・高知に進出。都市型ホテルで世界に向けて情報発信
コロナ禍でも勢いの止まらない都市型ホテル「OMO by 星野リゾート」。新たに「OMO7 高知 by 星野リゾート」の開業を発表した。四国エリア初進出となり2023年に運営をスタートする。フルサービスホテルとして都市のランドマークとしての機能も。客室は191室、レストランにカフェテリア、バーならびに大浴場などを併設する。開業日や詳細は追って発表予定。
2023年も開業ラッシュが続き4月25日には「OMO5 熊本 by 星野リゾート」がオープンする。熊本市中心部に位置し、交通アクセスも抜群な同ホテルは「わさラッシュ!城下マチ」をコンセプトに、熊本城や城下に広がる街を巡るツアーも実施予定。
また、関連記事「星野リゾート、初のエアポートホテル『OMO関西空港』開業。星野代表『これまでは泊まってよかったと思ったことがない』」のとおり、星野代表いわく“人生最悪の夜”とも言えるエアポートホテルの概念を覆すべく「OMO 関西空港 by 星野リゾート」も2023年冬に開業する。
「空チカ!ファンタイム」をコンセプトに、旅のテンションを上げる場所すべく大浴場やサウナ、手軽に使える「エクスプレス・フル・ビュッフェ」、最上階には大阪港を独り占めできるルーフトップバーも併設。「選択肢がなく渋々泊まる」から、「旅の前後もワクワクしたいから泊まる」にイメージをアップデートする仕様だ。
日本初の試み。「ハイアットリージェンシー大阪」とのコラボホテルで安定的な集客を目指す
星野リゾートの新たな試みとしてコラボレーションホテル「星野リゾート リゾナーレ大阪」の詳細も紹介。480室を保持する「ハイアットリージェンシー大阪」とのコラボでは、出張などビジネスユースとハイアットファンによる利用が多い同ホテルと、ファミリー層に強い「リゾナーレ」ブランドが、それぞれのターゲットにリーチ。
星野代表は今回のコラボを「今後も出張が減りホテルの供給過剰が大阪で見込まれるため、しっかり480室を活用し収益を上げるため」と話す。また「ホテルの供給過多が起こると改築や今までとは異なるホテルタイプが生まれ、新たな客層も。今回のコラボはその兆し。うまく行けば今後の展開につながる」とした。
今回のコラボに加え「星野リゾート リゾナーレ大阪」では創造性を引き出す教育アプローチとして海外で評価の高い「レッジョ・エミリア・アプローチ」を導入。教育をテーマにファミリー向けに子供たちが滞在中遊んで学び、想像力をアップさせるプログラムを用意する。
「界 雲仙」の進捗や、広報部によりトレンド予想も
なお、発表会では11月25日の開業に向け仕上げが進む「界 雲仙」からの新着映像も。長崎ならではの和華蘭文化を象徴するステンドグラスが採用された大浴場や、お風呂が主役の「和華蘭の間(客室付き露天風呂)」を公開。
また、広報部のトレンド予想も。「奥入瀬渓流ホテル」での贅沢ステイを筆頭としたアプターコロナの「明けの贅沢2.0」「星のや 沖縄」の浜辺で仕事に勤しむ「裸足のワーケーション」、さらに「リゾナーレ小浜島」の非日常的なサウナ体験がかなう「サウナのその先」などを6トレンド紹介した。
2022年冬から春にかけての星野リゾートの新着情報から、トレンド・業界予想まで盛り込んだ大充実の「星野リゾートLIVE 2022 秋」。「全国旅行支援を使って行ってみようかな」と次の旅の後押しをしてくれる、情報満載の約1時間半だった。