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ジェットスター、新型エアバス A321neo(LR)型機で周遊フライト。より快適になった機内を体験してみた
10周年記念「初乗りエビバディ!」
2022年7月2日 08:00
- 2022年7月1日 導入
ジェットスター・ジャパンは6月30日、設立10周年記念として新型エアバス A321neo(LR)型機(登録記号:JA26LR)を使用した成田発着の周遊チャーターフライト「初乗りエビバディ!」を実施した。
7月1日から定期便に導入される新型機に乗れるとあり、成田空港 第3ターミナルには99人の参加者が集まった。
出発前には搭乗ゲート175番の前でセレモニーが開かれた。主賓者あいさつとしてジェットスター・ジャパン 代表取締役社長の片岡優氏が、新しく導入するエアバス A321neo(LR)型機(以下、A321LR)を“ゲームチェンジャー”と呼んでいることを紹介した。理由として挙げたのは、新型シートを採用した快適性の向上、新型エンジン搭載によるCO2の15%削減、胴体を延長したことによる座席数の増加など。
現在使用しているエアバス A320ceo型機(以下、A320ceo)は180席仕様。A321LRは238席仕様なので58席増えることになり、「より多くの利用客に低運賃サービスを提供できる」とアピールした。また、15%の燃費向上と追加燃料タンクの搭載により航続距離も伸びることからゆくゆくは国際線としても投入できるスペックであるという。
これについて「我々は本当にゲームチェンジャーと呼ぶにふさわしい機材として大変期待している次第です。私どもの理念である“より多くのお客さまに安心安全で楽しい空の旅を提供する”、まさしくこの言葉が実現できるような機材を、本日からお客さまにご利用いただくことになります」と、A321LRのデビューに期待を込めて話した。
続いて、成田市長の小泉一成氏が設立10周年のお祝いに加え、市の業務応援として草刈りなどの清掃業務に従事してくれたことに対する感謝を伝えた。
国内観光需要も回復しつつあるなか、訪日外国人旅行客の受け入れも一部再開され、ツアー客の来日が始まるなど明るい兆しが見えてきたことにも言及。「新型機の導入によるさらなる航空ネットワークの拡大とサービス向上に成田市も期待している」と話した。
拠点とする成田国際空港からは、エアライン営業部 部長の浅井俊隆氏が出席。「国内線を中心に航空需要が回復傾向にある最中での新型機材の導入は、成田空港にとっても大変喜ばしいトピックスである」とあいさつを述べた。
また空港側では、2022年4月に第3ターミナルの大規模リニューアルを行ない、伸びを見せてきたLCC需要に対応できるよう取り組んでいることも紹介。「5月に就航以来4000万人の輸送を達成されたと聞いています。新機材の2号機、3号機の導入も予定されているそうなので、新機材とともに5000万人、6000万人達成を目指していただき、ジェットスター・ジャパンのネットワークのさらなる拡大に期待しています」と、成長に向けた新機材の導入を歓迎した。
ツアー客99名と関係者を乗せたGK3210便は、11時02分に175番スポットから出発。コースは成田空港を離陸したのち一旦、洋上に出てから千葉県北部から西へ向かい、埼玉県南部、東京都北西部を通過して山梨県に到達。
富士山の北側上空6000mを2周ほど旋回したあと、長野県の飯田市付近で南に進路を取り、浜松市の上空を通過して南東へ。その後は伊豆半島の南海上で進路を北東に向け、三宅島付近を通過して房総半島沖から成田空港まで戻ってきた。
離陸はA滑走路16Rを使い、着陸はB滑走路16Lを使用。フライト時間は1時間38分だった。
巡航高度に達すると、同乗した片岡社長が機内のツアー客に再び参加のお礼を述べた。そして、neoと呼ばれる新型エンジン、CFMインターナショナルの「Leap 1A-32」が燃費や環境に対する性能向上に加え、静粛性も優れているとし「従来機に比べて騒音が機内でも半分ぐらいだといわれています」と紹介した。
また、翼端に設けられたシャークレットの内側にはジェットスターのロゴを入れているのも新型機の特徴であることを伝えた。
A321LRの特徴については、副操縦士の白﨑祐稀氏も従来のA320ceoと異なる点を紹介した。パーツ以外においてもデザインが大きく変わっており、機体下部から垂直尾翼にかけてコーポレートカラーであるオレンジで大きく塗装されている点も違いであると話した。
そして、同社の下地に使われている銀色についても変更されており、従来機ではラメを塗料に入れていたのを環境への配慮もあって、A321LRでは使われていないとのこと。キラキラ感はなくなってしまったが、塗装の耐久性が上がり、使用する量も30%ほど減ることで機体の軽量化にもつながっているという。
機体の名称については、A320ceoのceoは「Current Engine Option」の略で、A321LRのLRは「Long Range」の略であるとし、別名としてA321neoと呼ばれることも紹介した。neoは「New Engine Option」の略。このニューエンジンとして搭載されているのが「Leap 1A-32」で、Leapは「Leading Edge Aviation Propulsion(最先端の航空推進技術)」の頭文字をとったものだ。
続く“1”は一世代目、“A”はエアバス機を表すので、ボーイング機に搭載されると1Bになるそう。Leap 1A-32は従来機に搭載されているIAE社(インターナショナル・エアロ・エンジンズ)の「V2527-A5」よりも30cmほど外径が大きくなっているが、バイパス比が5対1から11対1になっていることでより推進効率もよくなり、燃費向上、騒音軽減にもつながっていると解説した。
フライト中には機内サービスも行なわれ、成田市で和菓子を製造販売する「米屋」がこの日のために用意した特製どら焼きが振る舞われた。同社の代表取締役社長である諸岡良和氏はどら焼きの特徴として、餡の滑らかさ、生地のふんわりとしたしっとり感を挙げた。
自身が会長を務める成田市観光協会においても「ジェットスター・ジャパンと一緒に成田市を盛り上げて行きたい」と話し、7月8日~10日には3年ぶりとなる「成田祇園祭」、7月15日~8月28日には「成田うなぎ祭り」を開催するので、ぜひとも訪れてほしいと伝えた。
機内の快適性向上として、シートも大幅に変わっている。2019年にレッド・ドット・デザイン賞において「最優秀エコノミークラスシート」を受賞したRecaro社の「BL3710」を採用し、スリムになったシートは圧迫感がなく、座り心地もなかなかよかった。
シートまわりの装備も格段に増え、充電可能なUSBポートやしっかりと固定できるモバイル端末ホルダー、メッシュのシートポケット、ポーチなどを引っ掛けられる突起など、随所に使いやすい機能が備わっている。
片岡社長がゲームチェンジャーだと話すA321LRは、利用する側からしても魅力ある機体だと今回の取材を通じて感じた。席が前方だったのでエンジン音については正直、どの程度静粛性が向上したのかは分からなかったが、シートの座り心地や使い勝手はかなりよくなっている。
今回導入された1号機は以下のスケジュールで運航される予定なので、興味ある方はぜひとも利用してもらいたい。