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IHGが日本戦略発表、ライフスタイルと宿泊特化型に注力

2023年に日本初進出ブランド「voco大阪セントラル」も

2022年6月22日 発表

IHGホテルズ&リゾーツ マネージングディレクター 日本&マイクロネシア、およびIHG・ANA・ホテルズグループジャパン CEOのアビジェイ・サンディリア氏

 IHGホテルズ&リゾーツは6月22日、都内の「キンプトン新宿東京」で記者発表会を行なった。登壇したのは先ごろ着任したマネージングディレクター 日本&マイクロネシア、およびIHG・ANA・ホテルズグループジャパン CEOのアビジェイ・サンディリア氏。日本市場の今後の戦略や2023年に開業予定の「voco大阪セントラル」について明かした。

日本市場での展開を加速させる考えを示すサンディリア氏

 サンディリア氏は日本市場について「ライフスタイルブランドと宿泊特化型ホテルブランドに機会があると考えている」と説明。「日本政府が掲げる2030年の訪日外客6000万人達成のポリシーに合致したもの」と話し、日本市場での展開を加速させる考えを示した。

 同社は日本で6ブランド、44軒のホテルを展開しており、客室数は1万2323室(2023年3月末時点)におよぶ。今後は「インターコンチネンタル沖縄美らSUNリゾート」「リージェント京都」などの開業も予定している。

日本における成長戦略
2024年~2025年の開業予定

 世界のホテル市場をみると、各国に占めるインターナショナルブランドの割合は25%前後。OECD(経済協力開発機構)加盟国の場合は40%~50%を占める国もあるが、日本はわずか5%だという。サンディリア氏は「日本のホテル市場はかなりユニーク」と語り、インターナショナルブランドの割合が低い日本では「全セグメントでチャンスがある」との考えを述べた。そのうえで、ライフスタイルホテルを求める消費者がインターナショナルブランドを好む傾向にあることや、市場の成長スピードが速いことなどから、ライフスタイルブランドに勝機を見出したことを説明した。

vocoはラテン語で「招待する」「呼び集める」という意味

2023年にライフスタイルホテル「voco」初進出、大阪京町堀に開業

 次に、2023年に開業予定の「voco大阪セントラル」(大阪府大阪市西区京町堀1-7-1)について説明した。

 vocoはIHGホテルズ&リゾーツが2018年に立ち上げたライフスタイルホテルブランドで、現在35軒を展開している。75軒目の契約である「voco大阪セントラル」はブランド史上、日本初進出となる。サンディリア氏によれば、vocoを立ち上げる際は大規模な消費者リサーチを実施し、ライフスタイルホテルに顧客が求めるものを徹底的に追求。そのうえで「ようこその気持ちを -Come on in」「自分らしく過ごす時間 -Me time」「ソーシャルスタイルのレストラン -voco life」の3要素にこだわったという。

 例えば到着時にホテルオリジナルのプチギフトを用意。あるいはレストランで宿泊客同士が交流できる時間を設けるなどの工夫をし、vocoならではのオリジナリティを出すことで他ブランドとの差別化を図っていく。

vocoのブランドコンセプト。重視すべき3点については「小鳥」「梟」「フラミンゴ」で表現

 サンディリア氏はオーストラリアでの開発担当者時代、1軒目の「vocoゴールドコースト」を担当していたことに触れ、「個人的にも思い入れのあるブランド。日本全国で成長させるのを楽しみにしている」と話した。また「ホテルオーナーと消費者、どちらにとってもvocoの柔軟性は非常に好調であり、これだけ短期間にホテルの数を増やせた」と分析。今後は「新築ホテルと(ほかのvocoのように)リブランドのコンバージョン(用途転換)の両方にアプローチしていきたい」との方針だ。

世界各地のvocoの様子

「voco大阪セントラル」の客室は全191室。環境配慮型のホテルとして、100%リサイクル素材を使用した寝具を採用し、ミニチュアボトルやリサイクルが難しいアメニティを使わないといった取り組みも行なう。ターゲットは「モダンな旅を求める旅行者」で、老若男女に幅広く訴求する。ホテルは大阪メトロ「肥後橋駅」「本町駅」「淀屋橋駅」からそれぞれ徒歩数分の場所に位置しており、その立地のよさから訪日客の利用も見込んでいるという。

voco大阪セントラルの客室イメージ
環境に配慮したさまざまな取り組みを実施する