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愛媛みかんの未来を守る! ANA、農園プロジェクトで耕作放棄地の再生と植樹を実施

2022年4月17日 実施

ANAが伊予柑の苗木の植樹を行なった

 ANAは4月17日、愛媛県松山の農園でみかん(伊予柑)の苗木の植樹を行なった。

 ANAあきんど(旧ANAセールス)が手がける地域創生事業の一環で、高齢化や人手不足などで農地の減少が進むなか、耕作放棄地を農家と共同で再生して改めて作付けを行ない、収穫したみかんをANAのプラットフォームを利用して全国に展開しようという試みだ。

 愛媛出身で2016年にCAとして入社した黒川さゆり氏が、社内の公募制度に手を挙げたところから始まったプロジェクトで、地元のみかん・伊予柑農家である石丸農園と協働して進めている。黒川氏がANAあきんどに出向した2021年9月から本格的に動き出しており、クラウドファンディングで耕作放棄地の整備費やみかんの苗木の購入費の支援を募ったり、ふるさと納税の返礼品に「伊予柑の木1本まるごとオーナー制度」を用意したりといった取り組みを展開し、その成果の次の一歩としてこの日の植樹と除幕式を迎えた。

 黒川氏は「今回、クラウドファンディングを通じて支援してくれた方と一緒に植樹をする機会を得たが、これまでみかん農園や愛媛と関わりのなかった方に現地まで来てもらって、活動の内容に共感したと言ってもらえたことがうれしい。自分が発信しなければ出会うことはなかったはず。いろいろなツールを通じて発信することで、農家の現状や愛媛のみかんを守る取り組みをもっと多くの人に知ってもらいたい」とプロジェクトの進捗を評価した。

 また、石丸農園のミックスジュースを社内向けに販売しているそうで、社内の基準をクリアできたら一般向けにも販売したいと今後の目標を明らかにした。

ANAあきんど株式会社 松山支店 黒川さゆり氏。客室乗務員兼スタッフアドバイザーで、現在はANAあきんどに出向している
愛媛県松山市権現町の耕作放棄地を再整備。並行して苗木の準備などを進めて当日の植樹を迎えた
植樹を始める前に除幕式を実施

 植樹前に実施した農園の除幕式にあたり、ANAあきんど 代表取締役社長の菅谷とも子氏は、「我々は農園事業は素人だが、石丸農園の『未来の子供たちにいつまでも美味しいみかんを届けたい』という想いについては同じ気持ち。今回、クラウドファンディングやふるさと納税、機内食のデザートなどをANAのツールを通じて役に立てることが分かった。こうした成功事例を全国へ広げて、苦しんでいる農家を助けて地域に貢献していきたい」とプロジェクトの展望を説明した。

 石丸農園を運営する修斗 代表取締役の石丸智仁氏は、「子供のころからここで育ったが、年々廃園が増えて雑木林だらけになっている。みかん畑は3年くらい(の休耕)でもとに戻すのが難しくなってしまう。一農家の力ではどうにもできなかったが、ANAの力を借りることで抱えている課題を形にすることができた」と述べて、解決に向けた歩みが進んでいることを喜んだ。

ANAあきんど株式会社 代表取締役社長 菅谷とも子氏
株式会社修斗 代表取締役 石丸智仁氏
事業の概要を説明したANAあきんど株式会社 松山支店 支店長 谷山章氏

 除幕後は、参加者全員が指導を受けたうえで植樹に取り組んだ。この日の苗木は123本、作付面積は1反(約1000m 2 )で、この苗からは4年後くらいに収穫できる見込みという。

 念のために整理しておくと、伊予柑はミカン科の柑橘で、愛媛県松山を中心に産地を形成している。いわゆるみかん(温州みかん)よりも皮が厚めだが、果肉の大きさやみずみずしさに特徴がある。

 ちなみに、ANAではこれよりも前に植樹した伊予柑の木のオーナーを現在も募集中で、ふるさと納税として5万円寄付することで木の1本分を収穫する権利を1年間得られる(現地に来られない場合は石丸農園産の伊予柑20kg、飲むみかんゼリー15種、愛媛柑橘果汁100%飲料8本を提供)。興味のある方はANAのふるさと納税サイトを確認していただきたい。

広く深めに穴を掘って粉末の肥料を混ぜ込む
やや上から生えている細い根と下の根をかき分ける
下の根が隠れるように土をかぶせる
細い根を伸ばすように広げる
苗の周囲を囲むように堆肥をまく
中央のくぼみに貯まるよう水を掛ける