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再開するANAの機体工場見学を先行レポート! 2年越し公開の体験型施設も

「ANA Blue Hangar Tour」

2022年4月4日 開始

機体工場見学が「ANA Blue Hangar Tour」として再開する

 ANA(全日本空輸)は3月28日、新型コロナウイルス感染症拡大により中止していた羽田空港の機体工場見学をリニューアルし、4月4日より再開することを発表した。リニューアルに伴い名称を「ANA Blue Hangar Tour」とし、「感動! e.TEAM ANA」をテーマとする体験型見学施設が新たに加わっている。

 ANAの機体工場見学ツアーは格納庫で実物を間近に見れるとあって、大変人気のあるツアーとして知られている。1993年に施設が完成し、累計で約120万人が参加。コロナ前は年間約7万人が訪れた実績がある。

 今回リニューアルにあたり、有名テーマパークや遊園地を手掛けるムラヤマ監修のもと、実際の部品や工具に触れられるコーナーや整備作業を模した体験ゾーンなどを用意しており、実際の大きさや重さを体感しながら、より一層飛行機や整備業務をツアー参加者に感じてもらえるようになっているのが大きな特徴だ。

 実はこちらの体験型見学施設は2019年末に完成しており、あとはツアーに組み込んで公開を待つだけであったのだが、コロナの感染拡大により中止とされ、ようやく今回お披露目となった。

 ANA Blue Hangar Tourの概要は以下のとおりで、開催日の1か月前から専用サイトで予約を受け付ける。開催は平日の午前と午後の部に分かれており、それぞれ最大で24名まで募集する。コロナ前は1枠あたり80人で4枠、最大320人が参加できる規模であったが、感染防止対策を踏まえたうえで当初は人数を絞って開催するとのことだ。

体験型見学施設ではボーイング 787型機の実物大サイズの尾翼がお出迎え

ANA Blue Hangar Tourの概要

開催日: 平日(休館日:土日祝・年末年始。施設点検などで臨時休館あり)
開催時間: 9時30分~11時、13時30分~15時
予約開始日: 開催日の1か月前同日から
予約方法: インターネット予約のみ
対象年齢: 小学生以上(小学生は成人による引率が必要)
ツアー催行人数: 各回最大24名
料金: 無料
Webサイト: ANA Blue Hangar Tour

 体験型見学施設はもともと体育館だったスペースを改修したもので、広いスペースに1~13のゾーンに分けて整備の工程を紹介している。ライン整備やドック整備、エンジン整備といった飛行機を運航するうえで必要な整備についてパネルで詳しく説明しており、実際に整備士の目線で撮影した映像が用意されているのもおもしろい。

 また、実際の整備工程を体験できるように、タイヤの摩耗度を測定したり、レンチでボルトを締めたりといった、手で触れて体感できる展示物もある。展示されている部品などは整備士でしか目にすることができないものも多く、飛行機好きにはたまらない空間になっている。

 ツアーガイドを務めるスタッフに再開についての意気込みを聞くと、「2020年の3月より休館していましたが、このたび再開できる運びとなりました。皆さまに安心してご見学していただくために感染防止対策を行なったうえで見学会を開催いたします。また、新しい展示施設でANAの整備部門を紹介しているので、皆さまのご来館をお待ちしております」と話してくれた。

整備の項目ごとに細かな説明が掲示されている
レンチでボルトを締める作業やタイヤの摩耗度を測定することもできる
実際に目の前に飛行機があるように見える、整備士の目線で撮影された映像は非常に興味深い内容だ。エンジンの取り外しや高度計の試験など、取り上げている内容も多岐にわたる
翼端に取り付けられているナビゲーションライトや、速度を計測するピトーチューブなども展示されている

 機体工場見学は以前と同様、ガイドの指示に従いながら実際に格納庫の整備風景を間近に見学できるものだ。入るとその光景に圧倒されるが、幅230m、奥行き100m、高さ42mの巨大なスペースには、最大7機の機体を収納できる。

 機体の隅々まで点検して、不具合があれば修理・交換するドック整備ではエンジンの分解なども見られ、音や空気などから整備の様子を肌で感じ取れる。また、格納庫の目の前はA滑走路になっており、離着陸の様子などを普段見ることができない位置から体験できるのもこのツアーの醍醐味だ。

 休止してから2年、ようやく人気のツアーが再開されたのはうれしい限り。感染防止対策のため少人数でのスタートのため、プレミア感が出てしまうのはいたしかたないが、興味ある人は予約サイトをこまめにチェックしよう。

圧倒的な大きさに驚かされる機体整備工場。足場を設けて、機体の外装を含めて徹底的にチェックする。なお、ツアーにおいては参加者の撮影も認められているが、SNSなどインターネット上に公開する際はANAの審査許諾が必要
ツアーガイドの指示に従い、整備作業の妨げにならないようにして見学する
ロールス・ロイスのエンジン「Trent 1000」を整備している様子
目の前は羽田空港のA滑走路になっており、降り立つ飛行機の姿も見られる