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開通迫る多摩川スカイブリッジを見てきた! 羽田B滑走路の新撮影スポット、河口の景観に溶け込んだスレンダーな橋

2022年3月12日 開通

通行料金無料の多摩川スカイブリッジ

 羽田空港(羽田グローバルウイングズ)と川崎市殿町(キングスカイフロント)をつなぐ新しい橋「多摩川スカイブリッジ」が、いよいよ3月12日15時に開通する。

 2月26日には一般向けのウォーキングイベントが実施されにぎわったが、開通を目前に控えた3月9日には報道向けの内覧会が開催され、開放的な橋の上で歩行者やクルマがほとんど見られない貴重な景色を好天の下で楽しめた。

川崎側から。羽田空港を飛び立った飛行機がさっそく見えて心躍る

 多摩川スカイブリッジは道路延長約840m(うち橋梁延長は約675m)の、多摩川にかかる橋のなかでは一番長く、最も下流に位置する橋梁だ。海と川の水が混ざり合う汽水域に位置するため、サギやカイツブリなどさまざまな水鳥が生息し、貴重な河口干潟も見られる。そんな河川の自然環境に配慮し、橋脚の数を2基と可能な限り少なくした設計となっている。

多摩川の水辺環境と共存した橋なのだ

 羽田空港に近いということで高さ制限があることはもちろんだが、突起物が少なく桁高を押さえたシルエットは、鳥類の飛行の妨げにならないよう考えられているという。ちなみに約1.8km上流にある大師橋はケーブルで橋桁を吊る斜張橋だ。

川崎側からスタートし、橋を渡ったら折り返し歩いてきた。この内覧会でも車道と歩道の区別なく自由に歩くことができた

 多摩川スカイブリッジは厳密にいうと「鋼3径間連続綱床版箱桁橋(602.55m)」と「鋼2径間連続鈑桁橋(72m)」の2つの橋から成っていて、そのジョイント部分を川崎寄りで見ることができる。ジョイント部分の鉄はちょうど両手の指を互い違いに組んだような形になっており、案内してくれた川崎市の担当者によると、隙間があるのは夏場の暑い時期には鉄が膨張するためだという。

知らなければ通り過ぎてしまうが、実はここが橋と橋をつなげているジョイント部分
伸縮装置が入ったジョイント部分。夏場は鉄の部分が膨張して隙間が狭くなるのだとか
車両用防護柵もこのように隙間がある構造になっている

 河川周辺の自然環境に配慮した設計は、照明にも見て取れる。できるだけ川面に光が漏れないように低位置照明を採用し、夜間に河川を照らすことによる生態系への影響を軽減している。

照明はトップレール(手すり)内蔵型
神奈川県川崎市と東京都大田区の境界のあたり
歩いてきた川崎側を振り返る
一番左が歩道、その隣が自転車専用レーン
ここが橋の一番高い場所。羽田寄りにある

 川崎方面から3分の2ほど歩いてくると、羽田空港のB滑走路がよく見えてくる。市の担当者によると「今の時期は北風だが、南風になるとB滑走路を主に使うそうなので、B滑走路を離陸した飛行機が橋の上からよく見えるはず。航空ファンの皆さんの撮影スポットにもなるのでは?」とのことだった。

橋の終点はT字路。羽田空港がすぐそこで東京モノレールが目の前を通り過ぎる
B滑走路の先には都心の高層ビルも

 2017年の着工から約5年。今週いよいよ開通する多摩川スカイブリッジは、ただ通り過ぎるだけではなく、行ってみたい!と思わせる“目的地となる橋”になるかもしれない。多摩川の河口の自然と広い空を感じに訪れてみてはいかがだろうか。

左側(上流側)を見ると羽田空港船着場がすぐ。この階段を降りると下の遊歩道につながる
下を走るのが環状8号線
左右それぞれ環状8号線への連絡路。緩やかなスロープを降りると合流する
ホテルや商業施設が集まる複合施設「羽田エアポートガーデン」(開業日未定)に続く遊歩道も完成している。開業が待ち遠しい
のびやかでスレンダーなシルエットが特徴だ
汽水域なので川の潮位は最大約2m上下するという
橋の色は多摩川と空に融合しつつも存在感ある色を選定した
河口側には東京湾アクアラインの風の塔が見える
もと来た川崎側を目指す
途中で羽田方面を振り返る
生態系保持空間とされるエリアには、たくさんの水鳥の姿が確認できた
多摩川サイクリングコースから見た多摩川スカイブリッジ