日本最大のキャンピングカーショーであるジャパンキャンピングカーショー2022が幕張メッセ国際展示場で開催。広い会場を回って気になるキャンピングカーをチェックしてきた ジャパンキャンピングカーショー2022実行委員会は、「ジャパンキャンピングカーショー2022」を2月10日~13日に開催した。会場は幕張メッセ国際展示場1~4ホール。
コロナ禍での開催ということで基本的な予防対策はもちろん、密にならないような入場への要請や来場者の連絡先の事前登録などの決まりが設けられた。また、出展者も展示車や展示物の小まめな消毒を行ない感染予防に努めていた。
キャンピングカー人気の高まりで裾野が拡大、小型車の市場が大きく
車中泊、キャンプなどのアウトドアブームにより、安定した人気が続くキャンピングカー界隈。当初はトヨタ ハイエースや日産 キャラバンなどをベースにしたバンコン(バンコンバージョン)タイプの車両が注目を集めていたが、そこそこ大柄であるため乗り降りが大変だったり、狭い道や山道での取り回しにある程度の慣れが必要だったりして、最近はコンパクトなベース車に注目が集まる傾向になっていた。また、ブームが幅広い年齢層に広まるにつれてソロ、もしくは2名など少人数でのニーズが増えてきたことも、キャンパーの小型化の流れを後押しした。
キャンピングカーブームを引っ張ったのがトヨタ ハイエースや日産 キャラバン。現在も日本のキャンピングカー分野では主力。装備の高級化も進み、車両価格が1000万円まで届くものもある そうした流れからスポットが当たったのが、軽自動車をベースとしたキャンピングカーだ。通称「軽キャン」と呼ばれたこのタイプのクルマは、経済性や取り回しのよさから現在でも高い人気を保っているが、ターボがない自然吸気車がベースになることも多いので、高速道路や山道での登坂で非力さを気にするユーザーも増えてきた。そこで次の流れとしてきているのが、日産のNV200バネットやトヨタのタウンエースといった、ミドルクラスのワンボックスカーをベースにしたキャンピングカーだ。
日本ならではの軽キャンパー。ワンボックスカータイプから軽トラックベースまで種類が多く、コンパクトなサイズをどう使うか?という各車のアイデアが楽しいジャンル 軽キャンよりもう少しの余裕が欲しいという層がたどり着いたのがミドルクラスのワンボックスカーをベースにしたキャンピングカー。ベース車はいくつかあるが、トヨタのタウンエース/ライトエースとそのOEM車、そして日産 NV200バネットの2車種が主流 このサイズのキャンピングカーは以前からあったものだが、何件かの出展者に話を聞いたところ、初めてキャンピングカーを買う人から乗り換え派まで幅広い層から注目が高まっているという。
このうち乗り換えの理由としては2つある。1つは軽キャンパーからの層。もう少し走りのよさや居室の広さが欲しいということからもので、もう1つがハイエースクラスからのダウンサイジング。一緒にキャンプへ行っていた子供が大きくなって同行する機会が減ったため、夫婦2名のサイズに合わせたクルマへ乗り換える、ということのようだ。
このように今回はミドルクラスのワンボックスカーをベースにしたキャンパーが注目されているようなので、本レポートではミドルクラスのキャンピングカーを中心に紹介していく。
主流はトヨタのタウンエース/ライトエースと日産NV200バネット
まずはオートバックスが展開するゴードンミラーブランドから、ゴードンミラーモータース「GMLVAN C-01」。1.6Lガソリンエンジンを積む日産のNV200で、グレードはバネットDXがベースとなる。駆動方式は2WDと4WDをラインアップ。ベッドモードにすると奥行きは184cm取れるということだ。
このクルマは新車での販売だが、日産との特別な契約を結んでいるのでボディカラーの「コヨーテ」と「オリーブドラブ」は日産の工場で塗装されるもの。塗り替えのオールペイントではないのがポイントだ。気になる納期はベース車の納期も延びているようで、引き渡しまで1年はかかるという。
ゴードンミラーモータースのGMLVAN C-01。ボディカラーはコヨーテ。価格は396万円~429万円 GMLVAN C-01のオリーブドラブ。コヨーテともゴードンミラーモータースのオリジナル色で通常のNV200には設定されていない 天井、壁、床に天然木を使った居住スペース。これは取り外し可能なテーブルを展開した状態 ベッドモード。奥行きは184cmで大人2人が並んで寝られる幅がある ベッドを畳んでラゲッジ優先の状態に。日常使いにおいての荷物運搬にもちゃんと使用できる作り 群馬県のフィールドライフ販売が出展していたダイハツ グランマックスベースの「Robby(ロビー)」。大型キャビネット、引き出し式テーブル、システムソファセット、3ウェイベッドマットフレーム、着脱式折りたたみテーブル、天井ウッドボードなどの装備は充実。デザインがスッキリしていて明るい配色なのも居心地がよさそうに感じる。
床材に特徴があり、スライドドアを開けた部分には防水、防汚性の高いフロア材を使い、テーブルがある部分はクッションフロア材としている。これによって「玄関」と「居間」という使い分けをする。クツを車外で脱ぐのではない作りは便利そうだ。
フィールドライフ販売のロビー。トヨタのOEM車であるグランマックスがベース。サイドオーニングはオプション設定 ベースのトヨタ版と比較して装備に違いがいくつかある。例えばグランマックスはミラーウインカーとなる スライドドアを開けた部分にフロア材は汚れに強いもの。玄関のようなイメージ キャビネットは標準装備。フロア材はクッションフロアになる 東京都のタコスが出展していたNV200ベースの「NV jack」とタウンエース/ライトエースベースの「HANA」。車両価格がもっとも手頃なのはHANAの2WDで車両本体価格が398万2000円。サブバッテリー、走行充電システム、40リッター冷蔵庫、清水・排水タンク、AC外部電源コンセントなどが付く。
オプションにはテントルーフ、サイドオーニング、バッテリーチャージャー、バックカメラ、ファン、テレビアンテナ、FFヒーター、インバーター、アルミホイールなど。NV200バネットをベースとしたNV jackもほぼ同様の内容になっている。2車種とも8ナンバーキャンピングカー登録になる。
タコスのHANA。車両本体価格は398万2000円~。ベッド幅を広く取ったHANA2というモデルもある。こちらは420万2000円~ こちらは日産NV200バネットベースのNV jack レイアウトや装備はHANAと同様。シックなカラーを採用していた 8ナンバーキャンピングカー登録なのでハイルーフ仕様。室内で普通に立つことができるので居住性がよい 長野県のフロット・モービルが出展していた「シュピーレン」。トヨタのタウンエース(兄弟車含む)がベース。こちらは以前よりタウンエースキャンパーの開発に力を入れていた。座席についても1名用、キャプテンシーとタイプの2人掛け、ベンチタイプの2人掛け、そして3人掛けとバリエーションを用意。1人掛け、2人掛けでは居住スペースが広くなるなど、使用する人のスタイルにあった居住スペースを得ることができる
キャンピングカーとして必要な装備は標準で付いていて、雪が降る地区ゆえに?電子防錆システムも標準装備となっていた。シュピーレンは車両本体価格が手頃なのも特徴で、もっとも安価な1人掛けシート、乗車定員3名で325万6000円~。
フロット・モービルのシュピーレン。こちらはグランマックスベース。全長は4045mm、全幅は1665mmとコンパクトカーサイズなので取り回ししやすい そのほか軽キャンや乗用車ベースなど、気になる車両を写真で紹介
今回のキャンピングカーショーはNV200やタウンエース系の車両が多く出展されていた。ここからは軽キャンを含め、車両の写真を中心に紹介していこう。
また、乗用車のミニバンベースのキャンピングカーもあったのでその車両も一緒に紹介していく。乗用社ベースでは商用車ベースのように居住スペースを作り込むことはできないが、車内での食事をあまり考えず、車中泊中心の用途であれば快適に過ごすことができるだろう。
バンテック新潟の「リーサ」。NV200バネットがベース。高額なキャンピングカーが増えているなか、買いやすさを重視して必要最低限の装備に絞った仕様。とはいえシンクやFFヒーターは標準装備。乗車定員は2名 リーサの左スライドドアを開けた部分。純正位置のフロアを残してここをクツを脱ぐ場所としている。地味な装備だが使い勝手向上への貢献は大きい ポータブルの冷蔵庫の種類も多く、用途に合わせやすいので備え付けの冷蔵庫は付けていない。ローコスト化というより実情に合わせた作りとも言える AtoZの「アンナ・モデルE」のリフトアップカスタム仕様。40mmのリフトアップをしていて、グリルガード、バーライト、ルーフキャリア、15mmオーバーフェンダーも装備。ボディカラーもカスタム済 標準のアンナ・モデルEは乗車定員5名、就寝人数2名。価格は283万8000円~ アンナ・モデルE標準装備のオリジナルセカンドシート リビングモードからベッドモードに変更できるオリジナルベッドキット タウンエーストラックをベースにしたStage21「リゾートデュオ バンビーノ ファミリアL.A」。エクステリアはアメリカのキャンパーをイメージしたとのこと。波板を使う外装がそれっぽい。8ナンバー登録、乗車定員6名、就寝定員4名。この仕様で価格が350万円とのこと 納期は約6か月だが、そのうち5か月近くは車両の納期なので制作期間はひと月。車両の納期が早まればさらに早く手に入るという リゾートデュオ バンビーノ ファミリアL.Aのインテリア。車両価格を抑えているのでハイグレードな建材は使っていないがシンプルなのがむしろ好印象。壁はオーナーが絵や写真を掛けたりと部屋っぽくカスタマイズしていくのもよいだろう 壁には断熱材が多く入っているし窓も小さいので断熱効果が高いのが利点。バンコンタイプより快適度は上ということだ オートショップアズマの「エム・ホルーヴァ」。タウンエーストラックベースで価格は433万7700円~。居住性に優れたキャブコンタイプは全高が高くなるので都市部では駐車場の事情にあわないこともある。そこでポップアップルーフとしたモデル。全高は2250mmで、さらに低い「エム・ホルーヴァミア」もある。こちらは全高2130mm エム・ホルーヴァの室内。エアコンやFFヒーターはオプション装備することができる ポップアップルーフを上げれば2050mmの室内高。室内でかがむことなく立つことができる 西尾張三菱自動車販売が出展していたデリカD:5のポップアップルーフ仕様「デリカD:5 D:POP」。三菱自動車の販社が製作、販売する車両 ベッドキットなどはすべてオプション設定。標準車に追加していく デリカD:5のリブボーンフレーム構造を崩さない一部にポップアップルーフ用の開口部を設けている 日産ピーズフィールドクラフトが販売する「セレナP-SV」。標準仕様はポップアップルーフ装備で室内のベッドはオプション。ポップアップルーフ仕様は326万9200円~ ポップアップルーフ部のベッド長は2060mm、幅は1100mm。アンダーベッドの奥行きは1850mm、幅は1200mm 新型ノアをベースにした「エムアール」はバンテック新潟の車両。価格は452万4600円~ 上級キャンパー並みの装備のよさが特徴。ベッドやシンクだけでなく、FFヒーター、2000Wインバーターシステム、176Wソーラーパネル、サブバッテリーシステム、バッテリーチャージャー、ビルトイン電子レンジなども標準で装備 ホワイトハウスの「フリースタイル」。ホンダのフリード+がベース。ポップアップルーフ仕様と標準ルーフ仕様がある。価格は274万2300円~ ベッド長は1880mm。フロントシートは2座とも後ろ向きに回転する機構を持つ こちらもホワイトハウスが出展していたシトロエン ベルランゴベースの「ベルランゴ キャンパー」。ソレイユ。ポップアップルーフありとなしがある。室内のベッドサイズは奥行きが1800mm、幅が1170mm取れる。ポップアップルーフ部は奥行きが1900mm、幅が1100mm。価格は367万7500円~ 早くも登場したダイハツの新型アトレーベース軽キャンパー。四国の岡モータースが出展していた「ミニチュアクルーズ アトレー」」 アトレーは長いフロア長を持つのでそのメリットを生かした作り。ゆったり寝られる就寝スペースとなっている。寝る前の歯磨きなどにも便利なシンクも装備 ミニチュアクルーズシリーズは軽キャンパーでも評判が高いモデル。アトレーも今後さらにグレードアップしていくと思うのでアトレーの軽キャンパーが欲しい人は要チェック 同じく岡モータースのN-VAN用アイテム「イージーコンフォートベッドキット」。N-VANにボルトオンで装着できるベッドキットでシングル、ダブルが選べる ベッドは左右独立。シングルが13万7500円。両側に付けるダブルが26万4000円。折り畳めるので使用しないときにジャマにならない、取り付けはDIYでも可能 ベッド高は3段階で選べるのでアウトドア用具やバイク、自転車、サーフィン、釣りなどN-VANで出かける遊びにあわせて車中泊スペースが作れる。これは優れモノ ユニークな作りのN-VANキャンパーはカスタムセレクトが出展した「ロードセレクトコンパクト-N」 画像のように2段ベッド+フロア部のラゲッジルームという3層構造となっている。また、スペアタイヤを降ろしてフロア下に収納も作る。スペアタイヤの代わりにパンク修理剤を搭載する ホワイトハウスが出展していた千葉ロッテマリーンズ公式の軽キャンパー「マリーンズキャンパー」。 ポップアップルーフ仕様でチームカラーのエクステリア、インテリアを採用。価格は323万2900円~ テレワーク用の部屋としても需要が高まる小型トレーラー
キャンピングカーショーにはキャンピングカーだけでなくキャンピングトレーラーの出展も多いが、そのほとんどがアメリカサイズというかかなりの大型のものだった。しかし、今回は普通免許でも牽引ができる小型トレーラーが何種類か出ていたのでそちらも紹介していこう。
ここで紹介するトレーラーはアメリカタイプと呼ばれるもので、特徴はトレーラーのブレーキが牽引車のブレーキ信号と連動する電磁ブレーキが採用されているところ。取り扱い業者の方によると、ヨーロッパのトレーラーに使われるタイプのブレーキより速度のコントロールがしやすいのが利点という。ブレーキに負担が掛かる長い下り坂ではトレーラー部のブレーキのみ軽く掛けておくことも可能だという。
福岡県のカーショップスリーセブンが出展していた「ロデオミニ」。全長は4040mm、全幅が2060mm、全高が2500m.お椀を上下にあわせたような構造は壁を貼り合わせる構造より耐久性が高いとのこと 室内レイアウトは2種類ある。展示車は2段ベッドにもなるソファがあるタイプ。もう1つはソファスペースをなくしてトイレとシャワーを設けたレイアウトになる どちらのタイプもテーブルスペースのデザインは共通。普段乗りのクルマは普通のタイプがよいという人はトレーラーを検討してみては。価格は352万円~ カナダのプロライト製トレーラー「プロライト12V」。価格は429万円。全長は3960mm、全幅は1860mm、全高は2220mm。重量は430kg。カナダは雪がたくさん降るので断熱性能が高い作りになっている プロライト12Vの室内。ダイニングはポータブルIHキッチンヒーター、電子レンジ、冷蔵庫を標準装備。テーブルを外せばベッドになる。後方のソファは展開すると大人2名が寝られる。就寝定員は大人2名+子供1名。給水タンクの容量は56リッターと大容量 雪がたくさん積もっても耐えるようにルーフの剛性が高い。そのメリットを活かしてルーフにエアコンの室外機を載せている こちらは少しサイズが大きい「プロライトミニ」。全長が4270mm、全幅が1980mmになる。大人4名が余裕で寝られるサイズ。トレーラーの前方が細くなっているのは牽引時の空気抵抗を低減するため ガスコンロを装備。別途プロパンボンベが必要。ガス漏れ警報器、一酸化炭素警報器も付く。外部電源、冷蔵庫、FFヒーターといった装備が標準となる 駐車場に置いておくと仕事部屋どころか離れ部屋的にも使える。価格は451万円 西尾張三菱自動車販売が出展していた超軽量ミニキャンパー「HC1」。FRPボディで素の状態はシェルのまま。そこにモジュール化されたパーツをあわせてインテリアを作るという仕組み ボディカラーは全身ホワイトが標準でボトムのカラー仕様はオプション。ブルーのほかに5色ある 断熱効果も高いシェルを採用。重量は499kg。電磁ブレーキ仕様、スタビライザー内蔵リジッドフレーム。13インチホイール付きトーションバー式独立懸架サスペンション このようなモジュール化されたパーツを組み合わせてインテリアを作る。モジュール内が物入れにもなっている フロアも外せるので室内を丸洗いもできる。フロアにはタイダウンなど固定するフックも付いている 東京オートサロンにも展示された「日産キャラバン MYROOM CONCEPT(マイルームコンセプト)」
国内の自動車メーカーで唯一ブースを出していたのが日産自動車。展示車は2台の日産キャラバンで1台はコンセプトカーのキャラバン マイルームコンセプト、もう1台は市販モデルのマルチベッド仕様となっていた。
目玉となったマイルームコンセプトはその名のとおり、部屋としての居心地のよさを考えた作り。明るい色の木材を多用したインテリアで片側は壁をルーバー状にすることで外の明かりが隙間から差し込むようにしている。反対側は窓を活かしているが、窓の形状を部屋の窓と同じく四角の形状になるように枠を作り、その下にはマガジンラックを設けている。
ソファの運転席側にあって運転席とは隔壁で仕切られている。これも部屋としてのイメージを作り出すためのものである。また、その隔壁にプロジェクターを当てれば大画面のスクリーンにもなる。ソファ自体はサイドの肘掛け付き。家のソファのように肘掛けに寄り掛かったような楽な座り方も可能。ベッドモードでは取り外し可能だ。
コンセプトカーといってもずいぶん現実味のある作りであり、居心地もかなりよさそうなものだっただけに、このキャラバン マイルームコンセプトを見ているとキャンピングカー、車中泊仕様車のつぎは「マイルーム仕様」が流行るかもしれないという気にもなった。
右側の壁はルーバー状の作り。外光が隙間から差し込む。小物入れも付く。なお、テールゲートの窓も木材をルーバー状に組んだ作りなので部屋の壁はすべてこの雰囲気 左の窓は枠を作ることで建物の窓のようなイメージにしている。したにはマガジンラックを作ってある 肘掛け付きのソファ。運転席とはしっかり仕切ることで部屋のイメージを高めている 日産キャラバン マルチベッド仕様も展示。ボディカラーはダークメタルグレー 最後にめずらしい車両を紹介。キャンピングカービルダーのTOY-FACTORYブースに展示されていた豪州仕様のハイエースをベースにしたFCVキッチンカー