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車内で声出しビデオ会議しても大丈夫! JR東日本の新幹線オフィス車両を見てきた
2021年11月25日 06:00
- 2021年11月22日 開始
JR東日本(東日本旅客鉄道)は11月22日、新幹線の車内でテレワークできる「新幹線オフィス車両」のサービスを開始した。土休日・繁忙期を除く平日のみだが、8号車を専用車両として開放する。
今回は上越・北陸新幹線の車内でデモンストレーションが行なわれたので、その模様をお伝えする。
8号車なら通話・ビデオ会議もOK、追加料金なし
忙しいビジネスマンにとって、移動する新幹線の車内も貴重なワークスペースだ。しかし、車内での通話はほかの乗客に迷惑がかかることから控えるようマナーが行き届いているため、乗降デッキに出て立ちながら連絡をするといった経験は誰もがあることだろう。今回、JR東日本が導入した新幹線オフィス車両は、「通話OK」「PCを使ったWeb会議もOK」となっており、移動時間でも連絡やミーティングに参加することが可能になった。
対象路線は、東北・北海道・上越・北陸の各新幹線で、対象車両は8号車限定。7両編成の秋田・山形新幹線は対象外だ。利用区間に必要な乗車券類(乗車券・特急券など、新幹線eチケット含む)を持っていれば誰もが利用でき、追加料金は発生しない。また、座席指定もないので、空いている場所を見つけて仕事をするという、最近企業が導入しているフリーアドレスのような扱いだ。ただし、大声で話すことや乗客同士の歓談、座席を回転させることはNGとしている。
今回のサービス導入に当たって、東北新幹線で2回の実証実験を行なった。その実証実験のなかでは「周囲の目が気になる」「PCの画面を見られたくない」といった要望も届けられ、すぐさま車両の改良を施すには時間がないことから、役立つアイテムの無料レンタル(一部有料)を東北新幹線の一部列車で行なうことにした。
対象列車は、下りがはやぶさ7号(東京8時20分発)、はやぶさ21号(東京11時20分発)、はやぶさ25号(東京13時20分発)で、上りがはやぶさ14号(仙台10時31分発)、はやぶさ28号(仙台15時31分発)、はやぶさ110号(仙台16時08分発)となっている。当該車両には専任のアテンダントが常駐し、貸し出しの対応をする。利用できる区間は、下りが東京から仙台もしくは盛岡まで、上りが仙台や盛岡から東京までとなっている。レンタルサービスは12月1日から実施する。
12月からレンタルが始まるのは4つのアイテム。1つはKDDIのWi-Fiルーターで、4G LTEを使った通信環境を提供する。こちらは1回200円の有料レンタル。要望にもあった、PC作業を快適に行なえるよう製作したのが「折り畳み式間仕切り」だ。A4ブックサイズのカバーを展開することで、横幅420mmとテーブル一杯に広げられるようになっているのが特徴。上部が空いているので、上からの視線は防げないが、ある程度プライバシーを確保して仕事ができそうだ。
集中力を高めるアイテムとしては、「WEAR SPACE」を用意している。こちらはノイズキャンセリング機能を備えたヘッドフォンと、遮眼帯のように視界を狭めるパーティションを組み合わせたもので、周囲の喧騒を遮断することで集中できるように工夫している。ヘッドフォンはBluetoothでワイヤレス接続が可能だ。
もう1つ、先進的なアイテムとしてスマートグラス「MOVERIO」も用意している。こちらはPCのサブモニターとして利用できる高精細なスマートグラスで、モバイル環境でも大画面でデスクトップを表示できる。このほか、モバイルプリンターの貸し出しも現在検討しているとのことだ。
担当するJR東日本の新事業創造部門 新領域ユニット 副課長の中村元氏は、「ワーケーションなどで、時間と場所にとらわれない働き方をしている方なども含め、新しい移動のカタチとして幅広いお客さまに利用していただきたい」と話し、ステーションオフィスの提供と合わせ、ニーズに応えていきたいと説明した。