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インドネシア、外国人旅行者受け入れに向けた取り組みを紹介。ガルーダ・インドネシア航空の成田/関空~デンパサールは2022年3月以降再開見込み
2021年10月4日 08:00
- 2021年9月28日 実施
インドネシア共和国観光クリエイティブエコノミー省は、日本などの東アジアマーケット向けに「ワンダフルインドネシア2021年ツーリズムアップデート」と題したオンラインセミナーを実施した。
合同の第1部では、政府の観光政策や戦略、バリ島における外国人受入れ再開に向けた最新情報などを報告した。国別の第2部、日本マーケットウェビナーでは、ガルーダ・インドネシア航空 東京支社とバリ島のホテル・ニッコーバリ ベノアビーチの各担当者がスピーカーとして登場し、現状と今後の展望などを発表した。
感染者数は7月をピークに減少
第1部では、インドネシア共和国観光クリエイティブエコノミー省 ツーリズムマーケティング総局アジア太平洋地区担当総局長のR. シギット ウィチャックソノ氏から、現在のインドネシア国内の状況とワクチン接種の最新情報、観光や経済の復興戦略などの発表があった。
それによると、インドネシア国内の新型コロナウイルス感染者数は、7月に最多を記録したピーク時から減少傾向にあるという。ワクチン接種は9月25日の時点で1億3400万回以上となっており、これは1回目投与が全体の41.1%、2回目投与が23.1%に当たる。また医療時従事者には優先的に3回目のワクチン接種を行なっているとのこと。
また、CHSEプログラム認証制度の最新情報も報告した。「CHSE」とは、観光クリエイティブエコノミー省が定めた、観光関連企業が新型コロナウイルスに関する新基準に準拠していることを認証するプログラム。9月現在、インドネシア国内の7534の観光事業者がCHSE認証を取得したという。
氏は最後に、今後のニューノーマルを意識した戦略として、カップル向け、家族向けなどターゲットに合った質の高い観光商品を打ち出していきたいと語った。
ガルーダ・インドネシア航空の成田/関空~デンパサール線再開は2022年3月以降になる見込み
第2部の日本マーケット向けプレゼンテーションでは、ガルーダ・インドネシア航空の東京支店営業部 旅客営業部 営業部長の眞壁氏と、旅客営業部 課長代理の小泉氏が、現在の運航状況や今後の見通しなどのアップデートトピックを発表した。
ガルーダ・インドネシア航空は2020年4月より、成田~デンパサール線、関空~デンパサール線の運休を余儀なくされている。コードシェア便として、JAL運航の成田~ジャカルタ線、ANA運航の成田~ジャカルタ線、羽田~ジャカルタ線をそれぞれ販売しているが、小泉氏は「基幹路線である成田/関空~デンパサール線が1年半にわたって運休しているのは大変心苦しい」と語った。なお、10月31日より移行する冬期ダイヤでも、現行の羽田~ジャカルタ線の週2便体制が継続される予定だという。
コロナ禍の取り組みとしては、空港内および機内において常にマスクの着用を促すこと、チェックインに際しては可能な限り座席を離してシートアサインしていること、乗務員はマスクに加え、フェイスガードやグローブを着用し、また全員がワクチン2回を終えてから乗務する体制をとっていることなどを紹介した。
外国人の入国を原則禁止していたインドネシアだが、9月13日に規制緩和し、シングルビザ(一時滞在ビザ)を持っている人(主に業務渡航目的)が入国できるようになった。
入国者は全員「PeduliLindungi」と呼ばれるアプリで健康状態申告書(eHAC=electric Health Alart Card)の提出が必要。これは日本の新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」に相当するインドネシア政府公式のアプリで、従来のWeb版が廃止され、現在はアプリ版に一本化している。
このアプリ画面だが、最初はインドネシア語、途中から英語と若干分かりにくいため、ガルーダ・インドネシア航空が日本語ガイド(PDF)を用意している。
また、国際航空運送協会(IARA)で開発が進められているデジタル証明書アプリ「IATAトラベルパス」にも言及。ガルーダ・インドネシア航空では9月から、全路線に先駆けて羽田~ジャカルタ線でこのアプリの実証実験を行なっており、今後の本格導入に備えているという。
今後の需要動向については、9月13日にインドネシアへの入国規制が緩和されたことにより、業務渡航の需要が急激に戻ってきていること、すでに2022年度の修学旅行の問い合わせなどもあるという。徐々に国際会議や展示会、イベントなどMICEの引き合いも増えてくるのではないかと期待しているという。
ただし、「今後インドネシア政府が観光客の受け入れ再開の決定を公式発表した場合、どのくらいの準備期間でバリ島路線の運航再開ができるか?」との質問には、「3月末までの冬期スケジュールではデンパサール便は運休が予定されている。もちろん前倒しできるようであれば可能な限り早く再開したいが、少なくても体制が整うまでに3か月くらいはかかるだろう」とのこと。
また再開が決まっても、コロナ前のようにデイリー運航するのは難しく、おそらく週3便くらいでの運航になるのではないかとの回答だった。
積極的に動画配信。ワーケーション需要にも力を入れるホテル・ニッコー バリ ベノアビーチ
ホテル・ニッコー バリ ベノアビーチからは、2020年3月に総支配人に就任した長谷部昌也氏が最新情報を報告した。
バリ島における2021年の新型コロナの新規感染者数の推移は、6月までは感染者数が減少傾向にあったが、7月からデルタ株によって爆発的に増加。それによりバリ島では部分的なロックダウンが行なわれた。
9月に入ると行動規制レベルは4から3に下がり、9月27日の時点では1日あたりの感染者数が67名まで減少しているとのこと。前述したとおりインドネシアでは外国人観光客の受け入れをしていないため、現時点では国内観光客だけに依存している状況だ。
同ホテルでは、ウィズ&アフターコロナの注目キーワードとして、3つの柱を掲げている。その1つである「ワーケーション」に関しての取り組みとして、バリ島で初めてノマドワーカー向けのコワーキングスペースのサービスをスタート。日本のニュース番組でもその様子が紹介された。ちなみにバリ島のウブドはノマドの聖地と呼ばれているそうだ。
2つ目は「ハイブリッドイベント」で、これはオンラインミーティングや結婚式などがターゲット。一例としては修学旅行の様子を親御さんにライブ配信するなどの需要もあるのではないかと予測。Wi-Fiのスピード強化に取り組みたいとしている。
3つ目は「SDGs」「サステナブル」といったキーワードだ。同ホテルとしてはこれを重要課題として掲げており、現在は自社農園での水耕栽培に取り組んだり、ソーラーパワー導入を計画中したりしている。トピックとしては、8月にホテル前のビーチで発見されたウミガメの卵を孵化させ、宿泊者や地元住民とともにウミガメの赤ちゃんを海に放流したことを紹介した。
またホテル・ニッコー バリ ベノアビーチでは、24時間体制で日本語対応な病院と提携しており、病院に行かなくてもホテル館内でPCR検査ができる体制が整っているという。長谷部総支配人は、このようにメディカルトリートメントを受けながらリゾート滞在を楽しめる観光地として「メディカルツーリズム」が重要なマーケットとして位置づけられていくだろうと結んだ。