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JALのロンドン/パリ線が60周年! 欧州路線の回復は「ワクチンがカギ」
2021年6月7日 13:47
- 2021年6月6日 実施
JAL(日本航空)は6月6日、羽田~ロンドン/パリ線の就航60周年記念セレモニーを、羽田空港の第3ターミナル(旧国際線ターミナル)で行なった。
1961年6月6日に北回り欧州線、エールフランス航空との共同運営から運賃プールに移行して自主運航を開始。ダグラス DC-8型機を使用し、東京(羽田)→アンカレッジ→コペンハーゲン→ロンドン→パリ→コペンハーゲン→アンカレッジ→東京を経由し、週2便の運航だった。
会場となった出発ロビーには就航当時に着用されていた3代目の制服と現行11代目の制服を着用したCA(客室乗務員)が登場。タイムスリップしたような懐かしさあふれるアーカイブ展示など、お祝いムードが漂っていた。
パリへは113番ゲートから。アーカイブ展示や記念品を配布
セレモニーはJL045便10時40分発羽田~パリ行き、ボーイング 777-300ER型機が駐機する113番ゲート前にて実施。
主催者代表としてJAL執行役員 路線事業本部副本部長国際提携担当のレゲット ロス氏が登壇し、芸術あふれるパリは日本で花の都として愛されていることを例に、歩くだけで幸せになれる場所と紹介。新型コロナウイルスの流行が収束し、1日でも早く素敵な時間をパリで過ごせるようにと願った。また、「パリ線就航60周年を迎える2021年はJAL創立70周年の節目の年。今度も公共交通機関としての責務を果たし国際線ネットワークの維持と拡大をしてまいります」と決意も。
また、JALの欧州線共同事業パートナーであるフィンエアーからは、日本支社長の永原範昭氏も来賓として参加。「飛行機に乗ることが特別だったころから、利用が当たり前になった現在まで海外渡航の変遷に貢献されたのは紛れもなくJALだと思います。日本人にとってJALは憧れであり、そのサービスは世界でも高い評価を受けています」とし、「海外で赤い鶴丸を空港で見かけホッとした経験がある人も多いのでは?」と自身の体験も踏まえつつ、「赤い鶴丸は特別な存在、2014年から欧州路線の事業パートナーとしてフィンエアーがともに活動できることは誇りに感じています。今後もよりよいサービスを提供するべく頑張っていきます」と述べた。
JL045便の運航を担当する服部潔彦機長も、運航乗務員を代表しスピーチ。自身が初めてパリ線を担当したのは21年前、ボーイング 747型機の副操縦士1年目の2000年であったことや、エッフェル塔の美しさと荘厳さに圧倒されたとのこと。また、現在コロナ禍ながら週5便での運航を行なっていることも紹介した。
就航当時の3代目制服を着用したCAもセレモニーに参加。伊東茂平氏が手がけた制服はロイヤルブルーと金ボタンがポイントで、クラシックな雰囲気ながら旅行や飛行機への搭乗が特別な時代であったことを感じさせてくれた。
搭乗ゲート付近では、アーカイブ展示も実施。国際線・国内線就航当時の実物代ポスターが掲げられ、1960年の機内誌「旅の手帳」やダグラス DC-8型機就航時のポスターなど、当時の盛り上がりが伝わってくるアイテムが多数並んでいた。
搭乗者にはスタッフから記念品をプレゼント。搭乗証明書とともに、ロゴ入りのキーリングにストラップ、飛行機型キーホルダーや手書きのメッセージカードと折り鶴も入っていた。搭乗が始まると声をかけながら一人一人に配布。この日はフランスのブラインドサッカー選手らも搭乗しており、係員らと会話を楽しむ場面も、なお、搭乗した約43名はパリへと10時39分に出発した。
今は乱気流のなか。需要回復は秋ごろをめどに期待
パリ行きと同時にお隣ロンドン行き112番ゲートでも就航60周年イベントを実施。JL043便11時20分発羽田~ロンドン行きの出発ロビーにて行なった。
JALのレゲット ロス氏が主催者を代表して再度スピーチ。ロンドンは歴史的な建物や美術館の宝庫である顔と若者を熱狂させる音楽やアート、エンタテイメントのメッカの2つの顔を持つと紹介。パリ同様に1日でも早く安心して訪問できる日々が来ることを願った。
なお、今後のヨーロッパ路線需要回復については「秋ごろをめどに期待」しているとし、「ワクチンが鍵を握ると考えており、接種が進めばお客さまのマインドも変化してくるはず。渡航対策としては陰性証明とともにワクチン接種済みの電子証明書も将来必要になるかと考え、現在“IATAトラベルパス”“コモンパス”“VeriFLY”の3つをトライアル中です。弊社として今回60周年を迎えた就航9番目のパリ/ロンドン線は特別な路線ですので、フィンエアー、ブリティッシュ・エアウェイズ、イベリア航空との共同事業とともに、2社間協定、ワンワールドアライアンスなど路線が縮小しているなかでパートナーの路線も今後活用していくことになるかと思います」とした。
続いて、来賓祝辞として欧州線共同事業パートナーであるブリティッシュ・エアウェイズ/イベリア航空 日本支社長の井上さつき氏があいさつ。「ブリティッシュ・エアウェイズは日本と英国をつないで約70年。60年前の今日、JALがロンドン線を就航し日本からビジネス・レジャー・留学と多くの方々が渡英されることとなり、同路線の発展に大きな貢献をされました。現在パンデミックで空の旅が大変厳しい状況、乱気流のなかにいます。大変大きな打撃も受けましたが、ロンドンではワクチン接種が順調に進んでいることでこの路線がいち早く回復することを期待しています」と話した。
JL043便のパイロットを代表して話した辰巳毅機長は、「20代のころからこの路線を担当しています。約30年間のフライトでは747のジャンボからはじまり747-400型機、777型機、現在の787型機と4機種とともにフライトしてきました」と機材を懐かしみながら、コロナ禍でもボーイング 787型機にて週7便以上の定期運航を同路線が維持していることを紹介。また、6月のロンドンは非常に気候に恵まれスポーツ大会が各地で開催されるなどの豆知識も伝授。そして60周年のメモリアルなフライトを気合い十分に運航することを誓った。
なお、アーカイブ品の展示もパリ線イベント同様に実施。ビートルズが来日した際に着用したJALオリジナル法被の復刻版などでイギリスらしさも全開だった。
セレモニーの後半、出発時には搭乗ゲートにて横断幕で見送りを実施。搭乗記念品も配布し、27名の乗客を乗せて11時16分に出発しロンドンへと向かった。小雨が降りしきるなか、ランプエリアの係員らもJL043便にメモリアルフライトを祝うように手を振っていた。