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「EKIZO神戸三宮」開業でサンキタ通り沿いが劇的変化! ホテルやコワーキングスペースほか全容を見てきた
2021年4月27日 08:00
- 2021年4月26日 グランドオープン
阪急電鉄と阪急阪神不動産は、神戸のシンボルでもあった神戸阪急ビルの東館を建て替えるとともに、西館をリニューアル、新たな複合施設「神戸三宮阪急ビル/EKIZO神戸三宮」として4月26日に開業した。
神戸三宮の新名所ともいうべきこの施設を実際に見てきたので、開業前に行なわれた記者会見の内容とあわせてレポートする。
※兵庫県への緊急事態宣言発出に伴い、飲食店などのオープン日時、営業時間が変更される可能性がある。最新の情報はEKIZO神戸三宮公式Webサイトなどを確認していただきたい。
神戸の新たなランドマーク「神戸三宮阪急ビル」
神戸市の中心部に位置する三宮エリアは、阪急線をはじめ、JR神戸線、阪神線、地下鉄西神戸・山手線/海岸線、ポートライナーの計6路線の鉄道駅が集中する一大ターミナルであり、日ごろから多くの人が行きかう。
2015年、神戸市はこの三宮周辺地区の再整備基本構想を策定、三宮交差点に人と公共交通機関優先の広場空間「三宮クロスエリア」を設けるとともに、駅と街をつなぐ空間を往来しやすくし、神戸の玄関口にふさわしい「えき=まち空間」の整備を進めている。神戸三宮阪急ビル/EKIZO神戸三宮はこの先陣を切って誕生した。
建物は地上29階、地下3階で、大きく商業施設、オフィス、ホテルに分けられる。
29階: 展望フロア、カフェレストラン、バー
17階~28階: ホテル(レムプラス神戸三宮)
4階~15階: オフィス
地下3階~2階: 駅コンコース、連絡通路と飲食店などの商業施設
なお、「EKIZO神戸三宮」はこのうち地下2階~3階と29階の商業施設エリア、展望フロアを指す。
外観は、低層階、中層階、高層階でそれぞれ異なるデザインとなっている。低層階の円筒のコーナーや大きなアーチは旧神戸阪急ビルのデザイン、色彩、素材を踏襲し再生したもの。
旧神戸阪急ビルは1936年に開業し、長らく神戸の街のシンボルとして地元の人々に親しまれてきたが、1995年の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けて解体しており、長らく暫定の建物となっていた。その面影が今回、震災後26年を経て復活したことになるが、かつてを知る人には懐かしく、知らない人にも神戸らしい異国情緒を感じられるものとなっている。
中層階(4階~15階)はオフィスフロアで、外観はガラスの窓面を大きくとり、シンプルで現代的なデザインとなっている。ガラス面は空に溶け込むため、低層階が際立って見える効果も生んでいる。また、外壁の垂直のリブを最上階まで一直線につなげることにより、高層階との統一感を持たせている。
オフィスは12フロアで、延床面積は約1万1900m 2 。神戸三宮の駅直結でこれだけの規模のオフィス供給はかつてないもので、15階には神戸市が開設するビジネススクエア「ANCHOR KOBE(アンカー神戸)」が入居する。また、高層階(17階~29階)はホテルと展望フロアで、外観はコンフォートを感じさせる落ち着いた色彩となっている。
阪急神戸三宮駅のコンコース空間とその出入口も新しくなった。神戸らしい先進性のある美装化を行なったとのことで、かつての駅コンコースのクラシック感を踏襲しつつ、モダン要素を取り入れている。
駅北側は南欧を思わせる楽しい歩行空間に
阪急神戸三宮駅の北側には、高架に並行して飲食園などが立ち並ぶサンキタ通りがある。
神戸市とともに取り組んでいる今回の駅周辺整備の一環として、このサンキタ通り沿いの空間もさま変わりした。通りは日中は車道としても使用される(一般車は進入不可)が、17時以降は歩行者専用の空間となる。そのため歩道、車道とも明るい色調の石畳となり、段差も小さくした。
また、歩道を拡幅してEKIZO神戸三宮の飲食店がテラス席を設けることを許可しており、店のにぎわいが道路ににじみ出すようなストリートとなった。テラス席を植物のプランターで囲む店もあり、さながらイタリアやフランスの街並みを思わせるようなおしゃれで洗練された雰囲気だ。
なお、東口改札付近のアモーレ広場は現在工事中だが、こちらは個性的なファニチャーやオブジェが設置されるという。リニューアルは今夏の予定。
神戸初出店のお店も多数。EKIZO神戸三宮
神戸三宮阪急ビルの目玉となるのが、飲食店を中心とした商業ゾーン「EKIZO神戸三宮」。EKIZO(エキゾ)は「エキゾチック」と「駅」を掛け合わせたネーミングで、港町神戸に漂う異国情緒とターミナル駅直結という意味を持たせた。阪急線高架下と東西改札口周辺、展望フロアに飲食店を中心に37の店舗(2021年4月時点)を揃える。
高架下の北側(サンキタ通り)はおしゃれなストリートに、南側の狭い路地は横丁街の雰囲気にまとめた。南北ともに各飲食店のテラス席が設置できるとのことで、活気ある街の雰囲気が楽しめそうだ。今回新たにオープンする飲食店のうち、記者会見で紹介されたいくつかの店を訪ねてみた。
神戸が一望できるカフェ・レストラン、バーもオープン
EKIZO神戸三宮のもう1つの新名所となったのが、阪急神戸三宮ビル29階の展望フロア。
西側に「カフェ・レストラン神戸望海山(のぞみやま)」が、東側に夜間のみ営業する「Whisky Bottle Bar DEN SANNOMIYA」があるほか、11時~17時に展望席として利用できるスペースも設けられている。三宮エリアで最も高いビル、それも最上階とあって、眺望は抜群の一言だ。
神戸望海山からは南側の神戸港方向、北側の六甲山方向が一望でき、加えてDEN SANNOMITYAからは東側の芦屋、大阪方面も見通せる。眼下には三宮の街並みやJR線、阪急線の線路も見下ろせ、トレインビュースポットとしても人気が高まりそうだ。なお、展望フロアは混雑時には整理券を配布し、入場者数を制限することがある。
快眠を追求するホテル「レムプラス神戸三宮」
17階から28階には、神戸三宮駅直結で全209室の規模を誇るホテル「remm+(レムプラス)神戸三宮」がオープン。レムプラスは阪急阪神第一ホテルグループが展開するブランドで、東京都内4か所と大阪、鹿児島に展開する「remm(レム)」を一層洗練したもの。レムプラスの名称のホテルは東京銀座に続いて2つ目となる。
ホテル名はレム睡眠、ノンレム睡眠から作った造語で、忙しく活躍するビジネスパーソンを快適な眠りでサポートするという意味合いが込められている。そのため、ルームタイプは165室のダブルルームを中心に、ツインルーム41室、ユニバーサルルーム(ダブル)3室とシンプルな構成。
客室のデザインは、ツイン・ユニバーサルルームが寝室×港町の情緒をコンセプトにした「KOBE CLASSIC」、海側ダブルルームが夜景×港町をコンセプトにした「midnight BLUE」、山側ダブルルームが目覚め×六甲山の「sunrise EARTH」の3つのカラースキームでカーペットや壁の色・柄などを整えてあり、アートなどはあえて飾っていない。客室内の備品も疲れを癒し快適な眠りに特化したものになっていて、あくまでも“神戸の空に浮かぶ寝室”として、眠りと高層階の眺望を際立たせるものとしている。
なお、レムプラスはその名のとおりレムの快適性にさらに高めたもの。レムで好評のオリジナルベッド「シルキーレム」は幅160cmに拡大しクイーンサイズ(ダブルルーム)になり、ミニソファをプラス。
1日の疲れを優しく、あるいは強く一気に流すことができるレインシャワーには、お湯が透明な柱のように落ちてきて体を包み込み温める新感覚の「ウォームピラー」をプラスした。さらにオリジナル枕など眠りの質を高めるアイテムを配置。もちろん、マッサージチェアはレムと同様、全室に備えている。
なお、オリジナルベッド「シルキーレム」は販売も行なっているとのことで、寝心地を気に入った宿泊者が注文していくケースもあるそうだ。引っ越しなどでベッドを探している人が、寝心地を確かめるためにレム・レムプラスに宿泊するという利用方法もあるのだろう。
産官学連携のイノベーション創発コミュニティ「ANCHOR KOBE」
15階には、神戸市がビジネス交流拠点と位置付ける広さ約600m 2 の「ANCHOR KOBE(アンカー神戸)」を開設した。起業家、フリーランス、出張の多い企業の社員などが利用する、いわゆるコワーキングスペースで、もちろんコワーキングコミュニティを確立してさまざまな人々が参画し新たなビジネスイノベーションを生む場として提供するものだ。
ANCHOR(アンカー)は船の錨。時代の変化に臆せず、ブレない意志でチャレンジする人に勇気を添える存在でありたいという気持ちを、港町神戸らしく表現したという。運営は神戸新聞社と監査法人トーマツの共同事業体が行ない、産官学連携を基盤にした実践的なプログラムを実施することで、業界の垣根を超えて会員同士の交流を促進しイノベーション発出を目指す。また、随時イベントやセミナーを行ない、企業やスキルアップを目指す学生やビジネスマン、協業を求めるスタートアップやものづくり企業、経営者らへの支援も行なうという。
フロアは大きく4つの機能に分けられる。デスクワークや打ち合わせに利用しやすいワーキング/ミーティングスペース、談笑したり思考を巡らせたりするコミュニティラウンジ、座席やテーブルを自由に移動できイベントやプロジェクトに使用できるイベント/プロジェクトスペース、フロアから目につきにくい隠れスポットで休憩できるリラックススペース。また、遮音された電話ブース、ライブ配信に利用できるライブブースも設けている。なお、利用には会員登録が必要だが、一時利用(時間制)、お試し利用も受け付けている。
「ここが新たなスタート。末永くお客さまに愛していただけるように取り組みたい」
神戸三宮阪急ビル、EKIZO神戸のグランドオープンに先立つ4月21日の記者会見では、阪急阪神不動産常務取締役開発事業本部の森永純本部長があいさつを行ない、その後インタビューに応じた。
神戸三宮阪急ビルは、2015年に神戸市が策定した三宮駅と周辺エリアの再整備基本構想の先導的なプロジェクトとしてスタートし、神戸市とも連携を深めながら取り組んできたと森永氏。例えば、神戸市営地下鉄との乗り換えについては、新たにエレベーター、エスカレーターを設置することで利便性が格段に向上したという。
また、旧神戸阪急ビルの面影を思い起こさせる神戸三宮阪急ビル低層部の外観デザインについては、高架下の商業施設と一体的に整備し、サンキタ通りとの境界を感じさせないように工夫されているとし、「いて楽しい、居心地のよい空間づくりを行なっています。高架下の店舗にも個性的な名店に入っていただきましたので、三宮の新しい名所となって、たくさんのお客さまに楽しんでいただけたらと思っております」と語った。
阪急阪神グループは、100年以上、駅を中心とした街づくりに取り組んできた。今後についても、「今回のビル建て替えが終わりではなく、ここからが新たなスタートととらえ、末永くお客さまに愛していただけるように、そして神戸三宮の魅力向上に貢献できるように、地域の皆さまと一緒に街づくりに取り組んでまいる所存です」と述べた。