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カニとブリの季節がやってきた!北陸三県とJR西日本が冬の味覚をアピール

左上から右へ茹でた加能ガニ、かに刺し用の生の越前がに、左中段から右へ橋立港の加能ガニを茹でたもの、香箱がに、ブリの刺身、ブリしゃぶ(調理前)、左下から右へ香箱がにちらし、越前がにの焼きガニ、

 福井県、石川県、富山県、JR西日本(西日本旅客鉄道)金沢支社などで構成される北陸三県誘客促進連携協議会は、北陸を担当する旅行会社の団体である仕入センター北陸協議会と共催で「冬の北陸美食フェア」を都内で開催した。

 旅行会社の販売担当者を招き、越前がに(福井県)、加能ガニ(石川県)、寒ぶり(富山県)など、旬を迎えた北陸のブランド食材を紹介し、魅力ある観光素材があることをPRするもので、新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい状況に置かれている観光業界だが、感染防止を第一に少しでも多くの観光客に足を運んでもらいたい思いがある。

 長野~金沢間が開通してから今年で5周年を迎える北陸新幹線。それと同時に始まった冬の北陸美食フェアは今回で5回目を迎える。前述のように2020年は新型コロナの影響もあり、フェアも入場時の検温やアルコールによる手の消毒、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保、開催時間の短縮など、徹底した感染防止対策が取られた中で行なわれた。

西日本旅客鉄道株式会社 営業本部 東京営業部長 松井徹夫氏

 主催者からのあいさつでは、JR西日本 営業本部 東京営業部長の松井徹夫氏が登壇。新型コロナについては「北陸新幹線をはじめとする鉄道においても、車両に設置している換気装置や空調装置を通じ、常に換気を行ない、定期的な消毒、抗菌処理など、お客さまに安心してご利用いただけるような取り組みを進めております」といくつもの対策を講じていることを説明した。

 JR西日本が手掛ける施策としては、2021年3月31日までJR東日本(東日本旅客鉄道)と行なう「北陸新幹線開業5周年キャンペーン」、JR東海(東海旅客鉄道)を加えた3社で12月から2021年3月31日まで行なう「Japanese Beauty Hokuriku キャンペーン」があり、加えてJR東日本が行なっている「北陸新幹線に乗って『かにを食べに北陸へ。』キャンペーン」があることを紹介した。北陸にはいつでも楽しめる素晴らしい観光地があることに触れ、お得な乗車券などを販売していることも会場の参加者にPRした。

富山県は「ひみ寒ぶり」をアピール

 観光地紹介では、最初に富山県が登場。富山の冬の味覚と言えば、氷見漁港に水揚げされる「ひみ寒ぶり」が有名だ。漁場が近いため鮮度が抜群で、魚へのストレスが少ない定置網漁で捕獲したブリは脂乗りが素晴らしいと評判。ひみ寒ぶりはシーズン限定で、例年12月~2月の宣言期間中に水揚げされたブリで約6kg以上の優れた魚体に証明書が発行されて販売される。今年は11月21日に宣言されたので今から味わうことが可能だ。ほかでは、県産の紅ズワイガニをブランド化した「高志の紅ガニ(こしのあかがに)」がイチ押しとのこと。とくに立派な個体はタグ付けされ「極上 高志の紅ガニ」として出荷される。紅ズワイガニは漁期が長く、ズワイガニが11月~3月までのところ、9月~5月まで味わえるのが特長であると説明した。また、富山湾は水産資源の宝庫で、日本海に生息する800種類の魚介類のうち500種類が生息し、ホタルイカやシロエビなども有名で、漁場も近いことから、天然の生け簀と言われている点もアピールした。

 海産物以外では、宇奈月地ビール工場の特別見学プラン、能作鋳物製作体験、北陸新幹線W7系菓子木型を使った和菓子づくり体験を紹介した。

湾の最深部が1000mに達する富山湾は魚介類の宝庫。寒ブリ以外にも美味な魚やエビが多く獲れる

石川県は「加能ガニ」の美味しい理由を説明

 石川県は、北陸の冬の王者として県産ズワイガニを紹介した。石川県で漁獲された9cm以上の雄のズワイガニで、漁師(船主)が品質に自信を持って出荷できるものは「加能ガニ(かのうがに)」としてブランド化されている。一方、雌は「香箱ガニ(こうばこがに)」という名前だ。資源保護のため加能ガニの漁期は毎年11月6日~3月20日、香箱ガニは11月6日~12月29日までとなっている。

 先日水揚げされた重さ1.95kg、甲羅幅16.5cmの加能ガニは40万円という高値で落札されているから驚きだ。石川県のカニはなぜ美味しいのかを現代の名工に選ばれた「小松弥助」のすし職人である森田一夫氏に尋ねたところ「石川県には高い食文化があり、目利きの料理人の期待に応えようと漁師も獲ったカニを大事に扱い、港に早く届けようと努力する」との回答を紹介した。

 観光地では、2020年10月25日より一般公開された国立工芸館(東京国立近代美術館工芸館)を注目の観光素材であるとした。国立工芸館は東京から移転されたものであり、明治時代に建てられた旧陸軍の施設を利用。さまざまな工芸品を展示し、工芸文化の発信拠点として今話題であることを伝えた。

現代の名工である森田一夫氏が加能ガニの美味さを語る。東京から移転してきた国立工芸館が今話題の施設だ

福井県は老舗ブランド「越前がに」を猛プッシュ

 最後は福井県がグルメや見どころを紹介した。福井県で獲れるズワイガニは「越前がに」の名称でブランド化されており、漁の歴史は古く、室町時代から受け継がれている。カニ漁の歴史の長さと品質から100年以上にわたって皇室に献上されている点もアピールした。そのズワイガニのなかでも、甲羅幅14.5cm以上、重さ1.3kg以上、爪の幅3cm以上と極大サイズの雄のズワイガニは「越前がに『極』」と銘打たれており、全水揚量のなかで約0.05%のみが該当する貴重なものだ。2020年の初セリでは46万円の高値が付いた。

 また、農林水産省が進めている「地理的表示保護制度(GI)」において、カニとしては全国で初めて登録されたことも紹介。こうした高品質のカニが獲れる理由として、越前海岸沿岸の特徴的な地形が背景にある。沿岸沖は急深で、カニの生息水域である水深250~400mまで一気に深くなることから漁場が船で約1~2時間と近い。さらに海底が段々畑のようになっていることからカニや魚にとって生息しやすい地形で、好漁場が近くにあることをアピールした。

 そのカニを楽しめるのは県内最大の温泉地である、あわら温泉で、利き酒師の資格を持つ女将がベストマッチな日本酒をペアリングしてくれるそうだ。そのほか、越前和紙を用いた絵馬作り体験、風光明媚な三方五胡や若狭湾、大野市の化石発掘体験などが紹介された。

カニ漁に適した海が近い福井県は高級カニの産地として名高い。あわら温泉では冬の味覚を堪能できる
会場ではブリの解体ショーも行なわれた

 なお、JR西日本ではカニや地元特産品が抽選で当たるプレゼントキャンペーンも2021年3月末まで実施している。こちらのキャンペーンは、北陸三県(福井・石川・富山)のいずれかに往復で北陸新幹線の利用・宿泊を伴う旅行商品を購入した人が応募できる。

「北陸新幹線開業5周年」プレゼントキャンペーン