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5回目の沖縄旅フェスタで琉球大学 高良教授が講演。「首里城の復元資料はすべて保管。必ず再建する」

2019年11月2日~3日 開催

沖縄県最大の旅の総合イベント「沖縄旅フェスタ2019」が開催された

 毎年恒例となった沖縄県最大の旅の総合イベント「沖縄旅フェスタ2019」が、11月2日と3日の2日間にわたって開催された。主催はOCVB(沖縄観光コンベンションビューロー)とRBC(琉球放送)で、今回で5回目。

 開場時間に合わせて会場に着くと、すでに長蛇の列。入場待ちではなく、旅行会社が会場限定で売り出すお得旅の申し込みの列だった。

 メインゲートを入ってすぐの場所にOCVBのブース「旅の総合案内」が構えられており、イベント2日前に生じた首里城火災の復元に向けた募金箱が設けられていた。多くの人が募金する姿が見られた。

会場となった沖縄コンベンションセンター展示棟
OCVBブースにはミス沖縄、マハエちゃん、マハ朗くんも顔を揃えた
2日前に起きた首里城の火災。急遽設けられた募金箱には多くの人が募金していた

首里城復元に携わった琉球大学 高良教授が講演

 展示棟の隣の会議棟では、関連イベントとしてJATA(日本旅行業協会)による海外教養講座が開催され、「琉球王国使節団の足跡を求めて」と題して、琉球大学名誉教授の高良倉吉氏が講演を行なった。

 高良氏は30年にわたり首里城復元に従事した人物で、首里城火災については人一倍心を痛めている様子だった。しかし、90年代の復元時の資料はすべて保管しており、再建は必ず実現できると力強く語った。

 講演の内容は、かつて琉球王国時代に琉球人は、中国をはじめアジア各国と交易を行ない、まさに「旅をする民族」であったことを解説。中国と特につながりの深かった琉球では、中国への旅「唐旅(とうたび)」により文化や技術を学んだ。中国語が話せる者もできたので、インドやポルトガルの商人とも中国語を通じてコミュニケーションが取れたという。

 そんな琉球にとって旅の終わりが訪れた。琉球処分が行なわれ、日本に編入されて沖縄県になったことだ。公的な理由で中国に行く理由がなくなった。中国では文化大革命が起こり、さらに交流がなくなった。

 1972年に沖縄がアメリカ統治から日本に復帰し、日中国交正常化が図られ、再び中国へ行くことができるようになり研究が始まった。先人たちのたどった道を、専門家とともに一般の人も一緒に旅行するというプロジェクトも行なわれたそうだ。移民により、南米やハワイとの交流もできた。

 沖縄戦により焼失した首里城再建のプロジェクトも立ち上がり、高良氏も参加。高良氏は「多くの名もなき職人たちの知恵と思いを形にした」という。琉球王朝時代の王様を復活させるのではなく、当時の職人の美意識を現代によみがえらせるという思いで携わったのだという。

 その首里城正殿が今回の火災で焼失してしまったが、これで終わりではなくまた立ち上がるスタートだと締めくくった。

高良倉吉氏の講演。琉球のいにしえ人は海を渡り旅をしていたと話す。首里城への思いも語った

ジェットスターや香港エクスプレスが初出展

 旅フェスタに今回初出展したのは、ジェットスター、宮城県空港臨空地域課、香港エクスプレスの3社。ジェットスターは那覇~シンガポール直行便を1日4便から5便に増便したことをアピールしていた。また、那覇~成田便を利用しての海外旅行も提案していた。

 残念ながら人気のキャラクター「ジェッ太」は来沖できなかったそうだが、「オレンジマン」が看板キャラとしてクイズコーナーなどを担当していた。

 香港エクスプレスは、9月26日に就航した那覇~香港直行便をアピール。射的ゲームで往復航空券が当たる企画には多くの人が参加していた。那覇~香港便は毎日1往復が就航している。

 毎年出展している韓国ブース。国同士の関係は戦後最悪と言われるほど冷えているが、一般レベルでは関心が高く、ブースにも多くの人が集まっていた。韓国製の梨ジュースとシッケ(米ジュース)の試飲なども提供し、韓国の魅力をアピールしていた。

今回初出展のジェットスター。オレンジマンのクイズに正解するとオリジナルサングラスがもらえる
香港エクスプレスの射的ゲーム。往復航空券が当たるとのことで、多くの人が集まっていた
こんなときだからこそ盛り上げたい韓国旅行。韓国ブースには多くの人が集まっていた

 特設ステージでは各出展者のPRタイムなどが行なわれていた。熊本からはくまモンも来沖。熊本地震の際には沖縄から支援を受けたこともあり、首里城再建へ向けてエールを贈ってくれた。

特設ステージでは観光レディやご当地キャラが地元の魅力をアピール

 クルーズ旅行の紹介もいくつか目に留まった。旅行会社が提供するクルーズツアーの説明会には多くの人が参加しており、関心のある人が増えていることを感じさせた。ただ、那覇など沖縄発着のクルーズツアーはまだ見られず、発着地まで飛行機で行かなければならないことが参加へのハードルを上げているようだ。

 海外旅行は東南アジア方面が多く、今回特に多かったように感じたのがタイへの旅行だった。那覇からもピーチ(Peach Aviation)が直行便を就航しており、人気が高まっているようだ。

 JAL JTAセールスでは、チャーター便で行くベトナムツアーを販売。最近ベトナムも旅行先として人気が高まっているようだ。

 めずらしいところでは、ジャンボツアーズブース内に南アフリカ観光局が出展。観光案内のほか、ルイボス茶の販売も行なっていた。奇しくも取材当日はラグビーワールドカップの決勝戦で、この数時間後に南アフリカが優勝を決めたのだった。

JTB沖縄のクルーズツアー説明会。料金的なことよりも船の説明やドレスコード、船でのすごし方などを中心にした話で、聞く人の関心を高めていた
タイ旅行をアピールする旅行社がいくつか目に入った
チャーター便で行くベトナム旅行をアピールしていたJAL・JTAブース
南アフリカ観光局のブース。スタッフもラグビーのユニフォームで対応

 毎年多くの人でにぎわい、旅への関心、意欲を掻き立てられるイベントとなった沖縄旅フェスタ。海外直行便も増え、2020年には那覇空港に第2滑走路も開設する。訪沖観光客の増加を喜ぶだけでなく、沖縄からもどんどん旅に出るチャンスが広がっていることを実感した。

会場限定のお得ツアーの申し込みには多く人が列を作った
会場の外のフードコーナー。過去には県外のご当地グルメが出店していたが、今回は県内の店がほとんどで少し寂しい気がした