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西武HD、線路をまたぐ新本社ビル「ダイヤゲート池袋」竣工式。線路上空の「ダイヤデッキ」は一般開放

後藤社長「鉄道会社にしかできない設計」

2019年3月25日 実施

西武ホールディングスは新本社ビル「ダイヤゲート池袋」の竣工式を開催した

 西武ホールディングスは3月25日、新本社ビル「ダイヤゲート池袋」の竣工式を開催した。

 西武池袋線をまたぐように線路上空と線路西側の用地に建設されているのが特徴で、ビル2階部分の線路上空の「ダイヤデッキ」は一般に開放される作りになっていて、下を走行する電車がよく見える。デッキは同日に供用が開始されている。

 このデッキは将来、池袋駅方向と直結する予定で工事が進められている。線路をまたぐ構造の高層オフィスビルは日本初。企業の入居などは4月1日から順次開始する。

 ダイヤゲート池袋は地下2階/地上20階、延床面積は約5万m 2 あり、4階より上層階の周囲を列車のダイヤをモチーフにした鉄骨ブレース架橋の構造体が印象的なビルとなっている。これにより、オフィスフロア内の無柱空間化を実現。オフィスフロアは池袋エリア最大の基準階貸室面積約2100m 2 となっていて、総貸室面積では池袋トップクラスとなる。

 4階と3階の間には中間免震層が設けられ、大地震にも強い構造。帰宅困難者への対応で豊島区と「帰宅困難者対策の連携協力に関する協定」を締結も発表されている。

 低層階にはカフェやコンビニ、歯科などの商業施設、上層階はオフィスビルとなり、そのうち14階から18階のフロアを使って西武ホールディングス、プリンスホテル、西武プロパティーズが入居する予定。所沢にある西武鉄道ビルは、西武鉄道、西武バス、西武建設などが入り、池袋と所沢の2大拠点にて、事業特性を活かした本社体制とする。

 場所は、池袋駅の西武池袋本店と西武鉄道池袋駅との並びとなり、線路下を東西に通る「都道池袋架道橋(通称ビックリガード)」を挟む線路際の位置。ダイヤゲート池袋のデッキに設置されたエレベータを利用することで、歩行者の東西通行がバリアフリーとなった。

西武グループ新本社ビル「ダイヤゲート池袋」。池袋駅メトロポリタン口側から見ている
ビックリガードの上方向から。西武線をまたぐ様子が分かる
西武池袋駅方向から。右下が線路下で東西を結ぶビックリガード
西武池袋本店(左)とダイヤゲート池袋(右)の位置関係。手前はJR池袋駅のホーム
特徴的な列車ダイヤをモチーフにした鉄骨ブレース架橋の構造体
低層階は大胆なW字に見えるトラス構造。2階デッキも見える
ビル最上階には、西武グループの銘板
西武線の線路をまたぐようにビルが作られている。北側から。右下はビックリガード
線路上となる2階デッキ南側。この場所からは下を走る線路を見ることができる
南側からの2階デッキ近景
2階デッキ下。ビルが線路をまたいでいる様子がよく分かる
エントランス正面
地上1階部分は人がくつろげるスペースが広い
地上1階部分北側。近付くとトラス構造体の迫力がすごい2階デッキに登る階段がある
トラス構造体が特徴的。公開空地のベンチスペースも広い
入居オフィスの案内板
低層階の案内板
竣工式時点での入居状況
ビルの模型。エントランス側から見ている。手前がビックリガード
池袋駅全体の模型。手前は西武池袋本店
2階デッキは、将来的に池袋駅方面とつながる予定
ダイヤゲート池袋の2階デッキ。ここはすでに共用され、自由に入ることができる
2階デッキを北側から見る。とても眺望がよい
2階デッキの屋根もダイヤ柄
JRのホーム側を見ている。とてもよい眺望で、電車がよく見える
2階デッキの南側端。高いガラスになっているが、電車を正面から見ることができる
西武線の電車がよく見える
一脚、三脚など長物の使用は禁止
この眺望デッキはくつろげるスペースとなっている
ベンチも豊富に作られている。休憩にピッタリ
2階デッキにはエレベータが備えられバリアフリー化されている
2階デッキ北側端は池袋駅側へ工事が進行中

 竣工式では、冒頭主催者として、西武ホールディングス 代表取締役社長 後藤高志氏が登壇し、「この地は、1986年まで西武鉄道および関連会社で本社として使用していました。その後、西武鉄道が本社を所沢に移転したと同時に、外部企業に賃貸することが続いていました。耐震対応でビルを建て替えるにあたり、西武グループ アセット戦略の目玉プロジェクトとして展開していこうということになり、2013年に計画をスタート。翌年には基本計画でき、約5年の歳月を経てダイヤゲート池袋が完成しました。池袋エリア最大級のオフィスビルであると同時に、線路の上をまたぐ超高層ビルとしては国内初のビルとなります」と、ダイヤゲート池袋が完成するまでの経緯を紹介。

 続けて、「西武グループのキーワード“新たな視点でスピード感を持って、イノベーションに挑戦する”にのっとって、ICTの活用などで、働くスペースを快適に、想像力を豊かにできるかという設計になっています。鉄道会社にしかできない、駅の真上にあるという利便性も持っています。池袋駅は日本でも有数の乗降客の多いターミナル駅です。

 池袋は文化的にも発展してきていて、私が学生時代には、オールナイトで映画を3本立てで見るというイメージでしたが、そこから大変革をしています。池袋の発展にもダイヤゲート池袋が大きく貢献することと確信しています。災害時の対応も、帰宅困難者対応を含め、準備を整えました。池袋エリアの地域社会発展に貢献していきます」と、自身の想いをこめてあいさつした。

 続けて、豊島区 副区長 齊藤雅人氏と日本大学 理工学部 土木工学科 教授/豊島区池袋駅周辺地域再生委員会 委員長 岸井隆幸氏があいさつし、テープカットが行なわれた。

竣工式が行なわれた。この時点では右の2階デッキ階段がふさがれているが、式典後外され共用開始
株式会社西武ホールディングス 代表取締役社長 後藤高志氏
豊島区 副区長 齊藤雅人氏
日本大学 理工学部 土木工学科 教授/豊島区池袋駅周辺地域再生委員会 委員長 岸井隆幸氏
竣工式ではテープカットが行なわれた。写真左から株式会社西武プロパティーズ 代表取締役社長 上野彰久氏、南池袋一丁目町会 会長 渡邉隆男氏、日本大学 理工学部 土木工学科 教授 岸井隆幸氏、株式会社西武ホールディングス 代表取締役社長 後藤高志氏、豊島区 副区長 齊藤雅人氏、豊島区議会 議長 磯一昭氏、西武鉄道株式会社 代表取締役社長 若林久氏

 竣工式後には内覧会も行なわれ、西武グループが利用する16~18階、11階の基準オフィスフロア、4~5階など施設の一部を見学することができた。

1階エントランスホール
エレベータは低層階と高層階に分かれ、ホールが2つある
吹き抜け2階からエントランスホールを見る
16階 西武グループ受付
受付の待合ロビー。特徴的なデザインの照明
待合ロビー奥の窓
花壇のスペースには新型特急「Laview」のプラレールが
16階コートエリア。主に社員食堂として使われる。一部イベント予約可能エリアがある
16階コートエリア。鉄道のデザインを取り入れている
フードカウンター
窓からの眺望。池袋駅方面を見渡している
近くのサンシャインシティが見える
イベント予約可能エリアには、床が球場をイメージしたデザインに
16階 受付エリア 会議室
16階 受付エリア 会議室
16階 受付エリア 応接室
17階 オフィス
18階 オフィス。会議室はオープンな作り
センターハブと呼ばれるコミュニケーションスペース
コーナーハブと呼ぶサポートエリア
コーナーハブ内
一人で集中するためのスペースもある
ロッカールーム
役員向け大会議室。テレビ会議システムを導入している
2階 エレベータホール。1~2階にはフリップゲートがある
オフィス階 エレベータホール
基準階オフィスは面積約2100m2。鉄骨ブレース架橋により無柱化
柱は周囲のみにあり、広大なスペースを自由に使える
5階 リージャス池袋ビジネスセンター。レンタルオフィスとコワーキングスペースを提供する
1人向けで集中作業ができるスペースも貸し出している
4階 TKPガーデンシティPREMIUM池袋。写真のバンケットホールのほか、4名から128名収容のホールが利用できる

 4階の下には、地震の揺れを軽減する中間免震層が設置されている。柱部分に鉛直荷重を支持する「積層ゴムアイソレータ」を設置し、地震時に建物はゆっくりと揺れ、上部に対する水平の力を小さくする。加えて、「U型鋼製ダンパー」により、免震層の水平方向の揺れを抑える。中間免震層は、積層ゴムアイソレータとU型鋼製ダンパーでのみつながっていて、ほかは切り離された外部の構造となっている。

 またダイヤゲート池袋は、災害時に帰宅困難者などの避難場所としての利用も想定されていて、屋外の公開空地にはマンホールトイレが設置できるほか、防災備蓄倉庫も用意されている。電力は二重の配電線が引かれ、さらに72時間分のオイルタンクを持った非常用発電機も用意されている。これは、わずかに電灯を落とす程度で、ほとんどの電気を利用できるとのことだ。

 池袋に降り立てば、誰もが目にする新しいランドマークとなるダイヤゲート池袋が完成した。2階ダイヤデッキからは、列車を間近に見ることもできる。池袋に寄った際には、ぜひ一度足を運んでみよう。

4階下に位置する中間免震層
U型鋼製ダンパー(手前)と積層ゴムアイソレータ(奥)
積層ゴムアイソレータは柱部分に設置されている
中間免震層は基本的に外部
災害時には隣接する公開空地でマンホールトイレが利用できる
マンホールトイレの設置見本
マンホールトイレ内部
マンホールトイレを設置するマンホール。テントのアンカーボルト装着も考慮されている
地下1階の防災備蓄倉庫。備蓄品はこれから搬入される