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JALとアエロメヒコ航空が共同記者会見。コードシェア運航スタート

2019年2月20日 実施

2月13日からコードシェア運航を開始したJALとアエロメヒコ航空が共同記者会見を開いた

 JAL(日本航空)とアエロメヒコ航空は2月20日、同社CCOの来日を機に、2月13日からコードシェア運航を開始していることに関する記者会見を実施した。

 2月13日から実施しているJALとアエロメヒコ航空のコードシェアは、アエロメヒコ航空が運航する成田~メキシコシティ線のほか、羽田/成田発着のJAL国内線、メキシコシティ発着のアエロメヒコ航空国内線、メキシコシティ発~サンフランシスコ着のアエロメヒコ航空運航便の一部を対象としたものとなる。

JALとアエロメヒコ航空のコードシェア便対象路線
在日メキシコ合衆国大使館 臨時代理大使 アルマンド・アリアガ氏

 共同記者会見では、来賓として在日メキシコ合衆国大使館 臨時代理大使のアルマンド・アリアガ氏が臨席し、コードシェア提携に対して祝意を示したうえで、両国を結ぶ路線について「両国関係、現在は戦略的な関係にあるが、その重要な要素の一つであることはいうまでもない。両国の首都である東京とメキシコシティを、毎日1便で結ぶところまで発展した。新しい提携により、両国の国内におけるさまざまな路線、運航が広がるのは素晴らしいこと。さらに、両国間を越えて、アジアと中南米までサービスが及ぶまでに発展するのは素晴らしいこと」とコメント。

 その提携効果として、「すでにできあがっている両国間の枠組み、EPA、CPTPPのなかでも大きな意義があり、観光分野でも大いなる発展がますます期待できるもの。大いに戦略性が高まっていると考えている」と期待を寄せた。

メキシコ観光局 駐日代表 ギジェルモ・エギアルテ氏

 同じく来賓として臨席したメキシコ観光局 駐日代表のギジェルモ・エギアルテ氏は、観光の観点で今回の業務提携についてコメント。「日本からメキシコへの渡航者は2012年には約8万人だったが、2018年は約17万人と倍ぐらいになった」とし、渡航者数が増加傾向にあることを紹介。

 渡航者数増加の理由として、「直行便によって急激に変わった。以前、メキシコは遠いイメージだったが、アエロメヒコ便が飛んで距離感が変わって近くなってきている」と航空路線を理由に挙げ、「アエロメヒコ航空とJALのコードシェアによってメキシコのよさが分かっていただければ」と魅力が広く伝わることに期待した。

 ちなみに、日本人渡航者の目的地としては、60%がメキシコシティ、カンクンが20%であることなどを紹介。コードシェア提携による効果として、「名古屋、福岡、北海道など日本の地方からもメキシコが近くなる。メキシコもグアナファトなどの地方から日本へ行きやすくなる」と相互往来の拡大にも期待を示した。

アエロメヒコ航空 CCO(コマーシャル担当最高責任者) アンコ・ヴァン・デル・ヴェルフ氏

 続いて、アエロメヒコ航空 CCOのアンコ・ヴァン・デル・ヴェルフ氏があいさつ。2019年に創業85年を迎えることや、日本路線を12年間運航してきたこと。また、2012年に110機の航空機を発注し、2019年以降毎年10機ずつ納入されること。そして、就航都市も2018年に5都市増え、2019年も5都市増える予定と成長を続けていることなどを紹介。

 今回の提携について、「アエロメヒコ航空はグローバルなエリアをカバーしているが、それにはパートナーシップが重要であり、そのパートナーによって我々はどんどんグローバル化している。(JALとアエロメヒコ航空の)2つの航空会社は世界でもっとも優れた、強い航空提携だと思う」とコメント。そして、「この提携を光栄に思う。JALにとってもよいことだと考えているし、両社だけでなく、両国にとっても、乗客にとってもハッピーなことだと考えている」と述べた。

 また、2国間のつながりを強化するものであるし、「共通の友人は多い自動車産業にとっても大きなこと。ビジネスだけでなく観光についても、ビーチリゾートのカンクンなどだけでなく、中南米のボゴタ、サンディエゴ、リマ、サンパウロなどへもシームレスに乗り継げる」と利便性をアピールした。

日本航空株式会社 執行役員・国際提携部担当 大島秀樹氏

 最後にJAL 執行役員・国際提携部担当の大島秀樹氏があいさつ。「メキシコのフラッグキャリアであり大型ネットワークを展開するアエロメヒコ航空との相互にコードシェアを行なうことでさらなる価値と利便性の向上を図る。また、メキシコからのインバウンド需要向上にも寄与したい」と今回の提携の目的を説明。

 メキシコ市場について、「両国間の関係発展に伴い、人、物の往来も増え、訪日、訪メキシコともに渡航者数が顕著に増えて非常に魅力的な市場になっている」と述べ、「メキシコには1000社以上の日系企業が進出し、日本人ビジネスマンが多い。JALは1972年に成田~バンクーバー~メキシコ路線を開設し、2002年から2010年まではアエロメヒコ航空とも提携していた。長年にわたって日本とメキシコの人的交流、経済発展のお手伝いをしてきたので、今回の提携再開をうれしく思う」と、コードシェアという形でのメキシコ路線に期待を示した。

高い搭乗率もボーイング 787-8型機がベスト。需要増には増便を検討

 先述のとおりJALは2010年1月までメキシコ路線を運航しており、破綻を機としたネットワーク見直しで運休している。同社は中期経営計画で「世界主要国の500都市への乗り入れ」を目標に掲げており、今回もその戦略に基づいたものとなっている。

 提携の今後については、大島氏が会見で「提携路線の拡大はもちろんのこと、マイレージ提携、相互のラウンジ提供などを検討していく」と話し、マイレージ提携については「2019年度のシステム開発の案件に入っているので、遅くとも2019年度には開始したい」との見通しを語っている。

 一方のラウンジ提携について大島氏は、「提携拡大の非常に重要な要素」であるとしており、時期については明言しなかったものの、「羽田空港のラウンジをアエロメヒコ航空のマイレージ会員の方に、メキシコシティのラウンジをJALマイレージバンクの会員の方が使うといったことを想定している」とコメント。成田空港については「ターミナルが異なるので難しいと思う」としている。

 また、会見終了後の囲み取材で、自社便運航の可能性について尋ねると、「否定はしない」と前置きしたうえで、「(アエロメヒコ航空とANA/全日本空輸のダブルデイリー運航という)現状にもう1便足すと供給座席数が大幅に増える。中期経営計画で営業利益率10%を掲げており、それを見込めるだけの需要があることが一つのガイドラインになる」と説明。アエロメヒコ航空は高い搭乗率を維持しているが、「あとはイールド(便あたりの収益)の面で、例えばビジネスクラスの利用率なども精査しなければならない」と、慎重な姿勢を示している。

 そのアエロメヒコ航空の成田~メキシコシティ線だが、2006年から運航をスタートし、2013年からはボーイング 787-8型機(ビジネス32席、エコノミークラス211席)で運航。2016年1月にはそれまでモントレー経由となっていたメキシコシティ発~成田着便のノンストップ運航になり、2017年3月からはデイリー運航へと変化してきている。

アエロメヒコ航空の成田~メキシコシティ線(2019年2月時点)

AM57便: 成田(15時25分)発~メキシコシティ(13時00分)着
AM58便: メキシコシティ(00時05分)発~成田(翌06時20分)着
※AM58便は3月1日から10分遅発

 会見中の質疑応答で搭乗率に関しての質問に対して、ヴェルフ氏は「年間90%ぐらい」と説明。これに補足する形で、「よい決断だったのは、ボーイング 787型機のエンジンにGE Aviationを選んだこと。これによってフルペイロード(満積載)で運航できる」と話した。

 この点について、会見後の囲み取材で、同社が保有するボーイング 787-9型機への大型化や、増便の可能性について尋ねると、「ボーイング 787-9にすれば50席増やせるが、メキシコシティから(成田へ)の便がフルペイロードで運航できなくなる。席数が少なくても直行便であることの方が重要だと思う」と説明。

 メキシコシティ国際空港は標高が2200mと高地であるために空気中の酸素濃度が低いことや、日本へ向かう便は偏西風の影響で向かい風のなかを運航する必要があることから、運航の条件が厳しい。現在使用しているボーイング 787-8型機のメキシコシティ発便では貨物(旅客の荷物とは別)を乗せないことで、旅客向けの座席販売を制限する必要はほとんどないという。仮にボーイング 787-9型機を導入した場合、酸素濃度がより低い夏場などには座席数の販売を制限しなければならなくなる事態も発生するという。その点からもボーイング 787-8型機が同路線にはベストの機材であるとしている。

 一方、増便については、「羽田就航もオプションとして考えたい。羽田の発着枠拡大時に日米や主要国以外の国からのスロットも設けてほしい」と期待を述べる一方、二国間の当局の話し合いによるとしたうえで、「増便はできれば検討したい」としている。

 また、この成田~メキシコシティ線の旅客の内訳について、会見中の質疑応答の場で大島氏が「約5割が観光、5割がビジネス。そして、60%が日本発、40%がメキシコ発」と回答。囲み取材では、ヴェルフ氏がこの点について補足し、「フィフティー・フィフティー、つまり約50%がビジネス、約50%がレジャー。そして約50%が日本発、約50%がメキシコ発となっており、1つの国にも、1つの業界にも依存していない。どこかでスランプが起こっても代替できる」とし、コンスタントに高い搭乗率を維持できる「特別な路線」との認識を示した。