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積水ハウスとマリオット、道の駅隣接ホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット」展開。「点を線で結んで観光資源をネットワーク化」と仲井社長

2018年11月28日 開催

契約書にサインし握手する積水ハウス株式会社 代表取締役社長 仲井嘉浩氏(左)とマリオット・インターナショナル アジア太平洋社長兼マネージングディレクター クレイグ・スミス氏(右)

 積水ハウスとマリオット・インターナショナルは、11月28日に都内で記者会見を開き、国内の自治体と連携し、「道の駅」をハブとした地方創生事業「Trip Base 道の駅プロジェクト」を開始すると発表した。

 本プロジェクトは、「未知なるニッポンをクエストしよう」をコンセプトに、「地域の魅力を渡り歩く旅」を提案する地方創生事業として位置付けられており、新しい体験型の旅のスタイルを提案する。文化、風習、暮らし、色など地域に根ざした地域資源を地元とともに提供し、全国各地の道の駅に隣接したホテルを自動車やバイク、自転車などで渡り歩きながら、地域と人とのつながりを感じることを通じて、旅行者の満足度を高めることを目指すとしている。

 本プロジェクトの核となるロードサイド型ホテルとしては、マリオット・インターナショナルのホテルブランドのなかで日本初上陸となる「フェアフィールド・バイ・マリオット」を展開。宿泊特化型、素泊まり型のシンプルなホテルで、食事やお土産の購入などは道の駅をはじめとした地域の店舗に任せることで、地元コミュニティと協力しつつ、地域との触れ合いを最大化するという。

 まずファーストステージとして、2020年秋以降に5府県15か所、約1000室の規模で開業し順次全国に展開する予定。その後、セカンドステージとして10道県と協議しつつ立地の選定に着手しているという。

積水ハウスとマリオット・インターナショナルは、国内の自治体と連携し、「道の駅」をハブとした地方創生事業「Trip Base 道の駅プロジェクト」を開始する
「未知なるニッポンをクエストしよう」をコンセプトに、新しい体験型の旅のスタイルを提案
道の駅に隣接する形で、宿泊特化型のホテルを展開する
展開するホテルは、日本初上陸となる「フェアフィールド・バイ・マリオット」
ファーストステージとして、5府県15施設、約1000室を2020年秋以降開業
さらに、10道府県と協議しつつ、さらなる立地の選定にも着手しているという
2020年秋以降に開業を予定している施設

 積水ハウス 代表取締役社長の仲井嘉浩氏によると、今回のプロジェクトは国内で旅行ニーズが多様化するとともに、自由行動型旅行のニーズが高まっていることや、目的地での交流、体験、偶発的な発見などを楽しむ、コト消費型旅行のニーズが増えていることが背景になっているという。そして、観光庁の調査では2017年に訪日外国人観光客の41%が地方で宿泊し、2014年の2倍以上に伸びているデータを示しつつ、地方に眠っているさまざまな観光源を掘り起こし、ネットワーク化することで、新しい旅のスタイルを実現したいという。

 そういったなかで、地方での宿泊施設不足が深刻な状況となっており、2020年には約4万室が不足するという予測もあるなど、大きな課題があるとしつつ、道の駅に目を付け、「道の駅と連携することで新しい旅のスタイルを提案するとともに、宿泊施設不足を解消できるのではないかと考えた」と仲井氏は今回のプロジェクトの趣旨を説明した。

記者会見でプロジェクトの概要を説明する、積水ハウス株式会社 代表取締役社長の仲井嘉浩氏
今回のプロジェクトは地方創生事業と位置付け、地方の観光資源をネットワーク化して新たな旅のスタイルを提案
2017年には訪日外国人観光客の41%が地方で宿泊しており、地方での宿泊ニーズが高まっている
そういったなかで、地方での宿泊施設不足が深刻な課題となっており、この課題解消が今回のプロジェクトの趣旨となっている

 道の駅は、ドライバーの休憩機能や地域の方々の情報発信機能として1993年、103か所が登録されて以来、現在では1145か所に拡大するとともに、その機能も多様化してきている。しかし仲井氏は、「宿泊施設を併設する道の駅はまだまだ少なく、滞在時間の少ない通過点になっている、そのような道の駅が非常にもったいない」と指摘しつつ、道の駅に隣接するホテルを整備することで、滞在時間が増え、ホテルをハブとした新たな旅のスタイルが実現されるとともに、点(ホテルを整備した道の駅)を線で結ぶことでさらなる地域のポテンシャルを発揮できると述べた。さらに道の駅をベースとして、分散している地域の観光資源をネットワーク化することで、地方創生にも貢献していきたいとした。

 また仲井氏は、新しい旅のスタイルを提供するだけでなく、地域のポテンシャルを最大限引き出し、地域に貢献したいとし、そのためには地域の方々との連携が最も重要であるとの考えを示した。そのために、整備するのは宿泊特化型のホテルとして、食事や買い物、アクティビティなどの消費活動は地元で行なってもらうというスタイルを貫き、地域との共存共栄で観光地マーケティングをサポートしたいという。また、地元のアクティビティ事業者や、移動手段パートナー、レジャー系パートナー、スポーツ系パートナー、メディア系パートナーなどとアライアンスを組みつつ、地域活性化のプラットフォームにしていきたいとした。

道の駅を、これまでの通過点、休憩地点から地域の観光資源をつなげる新たな拠点として位置付ける
地域の人々とも連携し、地域のポテンシャルを最大限に引き出して地域活性化に貢献したいという

 整備するホテルは、国内初上陸となるロードサイド型ホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット」。暖かさ、家族、心地よさ、シンプルをコンセプトとした宿泊特化型のホテルで、現在北米を中心に950軒を展開。アジア太平洋地区では現在22軒が運営され、今後76軒の開業を予定しているという。また、客層は訪日外国人観光客や、地方にクルマやバスなどで訪れる国内旅行者をターゲットにしているという。

 マリオット・インターナショナル アジア太平洋社長兼マネージングディレクターのクレイグ・スミス氏は、「日本を訪れるインバウンド観光客は年々急速に増えており、本年度は3000万人を超える勢いとなっています。そして、新たに注目されつつある日本の知られざる秘境を訪れる旅行者の増加に伴い、フェアフィールド・バイ・マリオットがさらなる便利なアクセスをお届けしたいと思います」とあいさつ。そして、グローバルネットワークと世界で培ったおもてなしのノウハウ、積水ハウスの高い実績によって、世界に誇れる旅行体験を日本で作っていきたいと述べるとともに、今回の施設が起点となって、秘境と呼ばれてきた地域の観光産業のさらなる発展につながると考えていると、期待感を述べた。

記者会見であいさつする、マリオット・インターナショナル アジア太平洋社長兼マネージングディレクターのクレイグ・スミス氏
フェアフィールド・バイ・マリオットの概要を説明する、マリオット・インターナショナル 日本・グアム担当エリアヴァイスプレジデントのヴィクター大隅氏
フェアフィールド・バイ・マリオットは、北米を中心に950軒を展開し、今後南米やアジアでも拡大を予定
フェアフィールド・バイ・マリオットは、暖かさ、家族、心地よさ、シンプルをコンセプトとしている

 今回のプロジェクトでは、ホテルの設計と施工を積水ハウスが担当し、運営は積水ハウスの100%子会社が主体となり、マリオットに運営委託する形で行なわれるという。また、地域への経済波及効果は、消費を地元でというコンセプトのため、食事やショッピング、アクティビティなどで地元に経済効果が出るように自治体と綿密に協議していきたいとした。このほか、ホテルの従業員やリネン関係の雇用も発生するとし、さまざまな面で地域に貢献していきたいという。

 また、地方展開のリスクについては、立地を自治体と協議するとともに、積水ハウスとマリオットが共同で交通機関や周辺の観光地なども調査して決定しているため、地方でも十分に集客できるとの考えを示した。また、マリオット側は日本へのレジャーでの旅行の成長率がビジネス旅行に比べて4倍の伸びを見せているという状況を示しつつ、今回の事業についてリスクはまったく感じておらす、大きなチャンスと捉えていると、大きな期待感を寄せた。

【お詫びと訂正】初出時、仲井嘉浩氏の名前に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。