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外環道を使った高速バス、新松戸駅・松戸駅~羽田空港線の試乗レポート。松戸から最短50分で空港へ

京成バス/松戸新京成バス/京急バスが開業式典

2018年8月29日 開催

京成バス、松戸新京成バス、京急バスは、新松戸駅・松戸駅~羽田空港線の運行を9月1日から開始するのにあたり、開業式典と試乗会を開催した

 京成バス、松戸新京成バス、京急バス(京浜急行バス)は、新松戸駅・松戸駅~羽田空港線の運行を9月1日から開始する。6月2日に開通した外環道(東京外かく環状道路)の松戸IC(インターチェンジ)~高谷JCT(ジャンクション)間を経由して新松戸駅・松戸駅と羽田空港を結ぶ新路線で、片道料金は大人1300円、子供650円。

 松戸市内からの乗車にはPASMOやSuicaといったICカードも利用可能だが、羽田空港から松戸へ向かう際には、羽田空港内の京浜急行バスチケットカウンターか自動券売機で乗車券を購入する必要があるので要注意。

 松戸駅~羽田空港間の所要時間は最短50分、新松戸駅~羽田空港間は最短75分で結ぶ。運行開始前の8月29日、松戸市の観光名所である「戸定が丘歴史公園」の駐車場で開業式典を開催したので、その模様をレポートする。

外環道の開通により実現した松戸市内から羽田空港への直行バス

 開業式典ではまず、京成バス 代表取締役社長 齋藤隆氏があいさつに立った。

「本年6月2日の松戸、市川市内の東京外環自動車道と並行する国道298号の開通により、周辺道路の走行環境が大きく改善しました。弊社のメインバス路線は県道1号・市川松戸線を走行し、JR松戸駅からJR市川駅までを結ぶ路線ですが、定時性と安全性が大きく改善しています。バスが時間通り運行できるとお客さまも増えるという好循環を期待しております。

 今回の新松戸駅・松戸駅~羽田空港線は、かねてより松戸市側の事業者として松戸新京成バスと京成バス、羽田空港側の事業者として京浜急行バスの3社で外環道を利用した路線を検討してまいりました。そしていよいよ9月1日より運行を開始する運びとなりました。これもひとえに松戸市さまをはじめ、関係の皆さまがたのご協力によるものと深く感謝申し上げます。

 聞くところによりますと、松戸市内では初めての高速道路開通で、この高速バス、新松戸駅・松戸駅~羽田空港線への市民の皆さまからの期待も大きいと伺っております。本路線の運行開始によりまして、(松戸)市内から羽田空港まで乗り換えなし、着座にてアクセスが可能となります。

 鉄道、バスと利用シーンにおける選択肢が増え、空港から市内へのアクセス向上により、羽田空港から県外および外国の方々を市内の商業施設や観光施設へ呼び込むなど、松戸市さまのさらなる発展につながればと思っております。当路線開通により、京浜急行バスと地元バス事業者の松戸新京成バス、京成バスともに地域に公共交通を提供し、微力ながら松戸市の発展に貢献していきたいと考えております。

 今回の羽田空港への路線は当初、1日往復で11便ですが、市民および多くの皆さまにご利用いただきまして、増便ができるように育てていただければと思っております。そして本路線を皮切りに松戸市内のさらなる交通利便性向上を目指せればと考えております」と語った。

「本路線を運行する各社におきましては安全運行を第一に、お客さまから愛され必要とされる路線を目指すことを誓います」とコメントした京成バス株式会社 代表取締役社長 齋藤隆氏

 続いて松戸市長の本郷谷健次氏があいさつに立った。「松戸市民も長年にわたって、この路線の開通にたいへん期待しておりましたので、市民を代表してお祝いを申し上げたいと思います。6月2日に開通いたしました外環道は、計画されてから開通までに50年かかりました。待ちに待った開通だったのですが、開通してみると松戸から東京あるいは千葉へと、いずれも本当に時間も早く、そして確実に行くことができるようになりました。この開通における効果は大変大きなものがあると思っていたところでございます。

 そのなかで高速を利用したバスが羽田空港まで行くことになり、我々としては大きな期待をしているところでございます。市民にとりまして、あるいは松戸で事業を行なっている者にとりまして、このバスの運行の開始がこれからの仕事の仕方、自分の私生活も含めて、大変大きな期待ができるものと思っております。市といたしましても、この開通を機に、この交通を街の発展の基礎として、我々も応援して発展に向けて努力していきたいと思っております」とコメントした。

「ぜひ、松戸市のために、あるいはこの地域全体のみんなのために、このバスの運行を円滑に進めていただければと思っています」とあいさつする、松戸市長の本郷谷健次氏
開業式典に展示された、京成バスと京急バスの車両。松戸市内からの乗車にはPASMOやSuicaといったICカードも利用可能だが、羽田空港から松戸へ向かう際には、羽田空港内の京浜急行バスチケットカウンターか自動券売機で乗車券を購入する必要があるので要注意

JR松戸駅から市川北ICまでを試乗

京成バスの使用車両

 開業式典のあとに、JR松戸駅を出発して国道298号から松戸IC(インターチェンジ)で外環道に入り、市川北ICで折り返すショートコースでの試乗が行なわれた。平日の昼前後で若干の混雑が見られたが、松戸駅からおおよそ10分強で外環道に進入することができたので、高速道路上での渋滞に巻き込まれなければ「松戸駅~羽田空港間の所要時間は最短で50分」というのも納得できるし、何よりも大きな荷物を持って混雑するJR常磐線で都内に入り、ターミナル駅で別の路線に乗り換える煩わしさがないのはありがたい。

 京成バス 営業部長の上田浩一氏、総務部の石田梢氏に聞くと「松戸側からは4時台の始発から1日に5便、羽田空港からは終発22時台で6便の運行を予定していますので、フライトの時刻に合わせて便利にご利用いただけると思います。車両は補助席含めて52人~60人乗りで、もちろん全員着座いただけます。JR新松戸駅から鉄道利用で羽田空港に向かった場合、約85分の所要時間と947円の運賃(ICカード利用)ですので、混雑した電車内や乗り換え駅で大きな荷物を持って歩くことを考えれば、ご利用いただく方の疲労度はまったく違うと思います」とのことだった。

 また、首都高(首都高速道路)の湾岸線が万一の事故などで渋滞や通行止めとなってしまった際には「外環道の京葉JCTから京葉道路を利用して首都高の箱崎JCTに抜けるルートや、三郷ICから首都高に入るルートなどを適宜利用します。羽田空港に向かわれるお客さまはフライトに行かれるので、できるだけ速やかにお送りできるようにいたします」とも教えてくれた。

試乗した車両は、全席にスマートフォンなどを充電できるUSBポートや無料のWi-Fiも完備
リクライニングシートはもちろん、足元も結構広く、羽田空港まで電車で移動するよりも快適に過ごせるのではないだろうか
この路線で使用する車両は、京急バス以外は全車トイレ付き。
個別の照明と空調
車内前方に設置された時計
乗降口のステップはドアが開いているときはLEDが赤と緑に交互に光り注意を促していた
スーツケースなどを収納する床下スペースは、スライド式のトレイを手前に引き出した状態で荷物を載せ、トレイがいっぱいになったら奥にトレイを押し込んで生まれた手前のスペースに、さらに荷物を載せられる仕組みとなっていた
報道公開された車両は、三菱ふそうトラック・バスのものだった
羽田空港から松戸駅に向かう際は、外環道 松戸ICで298号に出て「外かん葛飾大橋東」交差点を右折して松戸駅に向かうルート
試乗のドライバーを務めた京成バス 奥戸営業所の柳橋利勝氏
試乗の様子を動画に収めた。松戸市内を走行する。一般路線を走行する乗り合いバスとは違い、高速バスはとても静かである
開業式典に展示されていた京急バスの車両。カーゴスペースのハッチには、どのターミナルで降車する乗客の荷物かが判りやすいようにデカールが貼られていたが、これはあくまでも目安とのこと