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“ハンク岩佐”センター長が解説、三菱航空機「MRJ」の米国試験飛行拠点「MFC」初公開
2018年6月29日 19:44
- 2018年6月27日(現地時間) 実施
三菱航空機は6月27日(現地時間)、米国ワシントン州モーゼスレイクで会見を開き、同社が開発を進めている国産リージョナルジェット「MRJ(Mitsubishi Regional Jet)」について各国メディアへ説明を行なった。
モーゼスレイクは、同社がMRJの試験飛行拠点としているグラント・カウンティ国際空港があり、シアトル・タコマ国際空港からはクルマで3時間ほど。敷地内にはMRJを4機格納できるハンガーや、オフィスやブリーフィングルーム、テレメトリールームなどを含む施設があり、総称して「モーゼスレイク・フライトテスト・センター(Moses Lake Flight Test Center:MFC)」と呼ばれている。
この日は、モーゼスレイクでの試験飛行の様子を報道向けに初公開するとともに、MFC内部の公開も行なった。本稿では見学できたテレメトリールームとハンガーの模様をお伝えする。案内してくれたのは“ハンク岩佐”こと、三菱航空機 モーゼスレイク・フライトテスト・センター長の岩佐一志氏。
撮影禁止のブリーフィングルームの斜め向かいにあったのが「テレメトリールーム」。テレメトリー(tele-metry)は遠隔測定を意味しており、試験飛行中のMRJのセンサーや計器が取得したデータをリアルタイムにモニターして、機体の姿勢や状態などを把握する。室内は最奥に周辺地図や天気などが大写しになっており、特に機体への影響が大きい雷には気を使うという。どこを飛行しているか、どんな機体姿勢かといった情報は、コクピットとほぼ同じものが表示されている。なお、テレメトリールーム内はエンジン、油圧、電気系統などモニタリングする内容ごとに島が分かれており、異常がなく飛んでいるかどうかをすみやかに把握できる。
2016年10月に1号機が初飛行した際は、テレメトリールーム内部は満席で、ガラス越しの廊下部分も人だかりだったそうだが、現在は10人くらいで空席もあり、岩佐氏は「MRJを飛ばすことが当たり前になったということ」と説明した。モニタリングを必要としないフライトもあるそうだ。ちなみに、テレメトリールームは同じものが2つあり、隣り合っている。
続いて案内されたのは、4機のMRJが格納できるハンガー(格納庫)。建設中の様子は以前本誌でも紹介しているが(関連記事「MRJが飛行試験を行なう予定の米ワシントン州モーゼスレイクの『グラント・カウンティ国際空港』を見学」)、現在はMRJの試験機が4機あり、最奥に1機、手前に3機、互い違いの向きにすることで格納できるという。ただし、現在の1~4号機に加えて、製造中の7号機(5機め)と10号機(6機め)もモーゼスレイクで試験飛行を行なうことになるが、計6機をどう格納するかについてはまだ決まっていないとのこと。
内部はとても開放的。構造を中央で支える大きな柱などはなく、シャッターは日本のハンガーでよく見られる巨大な引き戸のような扉ではなく、上に巻き上げるカーテン状になっている。日本と違って地震がないゆえの構造で、岩佐氏はこれを「軽い作り」と表現した。
また、ハンガーには日の丸と星条旗とともに、ワシントン州の旗も掲げられていた。これは、2017年3月30日に州知事と当時の駐米大使がMFCの激励に訪れた際に掲揚して以来並べられているものだそうで、日米で協力して試験に当たっていることを象徴する「シンボリックな存在」という。